馬が合わないの意味や由来
なにかと意見が対立したり、こちらの想定とは違う反応が返ってきたりすると人間関係がぎくしゃくしがちです。「どうしても、あの人とは馬が合わない」。どうしても良好な関係性が築けないと思わず愚痴がでてきてしまうことありませんか? こうしたシチュエーションで用いられる、「馬が合わない」という言葉は具体的にどのようなことを指すのでしょうか。意味や由来を解説します。
馬が合わないとは
馬が合わないという表現は、「特定の相手と価値観や考え方が合わない」という意味。あることに対しての、互いの考え方やスタンスに大きな違いや隔たりがあることを指します。馬が合わない人に対しては、自分が努力しても相手の性格や考え方に合わせられる自信がなくなり、良好な関係を続けることが困難になりがち。馬が合わないの類語としては、「気が合わない」「相容れない」「相性が悪い」「ノリが違う」などが挙げられます。
上述のように「彼女とは馬が合わない。一緒に仕事がしづらい」「馬が合わない上司とは話が続かない」などのように使われますね。
▼あわせて読みたい
乗馬が語源
馬が合わないという言葉は、乗馬が語源と言われています。乗馬では騎手と馬の相性が重要ですが、相性が悪ければ馬の走りは悪くなり、最悪、騎手が馬から振り落とされてしまいます。騎手の立場にしてみれば、馬との呼吸が合わない理由は「この馬は自分とは合わない」ということになるでしょう。自分にはどうすることもできないという意味合いも含んでいます。
このような、人間と馬の関係を意味する言葉が人間関係にも使われるようになり、自分には合わない相手との関係を「馬が合わない」と表現するようになりました。逆に、相性が良い馬とめぐり合えれば、「馬が合う」という関係になります。馬が合うという言葉も、気が合う相手との関係を表現する言葉として一般化しています。
▼あわせて読みたい
「反りが合わない」との違い
馬が合わないと同じような意味で使われる言葉に、「反りが合わない」があります。馬が合わないと同様に、気が合わない相手との関係を意味する言葉です。反りは、日本刀の形状を指します。刀身の反りと鞘(さや)の反りが完全に一致しなければ、刀身をしっかりと鞘に収められないことから、互いの性格が合わないことを「反りが合わない」と表現するようになったとされます。
馬が合わないは人間と馬の「相性」が合わないことを指すのに対し、反りが合わないは刀身と鞘の「形状」が合わない状態を意味します。従って、この二つを人間関係において厳密に比較すると、馬は相性、反りは性格に言い換えることも可能です。
なぜ合わないのか
馬が合わない原因は、論理的な説明がしにくいものです。性格の不一致や価値観の違いなどのように、一言で簡単に表せるものではないと言えます。心理学の世界では、馬が合わない原因について研究がなされています。馬が合わないと感じる心理を、学問の観点から理解してみましょう。
第一印象が影響
馬が合わないと感じる大きな理由の一つに、相手から受ける第一印象の影響が挙げられます。多くの場合、実際に話をしたりする前から、自分には合わないと決めつけているのです。大半の人は、相手の話し方・話の内容・表情・態度などを、第一印象でほぼ無意識のうちに確認し、自分との相性を判断する傾向があります。
第一印象だけで馬が合わないと決めつけている場合は、性格や価値観が合わないかどうかは分かりません。過去に接してきた人たちと比較し、経験上の先入観により、「この人とも馬が合わない」と判断していることになります。
習慣言動が影響
実際にある程度接している人との関係において、馬が合わないと感じている場合、相手の習慣言動が影響していると言われています。習慣言動とは、生まれてから早い段階で身に付ける、その人特有の言動です。例えば、断言するような話し方をする人は、無意識のうちにあらゆる場面で断言口調になります。声が大きく命令口調になりがちな断言傾向の人に対し、相性の悪さを感じた場合、その人は馬が合わない相手になります。相手の言動が習慣化されているため、自分が慣れるしかないと感じるからです。
また、習慣言動は、性格とは関係のない要素だとされています。つまり、習慣言動による判断も、第一印象で相手を判断するのと同じだと言えます。
▼あわせて読みたい
馬が合わない人との付き合い方
職場や家庭、友人関係など身近に馬が合わない人がいる場合は、付き合い方に悩むこともあるはず。相手別にうまく付き合う方法を紹介します。