あれから27年、脳裏に焼きついている初めての国際交流
日本語と中国語は同じ漢字を使う言語同士、だから話して通じなければ書き出せばいい。中国語を勉強する前はそう思っていました。でも必ずしもそうではないということを、小学生のときに知りました。
ここで思い出話を少しだけ
あれはクラスに中国からの転校生がやってきた小4のある日のこと。年はひとつ上で、おかっぱのすらりとした女の子でした。
その日、彼女はお母さんに付き添われ、転入の挨拶にきていました。「はい、来週からこのクラスに転入してくることになりました。みなさん仲良くしてあげてください」。担任の先生はそんなことを言ったんだと思います。そして私たちへの紹介が終わったら、先生は転校生母娘に「今日は、もうこれで、ご帰宅されて、OK、ですよ!」とひと言。でもふたりとも日本語がまったくわからなかったので、いくらゆっくり話しても伝わることはなく、先生はその後チョークを手に取り黒板にこう書きました。
「家 帰 OK」
しかし、結局ふたりにこのメッセージが伝わることはなく、最終的に助けてくれたのは、6年生にいた中国からの留学生でした。
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話は長くなってしまいましたが、何をいいたいかというと、同じ漢字を使う日本語と中国語ですが、実は非常に基本的な動詞でさえ異なる単語を使うものがあるということ。
たとえば、食べるは「吃 (Chī)」、飲むは「喝 (Hē)」、落ちるは「掉 (Diào)」、言うは「說 (Shuō)」、話すは「講(Jiǎng)」、立つは「站 (Zhàn)」、勝つは「贏 (Yíng)」、負けるは「輸 (Shū)」など、割とベーシックな動詞でも、お互い理解し合えないくらい異なる漢字を使うものも少なくないのです。
中国語で「家に帰る」は「回家」
ちなみに、「家に帰ってもいいですよ」は、「可以回家」。あのとき先生が「帰」という字を「回」にしていたら、きっと「家 回 OK」でもわかってもらえていた気がしています。
この日の翌日、先生はクラス全員に中国語の基本の挨拶が書かれたプリントを配ってくれました。
私が本格的に中国語にのめり込んでいったのは社会人になってからですが、ずっと心の中で中国語を喋れるようになりたいという思いがあったのは、小学生のときのこの経験がきっかけとなったからだと思います。
【続】
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美容ライター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。