ビジネスシーンで「腑に落ちない」と感じる瞬間は、誰しも経験したことがあるでしょう。説明を受けても納得がいかない、不透明な意思決定がされる…。そんな場面で、この表現が頭をよぎることがあります。
この記事では、「腑に落ちない」の意味や類語、そのビジネスシーンでの使い方について掘り下げていきます。
「腑に落ちない」の意味と「腑に落ちる」との関係
まずは、「腑に落ちない」の意味から見ていきます。
「腑に落ちない」の意味
まずは、「腑に落ちない」の意味を辞書で確認しましょう。
腑(ふ)に落(お)ち◦ない
納得がいかない。合点がいかない。「彼が落選したのは―◦ない」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「腑に落ちない」とは、納得に至らない状態を指します。特に、ビジネスでは説明や方針が「理屈では理解できても、感覚的に納得できない」といった場面で用いられるでしょう。
「腑に落ちる」との関係
「腑に落ちる」は、物事が腹の中にストンと落ち、納得や理解が深まる様子を表します。この表現には、日本人特有の感覚的な言語観が反映されているかのようですね。
「腑に落ちる」よりも「腑に落ちない」の方がよく使われるでしょう。
「腑に落ちない」の「腑」とは?
「腑」とは「はらわた」のことで、内臓の総称として用いられています。表面をおおわれ内部にあることから、心や性根、物事の真髄や精髄を指すこともあります。
「腑に落ちない」の他にも、この意味から派生した言葉として、「腑抜け(ふぬけ)」などがあります。腑抜けは、はらわたを抜き取られた状態から転じて、意気地がないということです。
「腑に落ちない」の類語と言い換え表現
類語を使い分けることで、より的確に状況を伝えられるようになります。それぞれの言葉のニュアンスを理解し、表現の幅を広げましょう。
「納得できない」
「腑に落ちない」に近い表現として最もポピュラーなのが「納得できない」です。この言葉は、論理的な部分に焦点を当てる表現であり、「腑に落ちない」が感覚的な納得を重視するのに対して、理論的な不備を指摘する際に適しているでしょう。
(例文)「今回の予算配分については、いくつか納得がいかない点があります。再度詳細をご説明いただけますか?」
「合点がいかない」
「合点がいかない」は、「事情が理解できない」「理由が不明瞭で納得できない」といった意味を持ちます。
(例文)「先ほどの説明では、なぜその方法を選んだのかがわかりません。合点がいかないので、もう少し具体的にお話をお聞きしたいです」
「釈然としない」
「釈然としない」の「釈然」とは、「疑いや不安が解消されて心が晴れる様子」を表しています。つまり、「釈然としない」とは心にわだかまりがあるということ。心理的なモヤモヤしていることを強調する場面で使うのに適しているでしょう。
(例文)「今回のご回答で一定の理解はできましたが、一部釈然としない点が残っています」
ビジネスシーンでの「腑に落ちない」の使い方
「腑に落ちない」と感じたとき、管理職に求められるのはその感覚を放置せず、組織全体の成長につなげる行動です。単なる不満の表明ではなく、建設的な議論を引き出すための問いかけが鍵となります。ここでは、具体的な場面に即したアプローチ方法を解説します。
「この提案について、腑に落ちない部分があります。具体的なデータや事例を教えていただけますか?」
疑問点を共有する際は、質問の内容を深掘りする工夫が必要です。「なぜ腑に落ちないのか」を明確にし、数値や具体的な背景情報を求めることで、相手に的確な回答を促します。
このアプローチにより、互いの理解を深め、意思決定の質を向上させることができるでしょう。