娘の家庭教師とジェンダーについて話しています
娘の家庭教師で来てくれている大学生と、ジェンダーギャップについてよく話します。女子校に通っていた彼女は、重たい荷物を運ぶというような作業も全て女子だけで行う環境で過ごしたそう。高校時代からジェンダー教育を受け、大学でもジェンダーのゼミを受講しています。
高校1年の時の課題図書が、発展途上国に生きる女性の過酷な現場を描いた『Because I am a Girl―わたしは女の子だから―』だったり、授業で「どうして出席番号順は男子が先なんだろう」「男性が働いて女性が育児をするCMを見てどう思うか」「管理職の男女比率」などを話し合ったそう。固定概念にとらわれることなく自分のフィルターを通して性差について考え、道を拓くということを学んだと言います。
高校時代から先生方から「社会に出ても男性と同じ土俵に立ちなさい」「その道をあなたたちが拓いて行きなさい」など、強く生きる女性のあり方を教わったそうです。
就職のときにぶつかるワークライフバランスの壁
日本の女性の多くが、仕事を選ぶ時に男性とは違う悩みを抱えます。「家事・育児は女性の役割」と言う概念が染みついていれば、実現したい夢があっても結婚、出産、子育てのことを考えて踏み切れないこともあるかもしれません。
彼女の場合、先日決まった就職先では海外赴任を希望しています。そのためには就職活動の時から「全国転勤あり」の「グローバルコース・全国型」というのを選ぶ必要があったそうです。転勤があるコースだと、出産や子育てとの時期との兼ね合いが気になる。かといって、仕事の幅を狭めたくはない…。いろいろ考えた結果、「女性である」ということが「実現したい夢」を阻むのは違う、と、多くの男性も選ぶコースでエントリーしたそう。もしもジェンダー教育を受けていなかったらこの雇用形態を選んでいなかったと言います。
そして、このコースをあえて選択したことで、「どうしたら両立した人生を切り拓いていけるか、よりワークライフバランスをとっていけるか」を深く考えるようになったというわけ。だいぶ歳下のかわいい女の子だけれど、私は本気で彼女を尊敬しています。
▲家庭教師の先生と、久しぶりにZoom で授業再開。私も子どもたちも先生と話すことが大好き!
昨年読んだ本『新・女子校という選択』(おおたとしまさ・著)では、女子校でのさまざまな教育について触れられています。たとえば、女性が出産・育児で仕事のペースを緩める現状を考えること、今の世の中でどのようにしたらより快適に生きられるか、など。まさにこの本で書いてあるようなことを、実践しているんだなぁと思うと、私も頑張らなくちゃって。
世界経済フォーラムが公表している「ジェンダー・ギャップ2020」によると、日本は調査国153か国中121位(上位であるほど、男女格差が少ない)。前年と比較しても11位もランクを落としています。特に政治分野では144位と前年の125位から順位を落とし、ワースト10入りしました。
彼女たちのような女性たちが活躍する頃には、少しは改善しているといいのですが。そして…さて、我が娘は、どんな風に生きていくのやら。
女の子たちの未来に光がさしますように。
▲3人目を妊娠中。妊娠中に状況を整えたり、これからの事をあれやこれや考えていました。この子達が大きくなった時、未来はどうなっているんだろう。
モデル
牧野紗弥
愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。