ジャケットを着る機会が増える季節、清潔に保ちたいと考える人も多いでしょう。しかし、「クリーニングに出すと費用がかかる」「洗濯機で洗えるのか分からない」と悩む声もよく聞かれます。実は、ジャケットは自宅で洗えるものもあります。ただし、正しい方法で洗わなければ型崩れやシワの原因に…。
この記事では、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにジャケットを洗濯機で洗うためのポイントや、失敗しないコツをお聞きしました。自宅でケアする方法を知り、大切なジャケットを長持ちさせましょう。
ジャケットは洗濯機で洗える? 確認すべき3つのポイント
ジャケットを自宅で洗う際、最も気になるのは「洗濯機で洗えるのか?」という点です。洗濯機を使う前に、ジャケットの状態や素材を正しく確認することで、失敗を防ぐことができます。ここでは、洗濯表示の見方、素材ごとの特徴、事前準備の重要性について解説します。
洗濯表示をチェック! 水洗いの可否を見極めるポイント
ジャケットの内側についている洗濯表示は、洗濯の可否を判断する大切な手掛かりです。特に「洗濯機マークがあるか」「手洗いマークがあるか」「水洗い不可の表示があるか」の3点をチェックすることで、自宅で洗えるかどうかが分かります。水洗い不可のマークがある場合は、クリーニングを検討すべきです。
一方で、洗濯機マークがついていれば、適切なコースを選べば自宅でも洗えます。洗濯表示は素材や製造メーカーによって異なるため、洗う前に必ず確認しましょう。

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ジャケットの素材で異なる洗濯適性|デリケートな生地は注意が必要
一般的には、ポリエステルやナイロンは比較的丈夫で洗濯機での洗濯が可能な場合が多く、ウールやカシミヤは水に弱く、型崩れしやすく、水につけたことによって身丈や袖丈が縮しまうんでことが多い慎重なケアが求められます。
撥水加工が施されたジャケットも、洗濯を繰り返すことで撥水効果が落ちるため、専用のケアが必要になります。また、裏地の有無や縫製の違いによっても適した洗い方が変わるため、素材の特徴を理解することが肝要です。
また、洗濯機マークまたは手洗いマークの表示がないジャケットに関しては、水洗いに対応しておらず、ミシンステッチが縮み、元に戻らない、または戻りにくい状態になる場合が多いです。美しいシルエットを保ちたいのであればご自宅での洗濯は避けるべきです。
洗濯前にやるべき準備|縮みや型崩れを防ぐ方法【洗濯機マークまたは手洗いマークがついているジャケットについてのみ】
洗濯機での洗濯によるダメージを最小限に抑えるためには、事前準備が欠かせません。まず、ジャケットのポケットに物が入っていないか確認し、ファスナーやボタンをしっかり閉じることが大切です。
これにより、型崩れやほつれを最小限に防ぐことができます。また、ジャケットを洗濯ネットに入れることで、摩擦による生地の傷みを軽減できます。ネットに加えて畳んで入れると、よりダメージを防げます。準備のひと手間が、仕上がりを大きく左右するため、洗う前の対策を忘れずに行いましょう。
ジャケットを洗濯機で洗う方法|失敗しない洗い方を解説
洗濯機でジャケットを洗う際、間違った方法を選ぶと型崩れや色落ち、袖丈や身丈の縮みの原因になります。適切な手順を知り、ジャケットの風合いを損なわずに洗い上げる方法を確認しましょう。
ジャケットの洗濯に適した洗剤と洗濯コースの選び方
ジャケットを傷めずに洗うには、洗剤と洗濯コースの選択が肝要です。おしゃれ着用洗剤を使うと、生地の風合いを保ちやすくなります。漂白剤が含まれていないものを選び、色落ちのリスクを避けましょう。
また、洗濯機のコースは「ドライコース」や「手洗いコース」などの優しい水流を選び、摩擦や負荷を軽減させることが重要です。ジャケットの厚みや裏地の素材によっても適した洗い方が異なるため、洗濯機の機能を確認し、適切なコースを選びましょう。
洗濯ネットの活用で型崩れを防ぐコツ
洗濯ネットを使うことで、ジャケットの形崩れや生地の傷みを最小限に抑えることができます。ネットのサイズは、ジャケットがゆとりを持って収まる大きさが理想的です。サイズが小さすぎるとシワができやすく、大きすぎると洗濯時の動きが増えて摩擦が生じやすくなります。
また、畳んでネットに入れることで、洗濯機内での回転による負荷を軽減できます。ジャケットの種類に応じたネットの使い方を押さえることで、ダメージを抑えながら洗うことが可能です。

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洗濯後の干し方|シワを防ぐための正しい乾燥方法
洗濯後の乾燥方法によって、仕上がりの状態が大きく変わります。脱水後はすぐに取り出し、形を整えた上でジャケットの肩幅に合ったハンガーにかけることが肝要です。直射日光を避け、風通しのいい場所で陰干しすることで、生地のダメージや色あせを防げます。乾燥機の使用は生地を縮ませる原因となりますので避けてください。
ジャケットの洗濯頻度は? クリーニングと自宅洗いの使い分け
ジャケットの洗濯頻度は、素材や着用シーンによって異なります。具体的には、スーツジャケットのようにインナーを着る前提のものは、3〜5回着用ごとに洗うのが適切とされていますよ。
一方で、直接肌に触れることが多いカジュアルジャケットは、汗や皮脂の蓄積を考慮し、2〜3回の着用ごとに洗うのが理想的です。汚れや匂いが気になる場合は、部分的なケアで対応し、過度な洗濯を避けることがジャケットの寿命を延ばすポイントとなります。
クリーニングと自宅洗いのメリット・デメリット|どちらを選ぶべき?
ジャケットの洗濯方法を選ぶ際、クリーニングと自宅洗いのメリット・デメリットを理解することが重要です。
<クリーニングのメリット>
1. プロの技術で仕上げるため、型崩れや縮みのリスクが低い
2. 特殊加工が施されたジャケット(撥水加工、ウール混など)も適切に洗える
3. アイロン仕上げにより、シワなくきれいな状態を保てる
<クリーニングのデメリット>
1. 費用がかかる(1回あたり1,000〜2,000円程度)
2. 頻繁に利用するとコスト負担が大きくなる

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<自宅洗いのメリット>
1. コストを抑えられるため、気軽に洗える
2. すぐにケアできるため、汚れが定着しにくい
<自宅洗いのデメリット>
1. 洗い方を誤ると型崩れや生地の劣化を招く
2. 洗濯機の使い方によっては、シワが残る可能性がある
ジャケットの種類や用途に応じて、クリーニングと自宅洗いを適切に使い分けることが大切ですね。
最後に
ジャケットを自宅で洗うのは難しそうに思えますが、適切な方法を知っていれば、クリーニングに出さずとも清潔に保つことができます。洗濯機での洗い方や、素材ごとの違いを理解することで、失敗を防ぐことができます。ぜひ今回紹介した方法を活用し、大切なジャケットを長持ちさせてください。
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