「お気遣い」は、「気遣い」に尊敬を表す接頭語「お」をつけた言葉。「ありがとうございます」をつけた丁寧な表現のため、目上の人に対しても使えます。
Summary
- 「お気遣いありがとうございます」は、相手に感謝の気持ちを伝える際に使う言葉で、目上の人にも使用可能
- 「お気遣いありがとうございます」と言われたら、「お役に立てて光栄です」などの言葉を返す
- 言い換え表現は「ご高配ありがとうございます」「お取り計らいいただきありがとうございます」など
Contents
【目次】
「お気遣いありがとうございます」とは、どんな意味?
相手に対するお礼の言葉として用いることが多い「お気遣いありがとうございます」。日常やビジネスシーンなど、さまざまな場で使いますが…正しく使えているか、目上の人に使っても失礼にあたらないか、不安になりませんか? また、似た言葉である「お心遣い」との使い分けも把握しておきたいですね。
そもそも「気遣い」とはどのような意味を持つのか、その確認から始めましょう。
「気遣い」の意味とは?
「気遣い」について、辞書で調べてみました。
【気遣い】 読み方:きづかい
1:あれこれと気をつかうこと。心づかい。「どうぞお気遣いなく」
2:よくないことが起こるおそれ。懸念。「情報が漏れる気遣いはない」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
1の「気をつかう」は、他人の感情や状況などに配慮しながら、言葉や行動を選ぶことを指します。2の「懸念」は、気に掛かって不安に思うことです。「お気遣いありがとうございます」の「お気遣い」は「1」の意味になりますね。


「お心遣い」との違いとは?
「気遣い」に似ている「心遣い」。どちらも丁寧な表現ですが、意味の違いはあるのでしょうか?
「心遣い」は相手を思ってとる行動のこと
「心遣い」も辞書で調べてみましょう。
【心遣い】読み方:こころづかい
1:あれこれと気を配ること。心配り。配慮。「温かい—」
2:祝儀。心付け。「目をかけて、—もせし人を」〈人・梅児誉美・四〉
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「心遣い」の「心」には、「思いやり」という意味があります。思いやりとは、他人の身の上や心情に心を配ることや、その気持ちの意。心から相手を思う気持ちでとる行動が「心遣い」にあたります。
「気遣い」と「心遣い」の意味は同じように思いますが、実際は次のような使い分けをすることもあります。たとえば相手が昇進したときに、「昇進おめでとうございます」と言葉をかけるのは「気遣い」、相手が昇進のお祝いをプレゼントしてくれたことは「心遣い」のように表すことが多いでしょう。

「気遣い」は心配や配慮をしてくれたなどの行動に対して使いますが、「お心遣い」のほうが一歩踏み込んだ思いやりを意味します。
以下に「心遣い」を使った例文を挙げてみました。ぜひ参考にしてくださいね。
【例文】
・(昇進のお祝いをくれた相手に対して)先日はお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。
・(結婚のお祝いをくれた知人に対して)過分なお心遣い、心よりお礼申し上げます。
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「お気遣いありがとうございます」の使い方と例文
「お気遣いありがとうございます」の使い方を見ていきましょう。

体調を気遣ってもらったとき
体調が思わしくないとき、目上の人に「大丈夫?」「無理しないで」と心配してもらうことがあるでしょう。その際は、感謝の気持ちとともに「お気遣いありがとうございます」を使います。
【例文】
・先週は私の体調不良により、ご心配をおかけしました。業務のカバーなど、いろいろとお気遣いありがとうございました。
仕事の状況を心配されたとき
上司が仕事の状況を心配してくれていると知り、お礼の気持ちを伝える際や、報告する際にも「お気遣いありがとうございます」を使うといいですね。
【例文】
・貴重なアドバイスまでいただき、お気遣いありがとうございます。
贈り物をいただいたとき
贈り物などをいただいたときなども、「お気遣いありがとうございます」を使って感謝の気持ちを伝えることができます。祝儀や香典で金品をいただいた場合も「お心遣い」と表現するとGOODです。
【例文】
・「心ばかりの品ですが、どうぞお納めください」の返しに「お気遣いありがとうございます」
・私が体調を崩して入院した際、〇〇さまにはお気遣いいただき誠にありがとうございました。
訪問した先でお菓子や飲み物を出してもらった
取引先などを訪問した際、お菓子や飲み物を出されることがありますよね。用意してくれたことに感謝し、「お気遣いありがとうございます」と伝えましょう。
【例文】
・飲み物までいただき、恐縮です。お気遣いありがとうございます。
お見舞いに来てくれた人に対して
体調不良やけがなどで入院し、お見舞いに来てくれた人には「お気遣いありがとうございます」を使ってお礼を伝えましょう。
【例文】
・わざわざお見舞いに来ていただき、お気遣いありがとうございます。
目上の人に対して「お気遣いなく」はNG
「心配いただかなくて結構です」「ご心配には及びません」と伝える際に「お気遣いなく」という表現を使いませんか? 実はこの言葉、動詞が省略されているため、目上の人に対してこのまま使うと失礼にあたる、とされることがあります。「お気遣いなく」を使う際は、次のように言い換えてみてください。
言い換え例
・お気遣いなさらないようお願いいたします。
・くれぐれもお気遣いなさいませんようお願い申し上げます。
・(親しい間柄の上司に)どうぞお気遣いなく。
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【実際の体験談】ビジネス等で使う時の注意点
実際のビジネスシーンで「お気遣いありがとうございます」を使用する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。「お気遣いありがとうございます」にまつわる成功・失敗談を踏まえつつ、使用法を見ていきましょう。
【episode1】クライアントへの感謝の伝え方
Aさん(マスコミ関係、32歳)
私がチームリーダーになって初めて大きなプロジェクトを任されたとき、トラブルが発生しました。徹夜で対応し、なんとか乗り越えた後、クライアントから「大変でしたね、体調を崩さないように」と温かい言葉をいただき…私は感動して、迷わず「お気遣いありがとうございます」と返しました。上司も「その一言で相手との信頼関係が深まる」と後に教えてくれました。
【episode2】若手時代の失敗談
Tさん(出版関係、41歳)
若手の頃、体調を崩した私を心配してくれた先輩に、「気を使ってくれてありがとうございます」と言ってしまいました。すると先輩から「親しい間柄ならいいけど、目上の人には『お気遣いありがとうございます』と言ったほうが無難だよ」と優しく注意されました。自分の無意識の言葉遣いが、相手に失礼な印象を与えかねないことを知り、それ以降言葉選びに気を付けるようになったのです。
「お気遣いありがとうございます」への返し方
「お気遣いありがとうございます」と伝えられたら、どのように返事をすればいいでしょうか? 例文を見ながらチェックしていきましょう。
とんでもないことでございます
「とんでもないことでございます」は、相手の言葉を強く否定する「とんでもない」を、丁寧に表現した言葉。謙遜して、「まったくそうではない」というニュアンスを伝える際に用いられています。
【例文】
・お礼だなんて、とんでもないことでございます。いつもありがとうございます。
滅相もない
「滅相もない」は、「めっそうもない」と読みます。意味は「とんでもないことでございます」と同じと考えていいでしょう。
【例文】
・滅相もないです。またお手伝いできることがございましたら、おっしゃってください。
お役に立てて光栄です
相手の役に立ったことに対して、うれしく思う気持ちを伝えるのが「お役に立てて光栄です」というフレーズです。
【例文】
・今回のプロジェクトに参加し、〇〇様のお役に立てて光栄です。
「お気遣いありがとうございます」の類語
続いて、「お気遣いありがとうございます」の類語を見ていきましょう。言い換えたいときの参考にしてくださいね。




