阿諛(あゆ)
「阿諛」は、「追従」とほぼ同じような意味で用いられます。相手の顔色を見て、気に入るように振る舞うさまを表す言葉です。
「阿諛」には相手に対してへつらうという意味もあり、「阿諛追従」(あゆついしょう)という四字熟語も存在します。
・相手になんとか気に入られようと、彼は終始、阿諛追従な態度をとっていた。
・阿諛追従ではなく、自分の意思をもって仕事に励んでもらいたい。
「追従」(ついしょう)の慣用句や熟語
慣用句とは、2つ以上の単語を組み合わせた言葉のことです。熟語は、2つ以上の漢字を使った語句を意味します。
「追従」には、以下のような慣用句や熟語があります。いずれも、相手の機嫌をとる態度のことです。日常生活で正しく活用できるよう、それぞれの意味について確認していきましょう。
追従口(ついしょうぐち)
「追従」と「口」を組み合わせた「追従口」は、相手におもねる気持ちを口に出すことを意味します。
「おもねる」とは、人の気に入るように振る舞ったり、へつらったりすることです。その気持ちを直接口に出す様子を表す際に適しています。
お世辞やおべっかのような意味もあり、「追従口を並べ立てる」のように用いられます。
追従笑い(ついしょうわらい)
「追従笑い」は、相手の機嫌をとるための「笑い」を指します。笑い方そのものも意味する言葉です。
あくまでも目的は機嫌をとることにあるため、「追従笑い」は本気の笑いではありません。相手の機嫌をとり、気に入られようと笑顔を浮かべる「愛想笑い」と同じような意味をもつ言葉といえるでしょう。
「追従」(ついしょう)以外の難読漢字
「追従」は、「追従」(ついじゅう)と読み間違えやすい漢字です。前後に文章がない場合にはとくに読みが難しくなります。
ここからは、「追従」以外の難読漢字についてみていきましょう。いずれも一見読めそうでありながら、わからないというケースも多いのではないでしょうか。それぞれの読みとともに、意味や使用例などもあわせてご紹介します。
感ける(かまける)
「感」という漢字を用いたこちらは、「かまける」と読みます。あることに気をとられ、ほかのことをおざなりにする様子を表す言葉です。
また、古くはなにかに心惹かれたり、感心したりする様子を指す言葉として用いられていました。現代はネガティブな要素が強いものの、過去には感心や共感といったポジティブな意味で使用されていたことも覚えておきましょう。
・彼は最近、遊びに感けてばかりで勉強がおろそかになっている。
確り(しっかり)
訓読みで「確か」(たしか)と読むこちらの漢字を使った語句は、「しっかり」と読みます。物事の基礎や構成が、安定した様子を表す言葉です。
「しっかり」は日常生活でよく使う語句ですが、漢字表記は知らないケースもあるのではないでしょうか。「しっかり」には「確かでゆるぎがない」という意味もあることから、この漢字を用いると考えられます。
また、しっかりには人柄が堅実で信用できること、気を引き締めて確実にすることなどの意味合いがあります。以下のように心身が健全であることも表すなど、幅広いシーンで活用できる言葉です。
・荷崩れしないよう、ロープを確りと結んだ。
・確りとした意見の持ち主だと感心してしまう。
・役職を得たからには、今まで以上に確りしようと思う。
・ずいぶんとお酒を飲んだにもかかわらず、帰り道は確りとした足どりだった。
首を回らす(こうべをめぐらす)
そのままだと「くびをまわらす」と読むこちらは、正しくは「こうべをめぐらす」と読みます。「頭を回らす」とも表記する言葉です。
「首を回らす」は、そのまま後方を振り返って見る様子を表します。転じて、過去を振り返ったり思いを巡らせたりといった意味で使われるいい回しです。
・勤続30年を迎え、過ぎた日々に首を回らす。
・成人式を迎えた娘の姿にこれまでの日々を思い、首を回らせた。
「追従」の意味と読み方を知り言葉の幅を広げよう
「追従」(ついしょう)という言葉は、相手の機嫌をとることを意味します。間違えやすい「追従」(ついじゅう)は、相手に従うことを表す言葉です。
「追従」(ついしょう)はほかの単語や漢字と組み合わせ「追従口」、「追従笑い」のように用いられます。シーンによっては、類語を使ったいい換え表現が適していることもあるでしょう。
今回ご紹介した難読漢字も含め、言葉の正しい意味と読み方を知り、ぜひ日常生活やビジネスシーンで活用してください。
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