【目次】
【質問】あなたは将来に不安を感じることはありますか?
将来に不安を感じることが「よくある」27.3%、「たまにある」35.5%、「ほとんどない」15.7%、「ない」21.5%となりました。多かれ少なかれ、日々「不安を感じている人」は約6割にも上った結果に。景気、コロナ、子育て…あげたらキリがないのかもしれません。
「よくある」…27.3%
「たまにある」…35.5%
「ほとんどない」…15.7%
「ない」…21.5%
※アンケートは30~45歳の日本全国の有職既婚女性を対象にDomani編集部が質問。調査設問数10問、調査回収人数110名(未回答含む)。
臨床心理士が教える、「将来の不安」との付き合い方
「将来の不安」を感じるのはどうしてなのでしょうか、臨床心理士・吉田美智子さんにお聞きしました。
「私たち人間は、常に将来を予測して、不安に対処することで、進化を続け、生き延びてきたと考えられています。ですから、将来に不安を感じるのは本能であり、自分の身を守る大切な機能です。加えて、先読みの難しい今の時代に、まさにコロナのような予想外の出来事で、生活に大きな変化が生じたりすると、将来を考えて不安になるのは自然な心の反応であると思います」(吉田さん)。
不安を感じるのは本能ということは分かりましたが、ただそればっかりでは苦しくなってしまうもの。実際にはどうすれば少しでも心の重荷が降ろせるのでしょうか。
「心が不安に支配されないように、以下の3つを心に止めておいてくださいね。
<1>不安を完全に解消することはできないと理解する
<2>短期&長期や、5年単位づつなど、自分の見通しを持っておく
<3>情報を集め過ぎて、不安が増大してしまう時はやり過ぎです。思い詰めないよう家族やパートナーに相談してみましょう」
(吉田さん)。
「将来の不安」をどう捉えるかで、日々の苦しさがちょっと和らぐかもしれませんね。記事の最後には、吉田さんから最も大切なことをお聞きしました。
では皆さんが感じている「将来の不安」を見ていきましょう。
【質問】どんなことに将来の不安を感じているのか?
将来の不安として最も多かったのは「金銭面」でした。次いで、「子どもの将来と教育費」、「健康」、「仕事」と続きました。やはり一にも二にも、お金への心配は尽きないようです。
金銭面
・3人目の子は正直予定外で、それまでに組んできたライフプランが崩れてしまったので、金銭的な不安が大きい (30代・埼玉県・子ども3人)
・お金と健康が心配。特に住宅ローンが心配。払い終えた頃には定年がきて、どうやって生活費を稼いでいくのだろう… (30代・岐阜県・子ども2人)
・生活していくためのお金が足りるのか分からない。いくら必要かという計算式をなんで学校で教えてくれないんだろうと思う (30代・東京都・子ども1人)
コロナの影響で旦那が無職になり、金銭的に不安。再就職できたとしても、今まで以上に稼ぐことは不可能だろうし… (30代・北海道・子ども2人)という人のようにコロナ禍による突然職を失ったり、仕事の量が減ったりなど予想だにしなかった収入の減少による先々への不安の声が多く聞かれました。
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子どもの将来と教育費
・子どもの進路と将来が心配。大学は行くのか、就職はできるか、自分の家庭が持てるだろうか…考えたらキリがない (40代・滋賀県・子ども3人)
・子どもの教育資金を貯めると、自分たちの老後資金が足りなくなる (30代・東京都・子ども2人)
・将来、子ども3人分の教育費や老後費用など貯めていけるか、どんだけ貯めればいいのか漠然と不安に襲われる (30代・茨城県・子ども3人)
健康
・いつまで健康でいられるかが不安。健康でない、働くこともできないし、子どもにも迷惑がかかってしまう(40代・神奈川県・子ども2人)
・家族、自身の健康の不安。誰かひとりが倒れてしまうと、家族に負担をかけることになってしまうから (40代・岩手県・子ども1人)
・病気になるのが怖い。自分が病気になったら子どもたちはどうするのかと考えると、すごく焦ってしまう(40代・神奈川県・子ども2人)
・自分や親の健康状態。子供の学習。老後の資金。今はどれもうまくいっていないので不安しかない (40代・千葉県・子ども2人)
仕事
・これからの仕事と給料。この先ずっと同じ仕事をしてかれるのだろうかとか、転職したとしたら給料が減ってしまうのではないかという不安 (30代・山口県・子ども2人)
・会社の業績が悪く、この先どうなるか不安。40代で会社が倒産してしまったら、再就職はできるのだろうか… (30代・東京都・子ども1人)
・正社員ではなく、不安定だからいつまで職があるかとても不安 (30代・滋賀県・子ども2人)
・転職後、収入が増える見込みがなく、今のまま年数を経過してよいか不安 (40代・神奈川県・子ども2人)
老後
老後の経済、健康が不安。今の貯蓄だと、老後も働かなきゃ暮らしていけないだろうし、いずれは病気にだってなるだろうしと考えると夜も眠れない (40代・北海道・子ども2人)、老後の資金がそのときにあるのか不安 (40代・宮崎県・子ども1人)というように、先々のことを考えると、いいようのない不安に襲われてしまう人もいるようです。2020年はコロナ禍ということもあり、様々なことに対して先が見えない日々だからこそ、老後について考えてしまう時間が増えたという声もありました。
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シングルマザー
・シングルマザーなので、どうにか子どもを育て上げても、その後自分ひとりで生活していけるか不安 (30代・神奈川県・子ども1人)
コロナ
・新型コロナウイルスの終息が見えず、毎日見えないウイルスに怯えている (30代・大阪府・子ども1人)
【体験談】将来の不安を解消するためにできることとは?
不安解消には「お金を貯める」「節約」「働く」と、やはりお金を稼ぐ、作る方向へと向かうよう。他にも、稼ぐために絶対必要な健康に気を配る人も多くみられました。不安がストレスとなり、つい食べ過ぎてしまいそうですが、健康のためにも腹八分目&運動を心がけたいところ。
お金を貯める
・とにかく貯金していく。でもどこまでお金を貯めたらいいのか分からず、さらに不安をあおっている気がしてる (40代・兵庫県・子ども1人)
・ボーナスはとりあえず全て貯金に回している。これからはある程度溜まった貯金をどう増やすかが問題 (40代・愛知県・子ども2人)
・毎月少しずつだけど貯金しています。一度貯金したお金は絶対引き出さないと決めています (30代・岡山県・子ども1人)
・夫婦で財形貯蓄をしている。お給料から天引きされるので、無駄使いが多い私にはピッタリ! (30代・山形県・子ども2人)
・子どもが小さいうちに貯金をどれだけ増やせるか。 (30代・広島県・子ども2人)
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節約
・給料が増えることはないので節約していくしかない。買い出しの日は、スーパーを3件はしごするのは当たり前 (40代・新潟県・子ども2人)
・節約している。最近は携帯電話を大手から格安に乗り換えました。家族全員分だとかなり出費が減る (40代・千葉県・子ども2人)
・節約と投資を頑張る。節約したお金を投資に回し、大きくは儲からないけどちょっとでも利益になるようにしている (30代・大阪府・子ども1人)
働く
・複数の仕事を掛け持ちして収入を増やしています。体力がある今のうちに稼いでおきたい (30代・福岡県・子ども1人)
・個人事業主なので収入が増えるよう、寝る間も惜しんで働いてます (40代・東京都・子ども2人)
「とにかく働く。本業はもちろんですが、副業もしているので、どちらも手抜きせず働く 」(30代・北海道・子ども2人)というように、副業を始めているという声も多く聞かれました。パートの回数を増やしたり、給料などの条件が少しでもいいところに転職をしたという人も。
健康の維持
健康なくして、日々の暮らしを乗り越えられない!という意識のもと、無理なく継続的にできる運動を始めている人も増えているようです。コロナ禍での運動不足による体重増加や体調不良を回避するために、食にこだわっているという人も。
・健康の維持。健康診断には必ず行き、それ以外でも不調があればすぐ病院へ行って検査をしてもらうようにしている (40代・広島県・子ども3人)
・栄養バランスに気を付け、適度な運動と睡眠時間の確保に努める (40代・京都府・子ども3人)
・健康維持のため毎日運動をしています。乗り換えの駅まで歩くとか、エスカレーターは使わないとかレベルですが… (30代・東京都・子ども1人)
・体調管理。食べすぎないよう腹八分目にしたり、鉄分やカルシウムなど、今とこれからに必要な栄養素を意識しています (40代・岩手県・子ども1人)
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そのほかにも、買い物でポイントを集めて有効活用したり、収入の増やし方を調べたり、自分の知識を深めるために勉強を始めたり、公的年金だけでは不安なので個人年金にも加入する人や、子どもとの時間を大切にするという人も。不安の種を少しでも解消できるようにと意識的に何かを行っているという人が多いようです。
一番大切な事は「今を大切にする生き方」をすること
そして最後に、一番大切なことを教えていただきました。
「もうひとつとても大切なことがあります。それは、〝今を大切にする生き方〟 をすることです。将来の不安に対処するのは私たちの大事な能力ではありますが、やり過ぎると病になることもあります。将来の不安に乗っ取られることなく、今自分が〝当たり前〟 に得ている幸せを見失わないでくださいね」(吉田さん)
先の見えない将来にばかりに頭がフル回転し、今ここにある幸せに気付かない、感じられないのではもともこもありません。コロナ禍で大変な中ですが、今見えている、感じられる幸せにも気付きたいですね。
取材・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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Twitter: @hakoniwasalon