文語のため話し言葉としては使わない
文語的な表現である「貴殿」は、話し言葉では使いません。基本的に、手紙や公的な文書などで使用される言葉です。話し言葉として同じ意味の内容を伝えたいときには、「◯◯様」や「◯◯課長(役職名)」などと表現しましょう。
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「貴殿」の言い換え、4つの類語
「貴殿」の言い換えには、「あなた」「先生」「貴台」「貴社」の4つの類語があります。類語とはいってもニュアンスが異なるため、言い替えをする際には相手の立場やシーンに合わせて使い分けてみてくださいね。
あなた
「あなた」も「貴殿」の類語のひとつです。「あなた」を漢字で表すときは「貴方」と書きます。「貴殿」とは対象となる相手に対する敬意の大きさが異なっており、「あなた」の場合は自分と同じくらいの立場か、目下の相手を表す敬称となります。
「あなた」はもともと、相手への尊敬を込めて呼ぶ話し言葉でした。しかし、現代では敬意の念は薄れており、対等の相手か目下にあたる相手に対して、丁寧さと親愛の念を含む敬称となっています。
先生
「先生」も「貴殿」と言い換えができる類語です。専門の知識や資格、スキルを持った相手に対して、ビジネスの場などで使われることがあります。
この表し方をするかどうかは、企業ごとの文化によっても異なります。「先生」とよく呼ばれることがある例としては、企業に対してその力を発揮してくれる、弁護士や会計士、医師などです。
貴台
「貴台」も「貴殿」との言い換えができる二人称で、「きだい」と読みます。主に、手紙文で用いられるところが特徴。「貴殿」と比べると、より敬意の念が強く込められている言葉です。男女での使い分けの必要性は、「貴台」のほうが薄くなります。
貴社
「貴社」の読み方は「きしゃ」。企業に対して使う言葉であり、「敬意を持っている相手が所属している会社など」を表わしています。
なお、「貴社」は「貴殿」と同じく主に書き言葉として用いられます。会話の中で表現する場合には「御社(おんしゃ)」を選んだほうがいいですね。
「貴社」が話し言葉としてあまり使われない理由は、その音にあります。「きしゃ」で思い浮かべるものには「帰社」や「記者」などもあるでしょう。漢字がわからないまま「きしゃ」とだけ聞くと、ほかのイメージを持ってしまいやすいもの。話が理解しにくくなってしまうため、話し言葉としては避けられているのです。
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最後に
目上の人に対する尊敬の意を含めた二人称である、「貴殿」。本記事で紹介した注意点も踏まえて、適切な場面で使ってみてください。ビジネスシーンでは、仕事相手や取引先の名前を呼ぶ機会は多いもの。状況に応じて、類語である「あなた」や「貴社」などを使い分けてみると、表現が広がるでしょう。
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