最近気になる「免疫力」を上げるには?
新型コロナウイルスの世界的蔓延を受けて、自分の体の免疫力について関心を持った、という方が増えたと思います。しかし、なんとなく「免疫力」という言葉は知っていても、実際にどのようなものなのか実はよくわかっていなかったり…。
そこで今回は“腸の名医”の異名を持つ、消化器官病の名医・江田 証先生に「免疫力」についてお話を伺いました。
そもそも「免疫力」って?
簡単に言ってしまえば、免疫力=私たちの体の防衛機能のこと。
日常生活において、呼吸や食べ物を介して細菌やウイルス、花粉などが体内に侵入しようとします。その際に、体内への侵入を防いだり、体内で生じるがん細胞を死滅させたりするもの。
一方、現代人の生活習慣には免疫力を低下させてしまうものがあるようで…。主な原因は以下の6つ。
1:ウイルス・病原菌などの外的要因
2:加齢
3:睡眠不足などの生活習慣
4: 偏った食生活
5:運動不足
6:ストレス
どうですか?複数当てはまっている方も多いのではないでしょうか?
免疫力を高めるにはどうすればいいの?
私たちの体を守ってくれる免疫力。可能なら、さらに免疫力を高めてより健康的な日常を送れるのが理想。では、免疫力をアップするにはどうしたらいいのでしょうか?
江田先生は二つのポイントを紹介してくださいました。
ポイント1:腸内環境を整え、腸内細菌を善玉菌優位にする
「免疫システムを担っているのは『免疫細胞』ですが、腸にはこの免疫細胞の約70%が集まっています。つまり、腸は免疫のカギとなる臓器です。そんな腸内には、多種多様な細菌が生息しています。それらは約 1,000 種 100 兆個にも及びます。これらの細菌がバランスをとりながら腸内環境を良い状態にしてくれているんです。腸内を顕微鏡で覗くとお花畑のように見えるので、『腸内フローラ』と呼ばれていますね」と江田先生。
そんな腸内細菌の中には
・悪玉菌の増殖を防ぎ、病気のもとになる物質の発生を抑える「善玉菌」
・有害物質を増やす「悪玉菌」
・時に善玉菌、時に悪玉菌と腸内で優勢な菌の見方をする「日和見菌」
の3つがあるとのこと。
「腸内環境が“良い”状態は、多種多様でバランスよく腸内細菌が存在していること。たとえ『悪玉菌』といっても消化・吸収を高め、健康維持のために必要な役割を果たしているので、一概に悪玉菌が無くなればいいというものではありません。しかし、腸内細菌が善玉菌優位であれば、消化を助けたり、ビタミンやホルモンの一部作るなど共生関係を保ち、免疫力が高まることがわかっています。」(江田先生)
「悪玉菌」というくらいですから、無い方がいいと思っていましたが、実は適度に必要な菌だっだとは!そんな「腸内フローラ 」を整えるには毎日の食生活が重要と江田先生は続けます。
「肉や魚介類など、動物性タンパク質や脂質の多い食事に偏ると悪玉菌が増える原因となります。腸内に様々な菌が存在するというのも整った『腸内フローラ』の重要なポイント。バランスの良い食事に加え、善玉菌を含むものと善玉菌のエサになるものの同時摂取がより効果的でオススメです。乳酸菌やビフィズス菌、酵母菌、麹菌などの善玉菌が含まれているものだと、ヨーグルトやぬか漬け、納豆、キムチ、味噌、チーズなどが挙げられます。これらは継続的に食べるとより効果的です。さらに、整腸剤もオススメですね。様々な乳酸菌やビフィズス菌が凝縮されており、便秘や軟便の改善にもつながります」
2:自律神経の乱れを整える
「自律神経」とは心臓や血圧、消化管、発汗、ホルモン分泌など自分の意思では調節できない神経系統で、「交感神経」と「副交感神経」によって調節されています。
江田先生曰く、この自律神経も免疫力アップに欠かせないものであるとのこと。
「実は、腸の働きをコントロールしているのは自律神経なんです。交感神経と副交感神経がそれぞれ優勢になることにより腸は弛緩・収縮が行われます。よって自律神経のバランスが乱れると腸の動きも乱れ、便秘や軟便などになる可能性があります。
ヒトは活発に活動している時間が長いと、交感神経が優勢になりやすく、加齢とともに副交感神経の働きが低下するという研究報告があります。この交感・副交感神経の一方が緊張し続けると、免疫力が落ちることがわかっているんです。ですから、適度な緊張(日中は交感神経優位)とリラ ックス(夜間は副交感神経優位)というメリハリが必要です。
よって、日常生活においては睡眠をしっかり取ることが重要です。単純に睡眠時間を長くするのではなく、就寝前にリラックスするよう意識したり、お気に入りの寝具を使ったり、心地よく眠れる状態を作ってみてください。また、自律神経を乱れさせる原因には、体と心の疲労も関係しています。働きすぎや精神的な疲労は悪影響を及ぼします。ストレス発散できる方法を実践したり、深呼吸やリラックスも効果的です」
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教えてくれたのは…
江田 証 先生
医学博士 江田クリニック院長/日本消化器病学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医
情報提供▶︎ ビオフェルミン製薬