使い分けのポイントは、コミュニケーションの場や相手との関係、文体に適切であるかなど。したがって、友人や同僚に対しては「おかげさまで」を用い、上司や社外の人に対しては「お陰様で」と表現するといいでしょう。
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「おかげさまで」の意味は?
「おかげさまで」は、一般的には感謝の気持ちを表す言葉としてよく知られていますが、果たして目上の人に対しても使えるのでしょうか。
書き手である私自身、2人の子どもを育てながら仕事を続けている40代のワーママです(オンライン秘書サービスを提供するIT企業で、主任をやっています)。
育休復帰後はビジネスメールを書く際や、保育園とやりとりする上で敬語に自信がなく、表現の微妙なニュアンスに何度も迷いました。
この記事では、「おかげさまで」の使い方や、目上の人に対しての言い回しなど、ワーママの視点も交えて解説します。
言葉の意味
最初に、言葉の意味を辞書でチェックしておきましょう。
おかげ‐さま【▽御×蔭様】
1. (多く「おかげさまで」の形で)他人から受けた助力や親切に対して感謝の意をこめていう語。「—で息子も卒業できました」
2. 「おかげ1」をさらに敬っていう語。「すべて神様の—と感謝する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「おかげさまで」は、補助してくれた相手に対して、感謝の気持ちを伝える際に使われる言葉です。
漢字では「お陰様で」と書く
漢字では「お(御)陰(蔭)様で」と書きます。神仏の見えない助け・加護を意味する「御陰・御蔭(おかげ)」に、「様(さま)」を加えて丁寧に言い表したことが語源となっています。
「おかげさまで」と「お陰様で」の使い分けについて、一般的に明確なルールはありません。しかし、ひらがなの「おかげさまで」はカジュアルな印象を与えます。一方「お陰様」は、公式文章などで使われる傾向があり、オフィシャルな印象です。


目上の人には使える?ビジネスシーンでの注意点は?
「おかげさまで」は、ビジネスシーンで頻繁に使われる感謝の言葉ですが、目上の方に使っても失礼にならないか迷う人もいるかもしれません。ここでは、この表現を目上の人に使う際のポイントと、ビジネスでの注意点を詳しく解説します。
取引先や目上の人にも使える敬語表現
「おかげさまで」は敬語表現なので、目上の人や取引先に使っても問題ありません。謙虚な姿勢で感謝の気持ちを表せる、便利な言葉です。日頃から積極的に使ってみましょう。
ビジネスなどで使うときの注意点
うまく使いこなせると便利な言葉「おかげさまで」にも、注意すべき点があります。特にビジネスシーンで間違った使い方をすると、常識がない人という烙印を押されてしまいかねません。よく考えながら、適切に使いたいものですね。
まず「おかげさまで」という言葉は、冒頭に付け加える言葉です。「おかげさまで、〇〇できました」ならよいですが、「〇〇できたのは、おかげさまです」とは言わないので注意してください。
文中で使いたい場合は「先輩のアドバイスのおかげで、成功しました」といったように、「おかげさまで」を「おかげで」に変えて使うといいでしょう。「さま」が省かれていることから、目上の人に使うことに躊躇する人がいるかもしれませんが、文中では「おかげで」で問題ありません。
また、「おかげさまで」の後にネガティブな内容を続けるのはNGです。「おかげさまで、成功しました」とは使えても、「おかげさまで、失敗しました」という使い方は存在しませんので覚えておきましょう。

「おかげさまで」は冒頭に付け加えて使います。また、ネガティブな内容には用いないように注意しましょう。
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【Domani編集部の体験談】ビジネスシーンでの適切な使い方
ビジネスシーンで実際に「おかげさまで」を使用する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。Domani編集者たちの「おかげさまで」にまつわる成功・失敗談を踏まえつつ、使用法を見ていきましょう。
【episode1】相手が直接関わっていない場合は無理に使わないことが大切

Domani編集部 S氏(28)
職場の後輩が取引先に向けて「おかげさまで…」と使っていたのですが、その企業が直接関わっていない案件だったため、「無理に使わないで、事実を丁寧に伝えよう」と指導しました。“おかげさま”は感謝の気持ちが伝わる一方で、文脈を選ぶ言葉だと思います。
【episode2】自分だけでなく関係者への配慮や感謝を適切に伝えるときに使う

Domani編集部 K氏(35)
以前の勤め先の上司が表彰されたとき、「社内外の皆さまのおかげです。本当にありがとうございます」と言っていたのを聞いて、“おかげさま”の使いどころを学びました。自分だけの成果に見せない姿勢に感銘を受けるとともに、適切な文脈で用いることが大事だと今でも記憶に残っています。
使い⽅を例⽂でチェック
続いて、「おかげさまで」の使い方を例文で確認しましょう。
記念式典を開くとき
企業が記念式典を開くとなれば、祝いの品や祝電が届くことも多々あります。また、式典に出席していただいた取引先にもお礼を述べる必要があるかもしれません。こういった場合に、この文例のように「おかげさまで」を使うことができます。
また、式典ならば直接関係していない取引先に対しても、日頃の取引を感謝して「おかげさまで」が使えます。
【例文】
・おかげさまで、無事に50周年の記念式典を終えることができました。
商談がまとまったとき
こちらは、たとえば目上の人や取引先に、面識のない企業や人を紹介してもらった際に使える「おかげさまで」です。紹介というサポートの結果、商談がまとまったことに対する感謝の意が含まれています。
【例文】
・おかげさまで、無事商談がまとまりました。ご紹介いただきありがとうございました。