「顧問」という肩書きを目にすることは多いですが、その具体的な役割や価値を深く理解している方は少ないのではないでしょうか? 管理職の立場であれば、「顧問」についてしっかり理解をしておきたいところです。
そこで、本記事では、顧問の定義や役割、報酬の実態を掘り下げ、管理職として知っておくべきポイントをお伝えします。
顧問とは何か?|役割と重要性を理解
「顧問」は単なるアドバイザーではありません。企業や組織が抱える複雑な課題に対し、専門性や経験を基にした洞察を提供する役割を担います。ここでは、顧問が持つ独特の立ち位置と価値について見ていきましょう。
顧問とは?
まずは、「顧問」の意味を辞書で確認しましょう。
こ‐もん【顧問】
1 会社、団体などで、相談を受けて意見を述べる役。また、その人。
2 意見を問うこと。相談すること。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
顧問とは、企業や団体からの相談や諮問に対し、助言や指導を行う役割を担う人を指します。企業活動の中で課題を解決したり、意思決定をサポートしたりする重要な存在です。
その一方で、顧問という役職は、会社法で定められたものではありません。したがって、顧問を置くかどうかは、各企業の判断に委ねられています。
内部顧問と外部顧問とは?
「顧問」には、大きく分けて「内部顧問」と「外部顧問」の2種類があります。それぞれの特徴を以下に紹介しましょう。
内部顧問
企業や団体に所属し、内部事情に精通した立場でアドバイスを行う役割です。多くの場合、元役員や退職後の社員が任命され、現場の知識と経験を生かして助言を提供します。
外部顧問
組織に所属せず、外部から独立した立場で助言を行う専門家です。経営コンサルタントや弁護士、技術者などが該当し、特定の分野における高度な知識や経験を提供します。
「特別顧問」とは?
「特別顧問」という役職の役割は、企業や組織によって異なるため、一概にその在り方を定義することはできません。一つの参考として「内閣特別顧問」の説明を辞書から引用して紹介しましょう。
ないかく‐とくべつこもん【内閣特別顧問】
内閣官房に置かれる非常勤の一般職国家公務員の職名の一つ。内閣総理大臣の諮問に応じて国政全般について大所高所から情報提供・助言を行う。→内閣官房参与
引用:『デジタル大辞泉』
この記述から、「特別顧問」の役割として以下の特徴を読み取ることができます。
俯瞰的な立場からの助言
組織やプロジェクトの全体像を把握し、広い視点で情報提供や助言を行います。日常的な業務への直接的な関与ではなく、大きな方向性を示すことが求められているといえるでしょう。
高度な専門性と信頼
内閣特別顧問の例では、国家規模の課題に対する助言が役割となっており、これには高度な専門知識や長年の経験が必要です。企業や団体における特別顧問も同様に、専門分野での卓越した実績が重視されます。
「特別顧問」とは、通常の顧問よりも重要な課題や特別なプロジェクトに携わり、組織にとって大局的な視点を提供する存在といえるでしょう。
顧問の給料や報酬の実態に迫る
報酬は顧問の価値を測る一つの指標ともいえます。「高額かどうか」が注目されがちですが、重要なのはその報酬がどのように算出されているかを知ることです。ここでは、顧問の報酬体系や相場を紹介します。
顧問の給料相場とは?
顧問の報酬は、企業規模や業種によって大きく異なります。中小企業では月額数十万円程度が一般的ですが、大企業では年間報酬が1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
また、報酬は常勤・非常勤の働き方によっても変わります。以下は、2010年に実施された「産労総合研究所」の調査データを参考にしたものです。古いデータですが傾向を知る一助となるでしょう。
常勤顧問:年間平均報酬 675万円
非常勤顧問:年間平均報酬 498万円
このデータは10年以上前のものではありますが、現在の相場感を考える際の一つの参考資料といえるでしょう。現在では、インフレーションや労働市場の変化により、さらに高額化している可能性があります。
会社における顧問の立場と役割を知る
「顧問を置くことで何が変わるのか?」この問いは、管理職が考えるべき重要なテーマです。ここでは、顧問の立場と役割、さらに企業が得られる具体的なメリットについて掘り下げます。
顧問の立場とは? 社員とも役員とも違う「第三の存在」
顧問は、社員や役員と異なり、企業内部に深く関与しない「独立した立場」を持つ存在です。この中立性が顧問の最大の特徴であり、企業の課題や意思決定を俯瞰的に捉える視点を提供します。
具体的には、以下のような役割を果たすでしょう。
課題の客観的分析
経営や現場が抱える課題をバイアスなく評価する。
冷静な助言
現場の利害関係に左右されず、中立的かつ論理的な意見を提示する。
組織のバランス向上
組織内部の偏見や思い込みを排除することで、意思決定の質を高める。
会社が顧問を迎えるメリットとは?
顧問を迎えることで、企業は多くのメリットを享受できます。その中でも特に重要なのが、「経験知の活用」です。
業界知識の提供
顧問が持つ豊富な業界知識は、新規事業開拓や市場参入時に大きな力となります。例えば、特定市場での規制や商習慣に関する知見を基に、戦略を最適化できます。
ネットワークの活用
業界で築かれた人脈や関係性を活用し、ビジネスチャンスを広げることが可能です。
経営へのフィードバック
経営陣に対し、冷静かつ的確なフィードバックを提供することで、戦略の精度や実行可能性を高めます。
さらに、顧問の客観的視点は、組織全体が新しい視点で課題を捉えるきっかけにもなるでしょう。このように、顧問は企業にとって「補強材」のような役割を果たしながら、長期的な成長を支える存在ともいえますね。
最後に
顧問という役割は、企業の未来を支える大きな柱です。その立場や報酬の背景には、長年培われた知識と経験があり、それが組織全体の進化に繋がります。本記事が、顧問という役割についての理解を深め、よりよい意思決定に役立つヒントとなれば幸いです。
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