【目次】
共働き夫婦が増える今、家事分担はできてる?
共働きの夫婦が増える昨今。夫婦で家事の分担、きちんとできていますか? 総務省の調査によれば、1980年から昨年までの直近40年間で、共働き世帯は専業主婦世帯を逆転し、2倍近くにまで増加しているそうです。
今や家庭のスタンダードでもある共働き。父親の育児参加や、男性の家事負担なども徐々に浸透してきていますが、一方まだまだ課題もあるようです。
今回は、リンナイ株式会社が、お互いフルタイムで働く共働き夫婦の男女1,000名に対して行った「家事分担に関する調査」のアンケート調査にフォーカス。共働き家庭における家事分担の実態を紐解きます。
あなたの家庭はいくつ当てはまる?「家事シェア満足度」をチェック
はじめに、知的家事プロデューサーの本間朝子さんが監修する「家事シェア満足度チェックテスト」をご自身でもチェックしてみましょう。
項目は全部で10項目。みなさんのご家庭はいくつあてはまりましたか? チェックの数が9個以上で「家事シェアマスター」、4~8個で「家事シェア見習い」、0~3個で「家事シェア初心者」です。
本調査時には、チェック項目に9個以上あてはまった方は全体の3割程度だったそう。「家事は家族で支え合ってするものだと思っている」という問いに「あてはまる」と答えた人は88%も居たものの、一方で「夫婦で家事シェアについて話し合っている」という方は過半数を割る47%でした。
では、家事分担の実態を見ながら、家庭内における課題を紐解きます。
共働き女性の半数が毎日2時間以上の家事を担当!
こちらは共働き夫婦の家事分担の実態です。調査対象者に家庭内での割合を聞いたところ、最も多い回答は「妻7割・夫3割」(18.4%)でした。
一方、回答者の性別ごとに見ると、「妻が6割以上担当している」と答えた女性は80%に達しているのにも対し、男性は65%と低い数値に。やや穿った見方をすれば、「男性が気づいていない家事も、実際は女性が負担している(男性はもっと協力しているつもり)」という実態がありそうです。
「あなたは1日当たりどれくらいの時間を家事に費やしていますか?」という問いでは、女性の半数が2時間以上と答えています。
「家事は分担するもの」という意識は高いにもかかわらず、依然として女性に家事の負担が偏っている、という現状が垣間見えます。
「あなたが理想とする家事分担の割合は?」と尋ねたところ、「妻5割・夫5割」が39%と、半々にしたいという意見が多いものの、「妻の負担を減らしたい」と答えたのは女性が60%、男性が56%。「現状維持したい」と答えたのは女性が37%、男性が56%。こちらの結果からも、まだまだ男性側の意識を変えていくことが必要そうです。
「家事は手伝うもの」というパートナーの意識に不満も
公平とは言えない家事分担。パートナーの家事に対する姿勢や対応に、みなさん不満は持っているのでしょうか。
男女それぞれにパートナーの家事に不満があるか尋ねると、「不満がある」と回答した男性は46%、女性は72%でした。
内訳として、女性側は「家事を『手伝うもの』と思っていること」と答えた人が43%。さらに「時間があるのにやろうとしない」(41%)、「やり方が気に入らない・雑なこと」(41%)という回答が上位に上がりました。
男性側は同じく「時間があるのにやろうとしない」(34%)、「やり方が気に入らない・雑なこと」(34%)が上位に上がった一方で、「思いやりや気遣いがない」(27%)や「やり方や結果にケチをつける」(24%)などにも票が集まったのも特徴的でした。
家事に関するルールがあるか尋ねた問いでは、全体の35%が「話し合いで決めたルールがある」と回答。また、全体の52%が「成り行きで決まったルールがある」と回答しています。
年齢別に見ると、世代が若くなればなるほど、ルールがきっちり定まっているご家庭が多いようです。
しかし調査内では、ルールの有無にかかわらず男女ともにパートナーへの家事の不満を抱えており、女性の半数が「ルールの見直しをしたい」とも答えているそうです。
「名もなき家事」は女性に多い!パートナーにしてほしい家事とは?
男女それぞれに、普段から行っている家事について尋ねました。
例えば主要な家事として「食事を作る」(女性89%、男性40%)、「洗濯機を回す」(女性89%、男性54%)、「掃除機をかける」(女性85%、男性61%)など、それぞれの比率に違いはあれど、基本ほぼすべての家事において、女性が担当している比率のほうが、男性が担当している比率よりも圧倒的に高くなっていました。
唯一同率となったのは「回収場所までゴミを出す」(男女ともに60%)。また、「風呂を掃除する」(女性75%、男性62%)、「換気扇を掃除する」(女性56%、男性37%)、「食器を洗う」(女性85%、男性65%)などは比較的男女差がない家事となっています。
一方で、最も男女差が大きい家事は「献立を考える」(女性85%、男性31%)。さらに「調味料を補充する」(女性78%、男性33%)、「キッチンや洗面所のタオルを交換する」(女性79%、男性34%)など、いわゆる「名もなき家事」に男女の差が大きく見られます。
「名もなき家事」は、気が付いた人が行うことも多いですが、夫よりも家事の割合が大きい妻のほうが見つけやすいため、結果的に妻の負担が増えていると言えそうです。
さらにそんな「名もなき家事」の存在や負担に、男性側は気づいてすらおらず、妻の不満が溜まってしまう…という構図もありそうです。
「自分が普段からしていて、パートナーにもしてほしい家事」を尋ねたところ、男性は「食事を作る」(48%)「献立を考える」(41%)「掃除機をかける」(36%)、女性は「回収場所までゴミを出す」(56%)「風呂を掃除する」(53%)「食器を洗う」(49%)と、全く違う結果になりました。
しかし男女ともに「面倒・負担に感じる家事」には、「食事を作る」「献立を考える」「食器を洗う」が上位3位に上がっているんです。
この結果より、家事を担当している男性は「面倒・負担に感じるので妻にもやってほしい」と思っている一方で、女性は「比較的簡単な家事を夫には担当して欲しい」と思っているのが見て取れます。
実際、食事を作ったり献立を考えたりするのは、ルーチン化しにくく難易度の高い家事のひとつであり、一定のクオリティを維持するために「自分でやるしか…」と思っている女性も多いようです。
男女差が大きかった「キッチンや洗面所のタオルを交換する」や「調味料を補充する」といった「名もなき家事」は、パートナーにしてほしい家事ランキングでは下位にランクイン。気づいたらサッとやらなければいけない家事だからこそ、いちいちフォローしたり、やり方を教える手間よりも、自分でパパッとやってしまうことを選んでいるのかもしれませんね。
家事プロデューサーによる「家事シェア3つのポイント」とは?
本調査内で本間さんは、家事シェアには3つのポイントがあると述べています。以下、本間さんの言葉を引用します。
1.定期的に話し合う場を持つ
家事の分担には、労働状況や健康状態、家事スキルなど多くの要因が影響します。そのため、唯一の正解は存在しません。だからこそ話し合いをしながら、最適なバランスを見つけていくことが大切です。また、 状況は日々変化するため、話し合いは一度きりではなく、定期的に行い、その時々に応じた解決策を探ることが必要です。
2.当事者意識を育てる
妻が家事分担に不満を感じる大きな原因の一つは、夫の『当事者意識の薄さ』です。妻は夫に家事の『手伝い』ではなく、当事者意識を持って家事をして欲しいと思っています。そのためには、『指示を待たずに自ら動く』『最後まで責任を持って行う』ことが求められます。また、妻側も夫に細かい指示を出すのではなく、家事全体を任せて、必要最低限のこと以外は口を出さないことで、夫の当事者意識が育ちやすくなります。
3.隠れ家事を共有する
家事には、目立たない『隠れ家事』が多く存在します。これらは家事全体を把握している妻が気づきやすい部分ですが、ひとつひとつは小さくても積み重なると大きな負担になります。そのため、夫婦で分担していくことが必要です。例えば、隠れ家事をリストアップし、何をどのように分担するのかを明確にすることで、家事の偏りを防ぐことができます。
*
共働きが当たり前になってきた世の中だからこそ、従来の家事分担を見直すことも大切なこと。
もちろん今すぐにすべてを平等に分担するのは難しいかもしれません。しかし、小さな不満や認識のずれをそのままにしておくのではなく、よりお互いがラクに不満なく過ごせるよう、ご家庭で話し合ってみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
「熱と暮らし通信 家事分担に関する意識調査」
調査期間:2024年7月23日~7月26日
調査対象:全国20~50代既婚男女 計1,000名、性年代均等、フルタイム勤務
調査方法:インターネット調査
調査主体:リンナイ株式会社
TOP画像/(C)AdobeStock
あわせて読みたい