自信があり忠誠心高め
1986~91年頃のバブル経済期は、周囲のライバルと日々競い合っていた時代です。そのためバブル時代に成功した人は「自分は賢い」「自分は優秀だ」と自信にあふれていることが多いのです。自分に自信があるため新たなチャレンジに積極的で、環境変化に対応できることや、失敗をあまり恐れないという特徴も見られます。
また、企業では終身雇用が一般的な考えであったことや、売り手市場で自分の実力以上の会社に入社できたということもあり、会社に対する貢献意欲が高く愛社精神も強い面があります。自信家で見栄っ張りな特徴もありながら、会社のために身を粉にして働くことを厭わない世代と言えます。
バブル世代と職場
バブル世代の人達は、会社でどのように振舞い、どのような特徴があるのかを紹介します。
パワハラ上司になりやすい?
1986~91年頃のバブル時代にもパワハラ上司がいましたが、あまり問題視はされていませんでした。成長期にあった日本社会は、パワハラを受けても我慢して頑張れば、昇給や出世といった見返りが多く、結果を出しやすかったのです。職場のメンタルヘルス意識も低く、もちろんうつ病も認識されていましたが、それは「精神力が弱いから」という程度の認識でした。
このような時代を経験してきた人達が今では社員を指導する立場になり、昔の考えを引きずることで問題視されるようになりました。これまでの自分の考え方で結果を出してきた人が、「自分は善」だと思い込み、自分のやり方や思考を部下に押し付けることで、パワハラ上司になってしまうのです。
氷河期世代に無能や使えないと思われてる?
1971~82年頃に生まれた就職氷河期世代は、就職難を経験してきた世代であるため、65~69年頃に生まれたバブル世代とは対照的な考え方を持っています。就職するために資格で武装するといったストイックなタイプが目立つ就職氷河期世代に対し、バブル世代は楽観的でノリで対応する一面が多く見られるため、折り合いが悪く、対立が激しいと言われています。
就職氷河期世代はとにかく慎重かつ、根拠のあるものしか信用しません。そのため、正反対であるバブル世代の大風呂敷を広げる考え方が苦手な傾向があります。大量採用で実力以上の会社に入社してきたバブル世代の人に対し、就職氷河期世代は少し見下しがちになることも。
価値観の違いを受け入れよう
それぞれの時代を生きてきた人達には、時代の背景も影響した価値観の違いがあります。まずはこの事実を受け入れることが、バブル世代とうまく接していける入り口になります。
異なる背景によりギャップが生まれる
日本の経済は1954~71年頃の高度成長と86~91年頃のバブル、バブル崩壊の極端な不景気といった目まぐるしい環境の変化が20年の間で起きました。65~69年頃に生まれたバブル世代の家庭は、男性が働いて女性が専業主婦になるという形が多い時代です。そのため、男は仕事をするべきだという考えが強く、家庭よりも仕事を大切にする風潮がありました。
しかし、共働きの家庭が増えた今では、男性も家事や子育てに参加する機会が多くなっています。残業をせずにすぐ帰る若者に対し、あまりいい気がしないバブル世代もいるのです。同じ職場で働いていても、社会人になった時期の背景が大きく異なるため、そのギャップはお互いのことが理解しづらいほど深いことは認識しておきましょう。
優先順位の違い
1965~69年頃に生まれたバブル世代と若者では、仕事とプライベートに割く時間の割合や優先順位が異なります。たとえば、仕事後の飲み会よりもプライベートを優先する若者は、バブル世代から見れば物足りなさを感じることもあります。1987~2004年頃に生まれたゆとり世代は、努力しても報われるとは限らない低成長の時代が当たり前です。終身雇用の崩壊も目の当たりにしてきたため、会社のために働くことよりも、ワークライフバランスを重要視する人が多くなります。時代の背景により、優先すべき考えや主張がぶつかり、バブル世代との溝が生まれることも。このことを認識して、お互いが歩み寄ることが大切です。
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