「徐々に」
「徐々に」とは、少しずつ変化するさまを表す言葉です。変化を表す点は「なしくずし」と同様ですが、「曖昧にする」という意味はありません。
また、「徐々」という言葉には「落ち着いてゆったりしている」、「変化がゆっくり」などの意味があります。
そのため「徐々に」は急激な変化ではなく、ゆっくりと少しずつ変わるものに対して適した表現といえるでしょう。
- 毎日の運動が功を奏したのか、体重が徐々に減ってきた。
- 台風が近づき、徐々に風が強くなってきた。
- 駅のホームに近づいた電車は、そのスピードを徐々に落とした。
「段々と」
「段々と」とは、「徐々に」と同様に物事がゆっくりと変化するさまを表します。順を追って、1つひとつ物事が変わることを意味する言葉です。
こちらも、「なしくずし」のような「物事を曖昧にする」という意味はもちません。日常生活やビジネスなど、幅広いシーンで活用できる語句といえます。
- 4月に入り、季節が段々と春めいてきた。
- 入社から半年が経ち、仕事ぶりが段々と板についてきた。
- 業務内容への理解が深まり、段々と仕事がおもしろくなってきた。
「なしくずし」と反対の意味をもつ言葉
「なしくずし」と反対の意味をもつ言葉には、「一気に」や「急速に」が挙げられます。

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「一気に」は、物事をいっぺんに行うことです。そのため、「借金を一気に返す」と「借金をなしくずしに返す」では、正反対の意味になります。
また、「急速」とは、物事の進み方が非常に速いことです。こちらも、少しずつ変化することを表す「なしくずし」とは、反対の意味をもちます。
日常生活では、それぞれ以下のように活用してみましょう。
- 猛暑のなか外回りから帰ってきた彼は、テーブルの上の水を一気に飲み干した。
- わずか数年で、インターネットの技術は急速に進化した。
「なしくずし」の誤った使い方に気を付けよう

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「なしくずし」は、誤用されやすい言葉です。「借金をなしくずしに返す」とした場合は、すべてをなくすのではなく、少しずつ返していくことを表します。
また、「なしくずし」には「徐々に」や「段々と」のような類語があります。「なしくずし」はネガティブな印象を与えることがあるため、シーンに応じた使い分けが大切です。
類語や対義語も含め、それぞれの意味を正しく理解しながら「なしくずし」という言葉を日常会話に取り入れてみてください。
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