「他愛のない話」とは

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「他愛のない」の意味を知らなければ、「他愛のない話」がどのような話を指すのかはイメージしにくいはずです。ということで、まずは「他愛のない」の意味について解説します。あわせて「他愛のない話」という言葉を使うときの注意点もチェックしておきましょう。
「他愛のない」の意味
「他愛のない話」の「他愛のない」とは、「取るに足らない」「大したことがない」「しっかりとした考えがない」などの意味を持つ言葉です。すなわち「他愛のない話」は、「くだらない話」「つまらない話」「雑談」などを表します。
たわい‐な・い【たわい無い】
[形][文]たわいな・し[ク]《「たあいない」とも》
1. 正体がない。また、しまりがない。「―・く眠りこける」
2. しっかりした考えがない。また、幼くて思慮分別がない。「―・く冗談を交わす」「―・い子供のいたずら」
3. 手ごたえや張り合いがない。「―・く負ける」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
そもそも「他愛」という漢字は当て字です。元は「たわい」なのですが、口にする際言いやすい「たあい」に変化していき、その後にこの漢字があてられたのだそう。ちなみに「たわい」という言葉は「思慮分別」などの意味を持っています。
なお、取るに足らないことを表す正しい表現は「他愛ない」「たわいない」です。この言葉が変化して生まれたのが「他愛のない」「他愛もない」という表現とされています。
使用するときの注意点
「他愛のない話」という言い回しは、使い方を誤ると相手を不快にさせる可能性があるため、十分注意しましょう。たとえば、一生懸命伝えてくれたことを「他愛のない話」と表現すると、相手に「自分は軽んじられているのかもしれない」などと感じさせてしまう恐れがあります。
また、「他愛のない」はフランクな表現なので、使うときにはTPOを意識することが大切です。フォーマルな場で使えば「品性に欠ける人」と思われるかもしれません。
「他愛のない話」の例

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「他愛のない話」を日常的にしない人は、「くだらない話というけれど、実際にはどんな話が他愛のない話なの?」という疑問を抱くはずです。ここでは、プライベートなシーンとビジネスシーンで話題になる「他愛のない話」の例を解説します。
プライベート
プライベートなシーンで交わされる「他愛のない話」の例は以下のとおりです。
・休日の過ごし方
・住んでいる場所
・好んで行くお店
・SNSのトレンド
・最近の出来事
プライベートな場面における「他愛のない話」の代表例といえば、やはり「休日の過ごし方」。余暇をどのように過ごしているかを尋ねれば、相手の趣味嗜好や家族との過ごし方など、ほかのさまざまな話題に発展していくでしょう。
また、最近起こった出来事に関する話題も「他愛のない話」の一例です。面白かったことを話題にするのはもちろん、怒りを覚えたことを共有すれば、会話の輪に不思議な連帯感が生まれるかもしれません。
ビジネス
ビジネスシーンで話題になる「他愛のない話」の例は以下のとおりです。
・ニュースや時事ネタ
・職場周辺のお店
・共通の知人の話
・季節や天気の話
・話題になっているドラマや映画の話
その場をつなぐ話題として定番なのが、「季節や天気の話」です。「近頃ぐっと暖かくなりましたね」と切り出せば、この一言を皮切りに桜前線や衣替えの話に発展していくでしょう。そこから「春が来たと思ったらすぐに夏が来ちゃうんでしょうね」とつなげていくと、四季がなくなりつつある日本の現状を互いに憂うことができます。
同僚や取引先の人などに代表される「共通の知人の話」も、ビジネスシーンで話題になる「他愛のない話」のひとつです。「〇〇さんの家に赤ちゃんが生まれた」「〇〇さんの長女がピアノを始めたらしい」など、ポジティブな話題で盛り上がるのもよい手段です。
「他愛のない話」ができるようになるには

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会話が苦手な人の中には、「他愛のない話をするのが難しい」と感じている人もいるはずです。しかし、「他愛のない話」はちょっとしたコツを意識するだけで実践可能。ということで、「他愛のない話」ができるようになるためのポイントを紹介します。
話す相手に興味を持つ
「他愛のない話」で盛り上がる際に欠かせないマインドが、「相手に興味を持つ」という姿勢です。
相手に興味を持ってさえいれば、たとえそれほど親しい間柄でなくても、「他愛のない話」のネタになる質問が自然と出てくるでしょう。特に興味を持つ相手に対しては、「この人のことをもっと知りたい」という気持ちが自然と溢れて、次から次へと質問が飛び出てくるはずです。
会話を続ける中で言葉の端々から「あなたに興味がある」という意思が伝われば、相手も気持ちよく自分のことを話してくれるはず。場合によっては、こちらから質問せずとも自己開示してくれるかもしれません。
適度に質問を織り交ぜる
会話の中で相手に質問を投げかけると、ナチュラルに何気ない会話が続いていきます。
「会話を楽しむ」という感覚が薄い人の中には、相手との会話を続けることばかりに注力してしまう人がいますが…楽しむのでなく続けることに夢中になると、ついつい自分ばかりが話してしまいがちです。自分発の会話の場合は、ネタが尽きたと同時に会話も途切れてしまうでしょう。
相手に質問を投げかけて話を引き出せば、無理矢理にネタを探さなくても会話が続いていきます。適度に質問を織り交ぜて、相手に話してもらう時間をつくってみてください。
相槌を上手に使う
「他愛のない話」を成立させるには相槌が欠かせません。上手に相槌を打つことで、相手との会話がよりスムーズになります。
相槌を使うメリットのひとつとして挙げられるのが、「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」というメッセージが伝わる点です。相手の話に関心を持っていることを、相槌を通して表現できれば気持ちよく話してもらえるでしょう。
また、会話におけるクッション材のような役割をしてくれるのも利点です。リアクションなく質問ばかりを繰り返していると、何気ない会話が尋問のようになり、相手にストレスを与えてしまいます。適度に相槌を挟むことで、会話にゆとりが生まれるのです。
他愛のない話で相手と時間を共有しよう

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会話に意味を求めてしまう人にとって、「他愛のない話」は「意味のないもの」「時間の無駄」と映るかもしれません。しかし、「他愛のない話」は他者との関係を良好に保つために役立ちます。日常のエピソードやホットな話題を通して相手と楽しい時間を過ごすこと自体が、「他愛のない話」の価値といえるのです。ぜひ、コミュニケーションの中に取り入れて、目の前の人と笑い合える時間を共有しましょう。
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