Domani

働く40代は、明日も楽しい!

 

LIFESTYLE 雑学

2024.11.27

「老いらくの恋」はどういう意味? 言葉の由来や意味、年齢などをご紹介

老いらくの恋とは年老いてからの恋愛のことで、歌人・川田順の歌により生まれた言葉とされています。言葉の由来や意味、使い方、また、若いときの恋愛と異なる点や考慮したいポイントについてもご紹介します。

Tags:

「老いらくの恋」とは?意味と由来をご紹介

花束を持った男性と携帯を見る女性

(c)AdobeStock

老いらくの恋(おいらくのこい)とは、年老いてからの恋愛という意味で使われる言葉です。歌人・川田順氏が弟子と恋愛した際に、「墓場に近き老いらくの、恋は怖るる何ものもなし」と詠んだことから生まれたとされています。

なお、川田順が歌を詠んだ1948年、「老いらくの恋」は流行語にもなりました。1948年には他にも太宰治の小説を起源とする「斜陽族(第二次大戦後、世の中の急激な変化によって没落した上流階級の人々の意)」や、毎日新聞紙上で発表された獅子文六の小説「てんやわんや(大勢の人が秩序なく動き回り、ごった返すこと)」などの文学由来の流行語が多数生まれています。

おいらく‐の‐こい〔‐こひ〕【老いらくの恋】
年老いてからの恋愛。昭和23年(1948)、68歳の歌人川田順が弟子と恋愛、家出し、「墓場に近き老いらくの、恋は怖るる何ものもなし」と詠んだことから生まれた語。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

老いらくの文法的な解釈

老いらくの恋の「老いらく」とは、「老いる」の文語形「老ゆ」のク語法である「老ゆらく」が音変化したものです。

ク語法は、活用語の語尾に「く」や「らく」がついて全体が名詞化される語法で、「老いらく」以外にも「言はく」「語らく」「悲しけく」のように使われます。

老いらくの恋にまつわる文芸作品

「老いらくの恋」というフレーズは流行語となり、さまざまな場面で使われるようになりました。

また、「老いらくの恋」という言葉は、作家の創作意欲を刺激し、さまざまな小説のタイトルや見出し、テーマにも使われています。たとえば、倉橋由美子著『老人のための残酷童話』(2003年発売)には、『老いらくの恋』と題した短編が収められています。

今野耿介著『愛の軌跡』(2005年発売)は愛を巡るオムニバスストーリーですが、その中の1つのストーリーのタイトルに『老いらくの恋』が選ばれました。

また、江戸の市井の人々を描いた秋山香乃著『忘れ形見 漢方医・有安』(2006年発売)の見出しの1つにも、『老いらくの恋』が使われています。

川田順の恋愛をテーマとした小説もあります。たとえば、新井恵美子著『老いらくの恋』(2023年発売)は、川田順と弟子・俊子との出会いから川田の死、その後の俊子の生き方に至るまでを描いた小説です。

老いらくの恋についての意識

寄り添う老夫婦

(c)AdobeStock

当事者である高齢者自身は、「老いらくの恋」についてどのような考えを持っているのでしょうか。全国の60歳以上の男女を対象に1997年に実施された「平成8年度 高齢者の健康に関する意識調査」から見ていきましょう。

約半数が高齢者の恋愛をポジティブに捉えている

「平成8年度 高齢者の健康に関する意識調査」では、約半数の高齢者が、高齢者の恋愛について「良いことだと思う」と回答しました。

男性の過半数が「良いことだと思う」と回答したこと、また、「あまり良いことだとは思わない」「どちらともいえない」と回答した割合は女性のほうが高いことからも、男性が女性よりも恋愛をポジティブに受け止める傾向にあるといえます。

結果のイメージ

年齢階級別では、高齢になるにつれ「良いことだと思う」の割合が減少しています。60~64歳では過半数が「良いことだと思う」と回答していますが、80歳以上では28.0%のみ「良いことだと思う」と回答しました。

結果その2のイメージ

出典:内閣府「平成8年度 高齢者の健康に関する意識調査の結果について 概要版」

老いらくの恋のメリット

恋愛するという気持ちに、年齢は関係ありません。恋愛とは縁遠いと感じている人も、高齢になってから誰かを愛し、同じ時間を共有したいと思うようになるかもしれません。

老いらくの恋には、メリットも多数あります。いくつかご紹介します。

生活にハリが生まれる

恋愛は日常に変化をもたらします。一緒に出かけたり、電話やメッセージアプリで会話を楽しんだりと、恋愛していないときとは異なる習慣が生まれ、生活が鮮やかに色づきます。

また、同じ時間を共有できないときでも、恋愛は生活を変えるものです。「あの人は今なにをしているだろう」「次はいつ会えるのだろうか」と、相手を考えることに多くの時間が費やされるかもしれません。

アメリカの研究では、65歳以上の10%にはなんらかのうつ病性障害が見られたという報告もあり、高齢になることで気持ちが落ち込みやすくなる傾向もあるようです。

恋愛をすることで日常のルーティンが変化し、生活にハリが生まれます。明るい気持ちを保つためにも、恋愛が役立つかもしれません。

脳が活性化される

恋愛を通して「自分ではない誰か」と向き合うことで、脳が活性化されやすくなる点にも注目できます。

たとえば、どんなに言葉を交わして相手のことをよく知ったつもりでも、相手の考えや行動を完全に理解することは不可能です。そのため、恋愛は先が読めないことが多く、前頭葉の働きを活性化するといわれています。

また、恋愛が始まるとドキドキすることや楽しいと思うことも増えます。悩んだり、悲しんだりといった心の変化も生じるでしょう。いずれも前頭葉の働きの活性化と無関係ではありません。

前頭葉の働きが活発になると、問題が生じても簡単には投げ出さないようになり、深い思考が可能になるといわれています。

また、今まで蓄積してきた知識を適切な場面でアウトプットする能力も、前頭葉と深く関わっています。つまり、恋愛と前頭葉の働きは、それぞれがお互いを活性化する関係にあるといえるでしょう。

趣味や生活を共有できる

趣味や生活を一人で楽しむのも素敵なことですが、誰かと感情を共有することも楽しいことの一つです。

たとえば、観劇が趣味なら、お芝居やミュージカルを観に行くことは心躍るイベントです。同じ趣味の人がそばにいるなら、観劇の瞬間だけでなく観劇の前後にも意見や感想を交換でき、楽しい時間がさらに長くなります。

また、生活も同様です。一人で暮らすのも楽しいことですが、感情や出来事を共有する相手がいるのも楽しいことです。

話をすることや聞いてもらうこと、相手の立場に立って物事を考えること、自分の立場を理解してもらうことなどは、人生をさらに奥深いものにする経験といえるでしょう。

老いらくの恋を阻む問題

恋愛したいという気持ちがあっても、思うような形に進まないケースもあります。老いらくの恋にありがちな障壁をご紹介します。

家族からの反対

恋愛から結婚へと進むとき、家族から反対を受けるケースも少なくありません。たとえば、新しい家族と一緒に暮らすことに対して、同居家族が拒否感を示す可能性があります。

「知らない人と一緒には暮らしたくない」「お母さん(お父さん)の思い出が詰まった家に、勝手に立ち入らないでほしい」などと反対されるかもしれません。

また、同居家族が元々いない場合や結婚相手と二人で暮らす場合でも、子どもや親、兄弟姉妹などが結婚に反対する可能性があります。感情的な問題で反対するケースもありますが、財産分与が原因で反対するケースもあるでしょう。

たとえば、配偶者がなく子どもだけがいるケースでは、遺言をしない場合は、子どもがすべての財産を相続するのが原則です。

第三者に財産を遺すと遺言した場合でも、子どもにはそれぞれ法定相続分の半分の遺留分があり、財産を受け取る権利を持ちます。

しかし、配偶者がいる場合は、子どもは全財産の相続権を持ちません。配偶者の法定相続分が1/2となるため、子どもの法定相続分が半分に減るだけでなく、遺留分もさらに半分に減ってしまいます。

介護問題

結婚した相手の親が存命のときは、介護が必要なことがあります。愛する人と暮らすことで大きな喜びを得られても、介護の負担が大きく、結婚生活を続けることが難しくなるかもしれません。

また、自分や結婚相手も、いつ介護が必要になるかわかりません。年齢を問わず病気やケガにより介護が必要になることはありますが、高齢になるほど介護を必要とする人は増えるため、思い描いたような結婚生活を送れない可能性があります。

恋愛が苦手

恋愛が苦手で、結婚に至らなかった人もいるかもしれません。好意を抱く相手が見つかっても、それ以上は進めずに自然消滅した経験が何度もある人なら、老いらくの恋でも同様の結果になる可能性があります。

老いらくの恋をサポートする公的婚活

シニア結婚相談所

(c)AdobeStock

恋愛だけでなく結婚をしたいと考えるなら、婚活サポートサービスの利用も検討できるかもしれません。民間団体もありますが、自治体でも婚活サポートを実施していることがあります。

自治体が主導する婚活サポートサービスをいくつかご紹介します。ただし、その地域に居住していることや移住することが利用の条件となるケースも多いため、申込む前に確認しておきましょう。

また、ご紹介するサービスはいずれも20歳以上なら入会可能ですが、イベントによっては参加者の年齢が限定されることがあります。

“いきいき岩手”結婚サポートセンター「i-サポ」

「i-サポ」は、岩手県と市町村、民間団体による婚活サポートサービスです。結婚を希望している独身の20歳以上の人で、岩手県に居住している人や勤務先がある人、もしくは結婚後岩手県に居住できる人なら申し込めます。

会員登録制で、センターのタブレットから会ってみたい相手を選び、相手が承諾した場合はお見合いに進みます。

SAITAMA出会いサポートセンター「恋たま」

埼玉県の「恋たま」は、独身の20歳以上向けの結婚支援センターです。埼玉県に居住している人や勤務先がある人だけでなく、近い将来埼玉県への移住を考えている人も利用できます。

なお、男性の5%超は50歳以上と年齢の幅が広いことも「恋たま」の特長です。

きょうと婚活応援センター

きょうと婚活支援センターは、京都府に在住・在勤する20歳以上の独身の人向けのサポートセンターです。現時点で京都府に居住していなくても、結婚後移住を検討している人なら申し込めます。

登録すると、AIによるお相手紹介サービスや婚活支援ボランティアによるサポートを利用できます。

さが出会いサポートセンター

さが出会いサポートセンターは、20歳以上の結婚を希望する独身の方向けのサービスです。佐賀県内に居住していない人でも申し込めます。

実際に、「実家が佐賀県にある」「将来的に佐賀県に住む予定がある」などの縁で利用している会員もいます。

恋愛にもボーダレスな考え方を

老夫婦

(c)AdobeStock

年齢や性別などを超えたボーダレスな社会が進む中、恋愛にもボーダレスな価値観が生まれるのは自然な流れです。

「老いらくの恋」と特別視するのではなく、愛するという気持ちを忘れずに生きていくことは人として大切なことかもしれません。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

あわせて読みたい

Read Moreおすすめの関連記事

スマートフォンプレビュー

【登録無料】
Domaniメルマガ会員募集中

管理職世代の通勤コーデ、明日は何を着る?子供の受験や習い事、
どうする?人気モデル、ハイセンスなDomani読者モデル、教育のプロたちから
発信されるタイムリーなテーマをピックアップしてお届けします。
プレゼント企画やイベント参加のスペシャルなお知らせも!