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LIFESTYLE 家族

2019.06.29

目を見開いて、震え出した父にパニック!【うちのダディは脳梗塞11】

 

カリスマモデルとして活躍した10代を経て、20代でデザイナーに転身した佐藤えつこさん。順調にキャリアを築き、「まだまだこれから!」という35歳のとき、父親が脳梗塞で倒れました。アラフォーにして介護歴は4年に。だれにでも起こりうる、けして他人事ではない介護のリアルを語ります。「思わずパニックになってしまった」という退院後の非常事態とは――。

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ダディの息が止まってる…!?

 

無事退院して安心したのも、つかの間。「それ」は突然起きました。

退院して2日目に、ダディをトイレに連れて行ってベッドに戻そうとしたら、車いすに座ったまま急にビーン!と伸びてブルブルと痙攣し始めたのが最初。

「何が起きたの?!」「えっ?!」とビックリしている間に、ダディが「ゔー、ゔー」と凄い力で歯を食いしばりながら、車椅子から落ちそうになっていて。私と母は焦りながらダディの体を抑えるのに必死で、あたふたしているうちに今度は、ぐったりと意識が飛んでいる様子。

目を見開いて、なんと息まで止まっているんです。

「お父さん!! お父さん!! しっかりして!!」と呼びかけても、まったく反応もなく。

「やばい! このままじゃ死んじゃう!!」

かかりつけの先生に先に電話すべきか、救急車を呼ぶべきか、血の気が引く思いですごく迷って、そのときは119番に電話しました。そして、救急車の到着を待つことしばし、、、。

「あれ? なんかダディ、ケロッとしてない?」

家族がみんな混乱しているうちに、救急車が到着。何ごとか、とキョロキョロあたりを見回しているダディ。

隊員の方に経緯を説明すると、おそらく脳の神経細胞のリズムが乱れて起こる〝てんかん(癲癇)〟の症状ではないかとのこと。5分程度であれば命には別条はない。ただし、30分続くと重責状態(※)といって救急治療が必要だったり、後遺症の可能性が高まる危険ゾーンに突入するので、周囲の注意が必要とのアドバイスをもらいました。しばらく様子を見てもらって問題がなさそうだったので、ホッとひと息。その日は救急車をキャンセルすることに。

しかし、このてんかん、症状は本当にさまざまなんです。

いきなり倒れて意識を失う、ブルブル震え出す、何かに怖がって逃げようとして険しい形相で訴えてくる、体が縮んで硬直する、数分間ボーッとするetc…。高齢者の場合は認知症と間違えられる場合もあるのだそう。思い返すと入院していたとき、ダディは伝えたいことを何度言っても伝えられなくて、そのうち目も顔も体もブルブル震え始め、全身が伸びて硬くなり、一点を見つめて意識が飛んだような顔で固まってしまったことがありました。

あくまで推測ですが、これがてんかんの兆しだったのではないかと。

発作を数回目の当たりにして慣れてくると、てんかんそのものというより、倒れて頭を打ったり、舌を噛んでしまったり、食べ物を詰まらせたり、といった2次被害が心配です。舌を噛んでしまわないように、とっさにダディの口に手を突っ込んでアザだらけになりながら必死に止めたことも。でもこれは、手の骨をかみ砕かれてしまうこともあるため、とっても危険な行為。やってはダメです、と医師の先生に注意を受けました(汗)。

いつどこで起きるかわからず、一時も目が離せなかった初期のころは、家族にも十分気を付けてもらえるように、私が不在中は対策メモを貼っていました。

入院時には特にてんかんの説明はなかったのですが、後から調べていくうちに脳に障害を負った後にてんかんが起こりやすくなった…という方々の事例が少なくないことも知りました。てんかんもちだと、受けられない治療もあります。

6回ほど発作を経験して、病院の指導で抗てんかん薬を飲むようになってからは、一度も発作は起きていません。ただし薬を飲み忘れたりやめてしまうと、今まで抑えていた分よりひどいてんかんを起こすリスクがあるとのことで、毎日朝晩のルーティンに組み込んでいます。

もし、読者のみなさんも今後ご家族が脳に障害を負った場合は心づもりをして、てんかん発作時の対応を聞いておくのがおすすめ。発作自体は数秒から数分であることがほとんどですし、適切な薬を飲んでいれば7~8割の人は抑えられると言われています。また、脳梗塞を患っていなくとも、高齢化によって近年は高齢者の発病が増えているそうなので、誰にでもありうること。知っておくだけでも私のようにパニックにならずに接することができると思います。

※てんかん重責状態については、従来、持続時間を30分とするのが一般的でしたが、近年は「痙攣発作が5~10分以上続く、または、発作が反復してその間の意識の回復がない」場合は重責状態と診断されて、治療が必要となることもあります。初めての発作時は、自己判断せず医療機関の受診を。

イラスト/佐藤えつこ 構成/佐藤久美子

これまでのお話▶︎だれにでも起こりうる介護のリアルって?元モデルの介護奮闘記【うちのダディは脳梗塞】

佐藤えつこ
佐藤えつこ

1978年生まれ。14歳で、小学館『プチセブン』専属モデルに。「えっこ」のニックネームで多くのティーン読者から熱く支持される。20歳で『プチセブン』卒業後、『CanCam』モデルの傍らデザイン学校に通い、27歳でアクセサリー&小物ブランド「Clasky」を立ち上げ。現在もデザイナーとして活躍中。Twitterアカウントは@Kaigo_Diary

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