なぜ自己否定をしてしまうのか
自分自身を否定してしまう理由としては、いくつかの原因が考えられます。原因のひとつになりやすい、きっかけや環境について紹介します。
幼少期の親子関係によるもの
自分が小さい頃に褒めてもらえなかったり、言動を理解してもらえなかったりした場合、自己否定感が強まる傾向にあります。過干渉・過保護な親に育てられることも、自己肯定感を低くする原因の一つです。また心身への虐待や育児放棄を受けたという過去がある場合も、自分を肯定する気持ちが芽生えにくくなるかもしれません。
「自分は愛される資格がある存在だ」という意識を幼少期に持てなければ、大人になっても自己否定感を拭い去ることは困難です。自己肯定感が強い人の大半は、幼少期に親や周囲から無償の愛を感じ取り、「自分は愛される資格のある、この上なく大切な存在なんだ」ということを自覚しながら育っています。
学校教育の影響も
日本の学校教育は、競争を避け全員が同じような状態であることを〝良し〟とし、一部の人間が突出しようとすると同化を強要されます。ゆとり教育が全盛の頃は、運動会で順位付けもせず、全員が手をつないでゴールするという光景も見られました。勉強や運動の得意な子が能力を出すことを押さえつけられてしまうと、自己肯定感を高めることは困難です。
また、悪いことをした子がみんなの前で怒られるような状況も、自己肯定感は下がりやすくなります。自分も同じように怒られたくないという気持ちが強くなると、目立つのを控えた言動を選ぶようになるのです。
自己肯定感が低い人の特徴
自己否定をしてしまう人の共通点にはどのようなことがあげられるのでしょうか。特徴について確認してみましょう。
自分に自信がなくネガティブ
自己肯定感が低い人は、何かを始めようと思っても「自分にはできない」というネガティブな感情が先立ちます。謙遜や自虐といった表向きの感情ではなく、自信が持てず「できない」と心底感じていることが特徴です。勉強・運動・人間関係など、人には苦手なことがあるもの。しかし、苦手意識が強くなりすぎたり、失敗が続いてしまったりすると、これまで経験したことのないものに対しても、始める前から自信を持てなくなります。
また、自己肯定感が低くなると、自分の中の価値観を尊重することを敬遠してしまう可能性も。何事に対しても積極的に行動する意欲をなかなか持てず、モチベーションを保ちにくくなります。
他人と自分を比べてしまう
嫉妬心や劣等感など、他人と自分を比較して生まれるネガティブな感情を持ちやすいことも、自己肯定感が低い人の特徴です。例えば、身近な人の優れた部分に対し、自分が劣っていることだけをフォーカスしてしまいます。相手のよい部分を素直に称えたり、それを糧に自分も努力してみようとポジティブ思考に捉えるのが苦手です。
人間関係における相対的な自信のなさは、自分を敬う感情の低さが根底にあります。自分の価値を認識できず、自分の人格を大切に思えない気持ちが強いのです。他人との勝負に負け続け、「どうせ勝てない」とネガティブな感情に陥りやすくなるループが根付いているのかもしれません。
他者への依存度が高い
自己肯定感が低い人は、自分で意思決定することが苦手です。他者への依存度が高くなり、何をするにも人任せになってしまいます。例えば、食事に行っても周りの人と同じものを頼んだり、他人と似たような服を選んだりと、個性を出せません。自分の選択が人と違っていることに対し、強い不安を感じます。
また、自分の失敗を他人の責任にしようとすることも、自己否定感が強い人の特徴です。主体性がなく、人の指示に合わせて行動をするため、自分が失敗しても「指示した人の責任」という考えがどこかにあり、自分で責任を取る覚悟ができないままでいます。このように周囲への依存度が強くなると、何かを決断しなければならない場面で十分な力を発揮できなくなってしまうのです。
自己肯定感が高い人の特徴
自己肯定感を高めるメリットはたくさんあります。では、自己肯定感の高い人には主にどのような特徴があるのでしょうか。性格や考え方の特徴について紹介します。
考え方がポジティブ
自己肯定感が高い人は、何事に対しても考え方がポジティブです。物事を前向きに捉えられるため、常に積極的な行動を取れるようになります。また、何をするにも「自分は大丈夫」という気持ちでいられることも、自己肯定感が高い人の特徴です。弱みや欠点を認識していても、全てひっくるめて自分を許容できています。
人によって自分の弱みや欠点を、強みや長所に変えようと努力する人もいるでしょう。ネガティブな内容でも、視点を変えることでポジティブになり得るということを知っているのです。ポジティブな人は物事を楽観視する傾向があるため、失敗したことに対しても、すぐに気持ちを切り替えて次に生かそうと考えます。
他者との違いを受け入れられる
自己肯定できる人は、自分と他人を比較しようとしません。他人に自分より優れている点があったとしても、「違い」として割り切ることができます。逆に自分の方が優れている部分に対して優越感に浸ることをせず、自分自身がやるべきことに集中できます。また、違いとして割り切るだけでなく、違いを受け入れて尊重できることも魅力。自分に足りないものとして尊重することができれば、それが自分を成長させる糧にしていくのです。
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