ただし、ビジネスシーンで自社の製品やサービスをアピールする際に「特色」が使われることは少なく、「特長」のほうが一般的です。
意外と迷う?「特徴」と「特長」の違いとは

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ビジネスメールや資料を作成していて、「特徴」と「特長」のどちらを使うべきか迷ったことがある方は多いのではないでしょうか。この二つの言葉は似ているようで、実は使い方やニュアンスに違いがあります。
それぞれの意味と使い方、ビジネスで考えられる誤用をチェックしていきましょう。
「特徴」の意味と基本的な使い方
辞書では「特徴」を、次のように説明しています。
とく‐ちょう【特徴】
他と比べて特に目立つ点。きわだったしるし。「—のある声」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
つまり「特徴」は〝良し悪しを問わず、ほかの物と比較したときに目立つ点〟という意味を持つ言葉です。たとえばデザインや色、形状など、ほかと異なるところを伝える際に用いられます。
ビジネスシーンで使うのは、従来の製品やサービスと違う要素を説明するときです。良し悪しのニュアンスを含まないため、ほかと比較してマイナス点を示す際にも使用できます。
「特長」の意味と基本的な使い方
「特長」は辞書で、以下のように定義されています。
とく‐ちょう〔‐チャウ〕【特長】
他よりも特にすぐれている点。特別の長所。「—を生かす」「この機種の—は操作しやすいことだ」「水に強く軽いのがこの生地の—だ」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
こちらは「特徴」とは異なり、特にプラスになる点を表します。「長」という字自体に「優れている」という意味があるため、ほかと比較して悪い点を表すときには不適切な言葉です。
ビジネスシーンでは、製品やサービスの強みやアピールポイントを伝えるために使われます。似た言葉に「特色」があり、こちらもほかと比べて優れて目立つ点という意味です。

ビジネスで誤用されやすい例
ビジネスシーンでは、「特徴」と「特長」の使い分けを誤ると、意図が正しく伝わらない恐れがあります。たとえば「特長」を使うべき場面で「特徴」を使った場合、伝えたいポジティブなニュアンスが弱まってしまうのです。
【顧客に見せる提案書の例】
○「弊社サービスの特長は、他社に比べてサポート体制が手厚く導入のハードルが低いことです。」
×「弊社サービスの特徴は、他社に比べてサポート体制が手厚く導入のハードルが低いことです。」
「特長」を使えば、例でいうサポート体制や導入ハードルの低さを「優れている点」としてしっかりとアピールすることができるでしょう。しかし、「特徴」では単なる違いを述べているように受け取られる可能性があり、提案書としての効果が弱まってしまいます。
逆に「特徴」を使うべき場面で「特長」を使うと、客観性が失われ、営業色が強くなってしまうのが問題です。
「特徴」と「特長」をビジネスでうまく使い分けるポイント

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言葉の違いを理解した上で大切なのは、実際にどう使い分けるかです。提案書やメール・会話などで「特徴」「特長」を使い分けるための判断ポイントと、具体的な例文を紹介します。
メール・提案書で迷ったときの選び方
「特徴」と「特長」で迷ったときは、「ほかよりもプラスになる点をアピールしたいかどうか」を考えましょう。例として提案書やプレゼン資料では、製品やサービスの優れた点を強調するために「特長」を使うと効果的です。
製品の仕様書やスペック表に付随する文章など、客観的な情報を述べる際には「特徴」が適しています。「特長」にはない中立的なニュアンスを表現でき、読む人に営業的な印象を与えにくくなります。
例文で理解する「特徴」と「特長」の使い分け
実際に例文を見ると使い分けのイメージが涌きやすくなりますので、「特徴」「特長」それぞれを使った例文をいくつか見てみましょう。使用シーンごとに紹介します。
【フラットな商品紹介の例文】
「この商品の大きな特徴は、折りたたむと手のひらサイズになることです。」…ほかの製品と比較して目立つ仕様を、客観的に紹介できている。【自社商品の宣伝の例文】
「弊社商品の特長は、軽量で持ち運びやすい点とバッテリーの持ちが良い点です。」…購入の決め手になるような「優れているポイント」をアピールしている。【自社サービスの説明の例文】
「弊社のサービスはサポート体制に特徴があり、1社につき1人の専任スタッフが配置されます。」…他社と違う仕組み・構造に焦点を当てて客観的に説明している。
このように、目的に応じた使い分けを身につけておけば、どちらを使うべきか迷う場面はほとんどなくなるでしょう。
「特徴」「特長」以外にも使える表現を身につけよう

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ビジネスシーンでは、言葉の選び方一つで印象が大きく変わります。「特徴」「特長」だけでなく、印象を和らげたり、的確に伝えるために役立つ言い換え表現も覚えておくと便利です。
たとえば「特長」を並べすぎて営業色が強い印象になってしまうときは、「強み」「魅力」「ポイント」など、やわらかく伝える言葉を取り入れてみましょう。
使う場面や相手に応じて適切な表現をマスターしておくことで、ビジネスシーンでのやりとりに磨きがかかります。
まとめ
- 「特徴」は、中立的に目立つ点を示す表現であり、良し悪しのニュアンスは含まれない
- 「特長」は、ほかと比べて優れている点を伝えるときに使う
- ビジネス文書では、伝えたいニュアンスに応じた言葉を慎重に使い分けて
「特徴」「特長」のように、似た言葉の使い分けに迷ったときは、その単語の持つ意味合いを理解すると適切に使えるようになります。必要に応じて「強み」「魅力」など別の表現も織り交ぜながら、意図がしっかり伝わるビジネス文書を作りましょう。
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Domani編集部
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