「来訪」とは、人が訪ねてくることを意味し、対象が人である場合に場所を問わず使える言葉です。
Summary
- 「来訪」とは「人が訪ねてくること」を意味する言葉である
- 相手が来てくれた打ち合わせや面談など、さまざまなビジネスシーンで使用可能。会社以外で会う時にも使える
- 類語や言い換え表現には、「来社」「来場」「お越しいただき」「ご足労いただき」などがある
Contents
「来訪」の意味と読み方
「相手に来てもらう」という意味がある「来訪」。会社以外で会うときにも使える表現で、ビジネスの場では頻繁に使用されます。ここでは「来訪」の正しい意味や読み方をご紹介します。

「相手に来てもらう」という意味
らい‐ほう〔‐ハウ〕【来訪】
読み方:らいほう
[名](スル)人が訪ねてくること。「旧友が—する」「—者」⇔往訪。
引用元:小学館『デジタル大辞泉』
「来訪」は人が訪ねてくることを指し、読み方は「らいほう」です。自分ではなく相手が出向いてくれるときに使える表現で、外部を交えて自社で会議をする場面などで使用可能な言葉です。なお、対象が人である場合にしか使用できないので注意しましょう。
会社以外で会うときにも使える
「来訪」は、自社に来てもらう時にしか使えないわけではありません。会社以外で会う時にも使えます。たとえば、会議を兼ねたレストランでの会食やイベントブースでの商談など、ビジネスで使える場面は多いです。「来訪」は、場所を制限する言葉ではないことを覚えておきましょう。

「来社」や「訪問」との違い
「来訪」と「来社」はいずれも「相手に来てもらう」という意味ですが、「来社」は場所が会社である場合にのみ使用できる表現です。また、「来訪」は相手が「来た」ことに対して使う言葉であるのに対し、「訪問」は自分が「行く」ことに対して使います。ちなみに接頭語の「ご」をつけると、それぞれ「ご来訪(相手の行動に対する尊敬語)」「ご訪問(自分の行動をへりくだる謙譲語)」となります。

「来社」は会社に特化した表現であり、「訪問」は自分が「行く」ことに対して使う表現です。
【Domani編集部の体験談】ビジネスシーンでの「来訪」の使い方
ここでは、Domani編集部のメンバーたちの「来訪」という表現にまつわる成功談や失敗談のエピソードをいっしょに見ていきましょう。
【episode1】「来訪」は目上の人への敬意をさりげなく示せる尊敬語
Domani編集部 M氏(38)
管理職になってから、部下がお客様へのメールで「先日は、〇〇様に弊社を訪問いただき、誠にありがとうございました」と書いているのを見つけました。すぐに彼を呼んで「お客様がこちらに来てくださったのだから、『ご来訪』が正しいよ」と指摘。彼は「そうだったんですか。あまり意識していませんでした」と素直に反省してくれました。とても優秀な部下ですが、言葉の丁寧さや使い分けにまで気が回っていなかったようです。私はこの経験から、言葉使いの「正しいマナー」は日々の業務の中で意識的に教えていく必要があると再認識しました。お客様との信頼関係は、こうした細やかな言葉の積み重ねで築かれるからです。
【episode2】相手に応じて「足をお運びいただき」などの表現とセットで使うべき
Domani編集部 H氏(35)
ある日、重要な取引先の役員の方が来社されました。普段は顔を合わせる機会のない役員も同席する中、私がお客様を応接室に案内すると役員は立ち上がって「本日はご多忙の中ご来訪いただき、誠にありがとうございます。〇〇様におかれましては、遠方より足をお運びいただき、心より感謝申し上げます」と深々と頭を下げていたのです。この時、私は「ご来訪」だけでなく「お運び」という、より丁寧でかしこまった表現を使っていることに感銘を受けました。単なる「来ました」ではなく、お客様が時間と労力をかけて「わざわざ来てくれた」ことへの敬意が、言葉の端々から伝わってきたからです。最上級の敬意を示す言葉選びは、役員のような立場だからこそ求められるスキルなのだと実感しました。この完璧な「来訪」の使い方は、私自身の言葉使いの手本となっています。
シーン別にご紹介!「来訪」の使い方と例文
「来訪」は、打ち合わせや面談、会議などビジネスのあらゆる場面で使用できます。先方に依頼するときや確認メールを送るときなど、シーン別に「来訪」の使い方を解説します。

来訪を依頼するとき
会議や打ち合わせなどで、相手に来訪をお願いすることもあるでしょう。そのように、依頼する場面で使える表現はこちらです。
【例文】
・ご来訪いただきたく存じます
・ご来訪くださいますようお願いいたします
・ご来訪いただけますと幸いです
来訪時に挨拶するとき
来訪日に相手が到着したら、「ご来訪お待ちしておりました」と挨拶をしましょう。遠方から来てくれた場合は、最初に「ご来訪ありがとうございます」と感謝を述べるのがおすすめです。
【例文】
・ご来訪お待ちしておりました。遠方からご足労いただき、誠にありがとうございます
来訪後にお礼を伝えるとき
打ち合わせや会議が終わったあとは、足を運んでくれたことに対して「ご来訪ありがとうございました」と感謝を述べましょう。もしお礼メールを送る場合は、当日に送るのがマナーです。訪問日から時間を空けないよう注意しましょう。
【例文】
・本日はお忙しい中、ご来訪いただきましてありがとうございました。会議の内容は、後日まとめてお送りいたします。
不在時のお詫びメールを送るとき
せっかく相手が来てくれたにもかかわらず、自分が不在で話ができないこともあります。そんなときは、お詫びメールを送り、不在だったことを謝りましょう。
【例文】
・本日ご来訪いただいたとのこと、誠にありがとうございました。ご足労いただいたにもかかわらず、不在で対応できずに大変申し訳ございませんでした。
確認メールを送るとき
来訪の数日前に確認メールを送ることもあるかと思います。そんなときは、「ご来訪お待ちしております」というフレーズを使用するのがおすすめです。確認メールを送る場合は、1週間〜3日前に送るのが望ましいでしょう。
【例文】
・〇〇の打ち合わせで確認のご連絡をいたしました。以下の日時でよろしくお願い申し上げます。それでは、ご来訪を楽しみにお待ちしております。
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「来訪」の敬語表現とは
記事のはじめのほうで少し触れましたが、「来訪」の敬語表現には「ご来訪いただく」「伺う」「ご来訪者」などがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

来訪する人のことは「ご来訪者」
来てもらう人のことを「来訪者」といいます。ただ、「来訪者」は来てくれた本人を目の前にして使われることはありません。来訪する本人に向けて使いたいときは、「ご来訪者(様)」を使用するのが一般的です。本人に向けて使える言葉と使えない言葉があることを理解しておきましょう。
【例文】
・本日のご来訪者は、〇〇様です。
・大変お待たせいたしました。ご来訪者様はこちらの会議室にお集まりください。
自分が出向く場合は「伺う」
自分が出向くときは、相手の場所に向かう意味で「伺う」を使います。「来訪」と混同する人もいますが、真逆の意味なので使用するときは十分に注意しましょう。
【例文】
・それでは、明後日〇〇時に御社へ伺います
・こちらは、昨日〇〇の打ち合わせで伺ったときに取引先から受け取った資料です




