憲法記念日とは?
憲法記念日はいつで、どのような日なのでしょうか?まずは日付や意味など基本的な知識を得ましょう。
毎年「5月3日」が憲法記念日
憲法記念日は、「日本国憲法が施行された日」を記念するものです。実際に施行されたのは1947年5月3日で、その翌年には祝日法により、国民の休日となりました。現在ではゴールデンウイーク中の祝日の1つとして親しまれています。
祝日が日曜日と重なる年は、その日以降の最も近い平日が「振替休日」になります。直近では2020年が日曜日に重なったため、最も近い平日の5月6日水曜が振替休日となりました。4日は「みどりの日」、5日は「こどもの日」で、それぞれ祝日だったためです。
日本国憲法が施行された日
国民の祝日は、よりよい社会を目指し、国民みんなで祝ったり感謝したりする日です。2024年時点では年間に16日あり、それぞれに意味があります。
日本国憲法は、多くの犠牲者を出した第二次世界大戦の経験を生かし、平和な国を目指して制定されました。その憲法の施行を記念して制定された祝日が、憲法記念日です。「国のさらなる成長を期待する」という思いも込められています。
憲法記念日の由来
憲法記念日の由来を知るには、日本の歴史的背景を把握する必要があります。ここでは、憲法記念日が5月3日になった経緯を紹介します。
日本国憲法が公布されたのは「11月3日」
日本国憲法は、1946年11月3日に公布されました。公布された日が記念日にならなかった理由は、戦後の歴史的背景が関係しています。11月3日は、明治天皇の誕生日でもあったことが大きな理由です。
旧憲法の「大日本帝国憲法」における主権者は天皇でしたが、日本国憲法では国民主権になりました。第二次世界大戦後、日本を占領していた連合軍の総司令部であるGHQは、再び憲法と天皇を結びつけることに難色を示しました。同じ過ちを犯さず平和な国として成長するには、天皇と国民の関係性を弱める必要があると考え、11月3日を憲法記念日にするという案に強く反対したといわれています。
参考:新憲法の公布日をめぐる議論 | 日本国憲法の誕生|国立国会図書館
11月3日・文化の日についてもチェック
もともと明治天皇の誕生日で、日本国憲法が公布された日でもある11月3日の新しい名称を考える必要がありました。「文化の日」が選ばれた理由は、日本国憲法が平和や自由、文化を重んじていることが理由です。祝日の意味も「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」となっています。文化の日の有名な行事といえば「文化勲章親授式」で、皇居で天皇陛下から文化の発展に大きな功績を残した人物に贈られます。
全国各地の美術館や博物館で入館料が割引や無料になったり、特別なイベントが開催されたりもするので、家族みんなで文化に触れる一日にするのもおすすめです。
参考:勲章親授式 – 宮内庁
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憲法記念日に行われる行事
文化の日のように、憲法記念日にも決まった行事があるのでしょうか?主な行事についてまとめました。
「5月1日から7日」は憲法週間
憲法記念日を挟む5月1日から7日は「憲法週間」とされており、法務省や裁判所などが憲法の意義や理解を深める活動を行っています。例えば、法廷や庁舎見学、民事調停の模擬体験、裁判官や検察官への質問など、貴重な体験が可能です。無料の法律相談会を実施しているところもあります。
小学生から高校生を対象としたプログラムもあるので、ゴールデンウイーク中のイベントとして楽しむことができます。年度によって内容が異なる可能性もあるため、法務省や検察庁のホームページを確認すると良いでしょう。
さまざまな取り組みも
個人の尊厳や自由といった憲法に関するシンポジウムや講演会も開催されています。無料で参加できるものも多く、憲法学や歴史学に精通した大学教授や弁護士の話が聞けます。Zoomなどを使ったウェビナー形式のイベントもあり、自宅からパソコンやスマホを利用して参加可能です。
世界にある憲法記念日
憲法記念日が祝日になっているのは、日本だけではありません。日付はさまざまですが、偶然にも日本と同じ5月3日なのが、ポーランドです。近代的な成文憲法としてはヨーロッパ初といわれており、この日は中世の鎧(よろい)に美しい羽飾りが付いた衣装を着てパレードが行われます。
ノルウェーでは5月17日が憲法記念日。民族衣装をまとい、国旗などを手にブランスバンドに合わせてパレードするのが恒例です。特徴的なのが、子どもが中心となって行われる点です。ゲームや映画鑑賞などもあり、子どもにとって楽しいイベントになっています。
インドでは1月26日です。こちらでもパレードが行われ、伝統舞踊なども披露され盛大に祝うのが恒例です。
その他、スペイン・デンマーク・カンボジアなどでも憲法関連の祝日があります。
日本国憲法の三原則を子どもに説明しよう
日本国憲法の基盤となっているのが、「三原則」です。いざ子どもに説明しようとすると、分かりやすく説明するのが難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。そこで、子どもにも分かりやすいように解説します。
国民主権
「国民主権」とは、最終的に国や政治に関する意思決定ができる権利が国民にあるという意味です。子どもにも分かりやすくいうと、「決めごとは誰かが勝手に決めるのではなく、みんなで決めよう」ということです。
「大日本帝国憲法」は天皇主権で、天皇の一存で意思決定が可能でした。日本国憲法では、主権が天皇から国民に変わったことが大きな変化の1つでした。国民は政治に関心を持ち、よりよい国を作るために適切な判断をし、意見や考えを政治に反映さえていくことが大切です。国民の代表となる国会議員を選ぶ選挙に参加することは、意見や考えを政治に反映させることにつながります。
基本的人権の象徴
人が生まれたときから持っている権利が「基本的人権」です。誰でも生まれながらにもっている人間らしく生きる権利を大切にしようという意味です。
具体的には、思想・表現・職業選択などの自由に関わる「自由権」、差別なく平等に扱われる「平等権」、教育を受ける権利などの「社会権」、政治に参加する権利の「参政権」など、さまざまな権利も含まれています。
基本的な人権が守られていないことで起こっている現代の問題として、就職や職場での差別や性別による差別などがあり、今後積極的に解決すべきといえます。
平和主義
「平和主義」を簡単に説明すると、平和な暮らしを維持するために他の国と戦争をしないということです。そのために、「戦争放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」を定めています。
日本は過去に戦争をして多くの尊い命を失いました。悲惨な戦争を二度と繰り返さないという強い決意のもとで、平和主義の原則が掲げられています。
季節の行事を親子でいっしょに学べる絵本形式の実用書です。ものごとの由来やしきたり、遊び方、箸の持ち方、衣服のたたみ方など、行事を子育てに役立てるコツを豊富なイラストで楽しく紹介。文化と愛情を伝える「行事育」が手軽に実践できます。
監修/和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)ほか多数。
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