Netflixで独占配信中の韓国ドラマ『愛の不時着』をリピート観している人が増加中。主人公のリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)を何度もあがめたいと虜になっている女性が世界中に。
▲『愛の不時着』は、パラグライディングの事故で、北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢ユン・セリ(ソン・イェジン)と、北朝鮮の将校リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)の極秘ラブストーリー。
どうしたら、レディファーストも完璧でかっこいい男性になるのか知りたいですよね。
そこで、ベストセラー本『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』で著名な黒川伊保子先生に取材しました。
これまでの記事。
男のコの子育ては甘やかすことが大事⁉
どうしたら料理ができる男になりますか?
ぼーっとさせると地頭よい子が育つ
どんなに散らかしてもいい空間を作る!
思いやりのある男のコの育て方
心が通う会話のできる男に育てる方法
自分のことを話すと心根の優しい男のコに育つ
子供と思わずに、相談ごとをする
社会的事案を親子で話し合うと聡明になる
Q.『愛の不時着』のリ・ジョンヒョクみたいに女性を敬い大切にし、レディファーストできるような男に育てるには?
息子が小学2年生のころ、ヨーロッパで二週間ほどの仕事があって、息子を伴い出かけたことがありました。
そこで私たちが見たものは、母親や祖母をエスコートする少年たちの姿でした。
レストランや劇場ではまず、女性たちが無事に座るのを見守ったあと、静かに自分も座ります。必ずしも椅子を引く必要はありません。我先にと席に座らず、女性たちを見守る。それだけでいいんです。
それがどんなにかっこよかったか。息子の目にもうつったようで、今もしてくれています。
エスコートの基本は、見守り。まさに、『愛の不時着』のリ・ジョンヒョクそのものですね。
エスコートは、難しいことではありません。本当に、ただ見守ればいいだけ。女性が裾の長いドレスを着ているときは、車から降りるとき、階段の上りはじめや降りはじめ、そして席に座るとき。その3点だけを気にしてあげればいい。もし女性が歩きにくそうにしたら、すっと手を差し伸べます。手の平ではなく、肘から先を差し出すのがセオリーです。
扉を開けてあげる、歩きにくい道は先導してあげる、階段や坂は、必ず下の方にいてあげる。これらは、教わらなくても、相手を思えばできること。息子も、自然にこれをやりました。(扉の前で立ち止まって待ったり、転びそうになってみせたりはしたけれど)
エスコートができる息子を持つと、けっこうカッコいいですよ。
Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中!
エスコートの仕方を教えるのは、母親の役目
これらのマナーは、母親から学ぶもの。コツは、母親が当然のように、毅然とふるまうことだと思います。
我が家は、一般的なエスコートに、ハグを加えました。大人になるまでに、慣れておくと素敵だなと思ったので。「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」をハグで。今でも自然にハグをします。空港や駅でも。
しかし、小学校5年のある日、彼は、こう言いました。「ママは、世界中の親子がハグしてるって言ったよね? けど、台東区では違うらしいよ」
私はあわてず騒がず、こう言い返しました。「あらそう。でも、あなたは、世界へ出ていく男でしょ? それとも、台東区から一生出ないわけ?」息子は、しばし考えて、「世界を選ぶよ」と答えました。
我が家には、「母も惚れるいい男」という子育てのキャンペーンコピーがあったので、ブレずに済みました。「どうして、それをしなきゃいけないの?」という質問にも、「それがカッコイイからよ」と答えればいいだけ。私がカッコイイと思えば、それで「以上」ですからね。
『愛の不時着』のリ・ジョンヒョクは、私の脳の中にあった「母も惚れるいい男」をかたちにしたらこうなる、という感じの男性でした。だから、することなすこと、息子に似てて、胸がきゅんとしました。今のママたちは、こんなロールモデルがあって、いいですね。
躾を「世間に叱られない」を基準にするのではなく(おばさんに叱られるから静かにしなさい、先生に叱られるから宿題しなさい)、「カッコいいから」に変えてみて。子育てが格段に楽しくなるから。子育て、楽しんでくださいね!
取材・文/宮原まりこ
黒川伊保子
㈱感性リサーチ代表取締役社長。1983年奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーに就職し、人工知能エンジニアを経て、2003年現職。「男女の脳」のとっさの使い方の違いを発見、その研究結果を元にした『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。他著書多数。
男脳、女脳の違いがわかる本書は、人がなぜわかりあえないのか、男女がどうしてすれ違ってしまうのかの人類最大の謎に迫ります。特に子育て中のワーママが読むと、わかりあえないコミュニケーションによるストレスの軽減になるのでおすすめ。