事後報告とは?意味を解説
新しく覚えた言葉を日常会話の中で使ったり、第三者に意味を教えたりするためには、その言葉の意味を間違いなく知っていることが不可欠です。「事後報告」の意味と使い方を解説します。
ことが終わった後にする報告を指す
事後報告とは、物事が完了した後、上司や関係者に経過や結果を伝えることを意味します。
この言葉はビジネスの現場において、あまり好ましくない印象を持たれがちです。重要な項目を事後報告されてしまうと、問題が発生した際に対応が遅れる可能性があり、組織としての適切な判断や対処が困難になります。
また、事後報告は〝組織内のコミュニケーション不足によってもたらされるデメリット〟として捉えられることもあります。特に、上司と部下の信頼関係が十分に構築されていない場合には、事後報告が常態化しやすいので注意が必要です。
言葉としての「事後報告」の使い方
事後報告という言葉は、ビジネスシーンで頻繁に使用されます。「昨日の会議で決定した内容を事後報告させていただきます」「急な対応だったため、事後報告となってしまい申し訳ありません」といった具合です。
また、「事後報告になりますが」との前置きには、相手への配慮を示す「謝罪のニュアンス」を含むことがあります。
一方で、「事後報告で構いません」などの使い方もあります。これは上司が部下に対して、「報告せず先に進めてもらって構わないよ」という意味で使用する言い回しです。信頼関係が築かれている場合や定型的な業務において、このような表現が使われます。
事前報告と事後報告の違い
事後報告について深く理解するには、その対義語である「事前報告」に関する知識を学んでおくことも大切です。その概念を裏側から見つめることで、新しい一面に気づくこともあります。
事前報告と事後報告の違いを解説します。
事前報告は行動を起こす前に報告すること
事前報告とは、行動を起こす前に上司や関係者へ報告することです。
事前報告のメリットは、リスクの早期発見と対策が可能な点です。適切なタイミングで報告を行い、相談することで、上司や同僚からアドバイスを得られます。アドバイスを受けておけば、思わぬ問題点を事前に把握し、よりよい解決策を見つけることができます。
ただし、事前報告は必ずしも全ての案件に必要なわけではありません。肝心なのは、案件の重要度やリスクに応じて、適切なタイミングで報告することです。
事後報告でもOKなケース
ビジネスの現場では、基本的に事前報告が推奨されています。しかし中には、事後報告でも問題ないケースも存在するので覚えておくと便利です。
事後報告が適切なケースは大きく2パターンにわけられます。1つ目は、すでに上司から承認を得ている定型業務です。日々の在庫確認や通常の経費精算など、手順が確立されたルーティンワークが該当します。
2つ目は緊急性が高く、かつリスクの低い案件です。たとえば、顧客からの急な問い合わせに対して、過去の対応例と同様の返答をするケースのように、即座の判断が求められる軽微な業務がこれに当たります。
事後報告する人の心理とは?
ビジネスの現場には「いくら注意しても事後報告をやめない人」が存在する場合があります。そういった人々は、端から見れば「聞き分けのない人」と映るかもしれません。しかし事後報告をする裏には、その人なりの「道理」が隠れている可能性もあります。事後報告をする人の心理を解説します。
周りに配慮している
事後報告を行う人の特徴として挙げられるのが「周囲への配慮」です。「上司や同僚が多忙な状況で、ささいな案件について逐一報告すると相手の業務を妨げてしまうのではないか」と考えているのです。
ただし、この「思いやり」が裏目に出ることもあります。重要な案件を事後報告にしてしまうと、かえって上司や同僚へ迷惑をかけることにもなりかねません。そのため、案件の重要度や緊急性を適切に判断し、必要に応じて事前報告を行うのが大切です。
周囲への配慮は必要ですが、それが適切なコミュニケーションを妨げる要因とならないよう注意しましょう。
自分のペースで物事を進めたい
事後報告を選択する人の中には、「自分のペースで仕事を進めたい」との思いを持っている人もいます。「細かな確認や報告のたびに作業が中断されることを避け、業務の効率を上げたい」といった意図を持って事後報告をしているケースです。
特に、専門性の高い業務や創造的な仕事に携わる人は、集中力を保ちながら作業を進めることが重要です。頻繁な報告による中断は、作業効率を低下させる可能性があります。
しかし、この「効率重視」の姿勢には注意が必要です。自分のペースを優先するあまり、チーム方針や期待から外れた成果物をつくってしまうリスクがあります。
プライドの高さが原因のケースも
自分の判断や能力に強い自信を持っており、プライドの高さから事後報告を行う人も存在します。中でも、専門性の高い業務で実績を重ねてきた社員は、自身の経験や知識を過信し「報告は結果だけで十分」と考えてしまいがちです。
このような姿勢の背景には「自分の判断に間違いはない」というおごりや、「細かい確認は不要」という思い込みが潜んでいます。
しかし、どんなに優秀な社員でも独断専行には限界があります。プライドを適度に保ちながらも、必要な報告や相談を怠らない姿勢が重要です。
【報連相】の意味をおさらい
事後報告に関する知識を深めた後は、「報告」がひとつのキーワードとなる言葉「報連相」について学びましょう。「報連相」の目的や重要性を知れば、事後報告の問題点を改めて考えられるはずです。「報連相」の基本について解説します。
報告・連絡・相談をまとめた言葉
報連相とは、「報告」「連絡」「相談」という3つの言葉を組み合わせたビジネス用語です。職場で円滑なコミュニケーションを実現するための、重要な要素として知られています。
報告は、自分が担当する業務の進捗状況や結果を上司に伝えることを指します。連絡は、関係者全員が知っておくべき情報を共有することです。相談は、判断に迷う事項について、上司や同僚に意見を求めることを意味します。
これら3つの要素は、組織の中で情報を適切に共有し、スムーズな業務遂行を実現するために欠かせません。
報連相の目的・重要性
報連相が重要視される理由は、組織の効率的な運営と円滑なコミュニケーションが実現できる点にあります。適切な報連相はチーム内の情報共有を促進し、業務の質を向上させる効果があるのです。
特に、上司と部下の信頼関係を構築する上で大事な役割を果たします。なぜなら、タイムリーな報告や相談を通じて上司は部下の成長を支援でき、部下は安心して業務に取り組めるからです。
また、報連相は問題の早期発見と解決にも貢献します。業務上の課題を早めに共有することで、小さな問題が大きなトラブルに発展するのを防げるのです。
報連相をスムーズに行うポイント
報連相を円滑に遂行するためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、報告や連絡は簡潔かつ正確に行うことが大切です。要点を整理し、5W1Hを意識して伝えると、確実に相手へ情報が伝わります。
次に、タイミングを見極めるのも重要です。緊急性の高い案件は即座に報告・連絡・相談し、そうでないものは相手の業務状況を考慮して適切な時機を選ぶようにします。
上司側に立つならば、報連相を行う部下に対して「おひたし」の姿勢を心がけるのが重要といわれています。「おひたし」とは、報連相を受けたときの対応として、「怒らない」「否定しない」「助ける」「指示する」を推奨する言葉です。これを実践すれば、気負いなく報連相が行える職場環境をつくり上げていくことができます。
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