【大豆田とわ子は、人生を謳歌する新しい働く女性像】プロデューサー・佐野亜裕美さんインタビュー | Domani

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2021.06.10

【大豆田とわ子は、人生を謳歌する新しい働く女性像】プロデューサー・佐野亜裕美さんインタビュー

超話題のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』。「共感しかない」「シビれる展開」と、忙しい大人の女性もこれだけは観ていると噂の作品が、いよいよ最終回に!放送を前に、プロデューサーの佐野亜裕美さんに、ヒロインのとわ子や作品に込めた思いをうかがってきました。

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湯口かおり
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まるで、いいショコラティエの10粒入りボックスを、大事にひとつずつ味わうかのように……。『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系・関西テレビ制作)は、そんな気持ちで観たいテレビドラマです。

まだご覧になっていない人のために、簡単に説明しますと、松たか子さん演じるバツ3の、建築会社の社長・大豆田とわ子(Domani世代の40歳!)が、元夫たちや娘、仕事などに振り回されながらも、日々たくましく、楽しく生きていく物語です。脚本はもちろんのこと、キャストも衣装もインテリアも食も音楽も、すべてが丁寧で洗練されていて、見どころ満載!ながら観禁止!人生における金言もシャワーのように降り注ぎ、忙しい日々を送るDomani読者が週に一度、このドラマに癒され、救われているとか。

さらにストーリー展開もサプライズの連続で、“味わってみないとフレーバーがわからない”点においても、チョコレートボックスにそっくり。そんな『大豆田とわ子〜』が、いよいよ15日に最終回である第10話を迎えるということで、本作を企画から立ち上げたプロデューサー・佐野亜裕美さんにお話をうかがいました。

仕事もおしゃれも、人生を自由に謳歌するのが大豆田とわ子

――佐野さんも、大豆田とわ子と同世代ということですが、働く大人の女性像を、どんなふうにとらえながら、本作をつくられているのでしょうか。

佐野さん(以下敬称略):とわ子さんに関しては「とにかく楽しく生きている人にしてほしい」と、脚本家の坂元裕二さんにはお願いしていました。細かくこんなふうに、という話はしていなくて、坂元さんとの打ち合わせはほとんど雑談なのですが、「今日はこんなことがあって」とか「最近こんなことで怒っている」といった話の中で、すくい取ってくださった部分があるんじゃないかと思います。働くことも恋愛することも、生きるうえで切り離せない大事なパートですが、とわ子さんはいろんなものから縛られない、自由に楽しく生きている人がいいというのは、大きな方針としてありました。

――確かにそれは、衣装ひとつをとっても、ものすごく伝わってきます。色や柄、レイヤードの仕方も明るく華やかで、視聴者側も見ていてワクワクしています。

佐野:そう言っていただけてうれしいです。スタイリストチームには「クローゼットの大きさ(の設定)は、あまり気にしないでいいです」と、伝えました。劇中も「いつ着替えたんだろう」とか、「なんで家にいるのにピアスをしたままなんだろう」みたいな辻褄は、気にしすぎないようにしていますね。でも人間って、そういうものじゃないですか。お気に入りの服を着ていたら、着替えずそのまま家で過ごすこともあるし、ふとした瞬間、鏡に映る自分が素敵なほうがいいなと思う気持ちもあるだろうし。もちろん最低限のTPOはあるのですが、これまでの連ドラにある慣習みたいなものとは、離れた人にしたかったんです。

とわ子さんは“おしゃれな人”ではなく“洋服が好きな人”

――コーディネートも、最先端のファッショントレンドである“ミニマル”“ジェンダーレス”といったキーワードとは、ある意味逆のおしゃれという印象を受けました。

佐野:とわ子さんを、“おしゃれな人”というより、“洋服が好きな人”にしたかったんです。松(たか子)さんは、ご自身はとてもおしゃれなんですが、ドラマ上ではいい妻役とか、地味めな衣装を着られることが多くて。でも、逆にファッショナブルなイメージがあまりない人が、洋服を楽しんでいるように見せたいと、スタイリストさんたちにもお願いしていましたね。歳を重ねてくると、自分で似合うものもわかるから、つい似合うものばかり着てしまうけど、そうではなくて、好きなものを好きなように着られる社会になってほしい。とわ子さんには、それを体現してもらいたかったんです。40歳になっても真っ赤な服を着ていいし、サロペットを着てもいい。それはファンタジーと感じてしまう人もいるかもしれないけれど、そういう世界を描きたかったという思いがあります。

――ファッション誌の特集でも、常にそういったメッセージを発信したいと思っていますが、なかなか伝えきれない歯がゆさがあります。

佐野:難しいところですよね。こういったシーンにはこういった着こなし、と見本があったほうがいい人も、たくさんいるでしょうし。だから何が正解で、何が間違いとかはないのですが、今までやってこなかったことを、私はつくってみたかったというだけで。

――衣装のことでいうと、第5話で、嫌な目にあったとわ子さんが、13万円のオレンジのフラット靴をポチって、自分を励ますシーンにも共感しました。

佐野:13万円という金額を画面に映すつもりはなかったんですよ。なのであれは、しまったーって、あとで思いました(笑)。結構な金額じゃないですか、13万円って。そうとう頑張って働かないと、リカバリーできない。

――そうですね(笑)。でも、オレンジのフラット靴にした理由はなんでしょう?

佐野:明るい色で、走り出せそうな靴をとわ子さんは選んだんですね。とわ子さんが落ち込んでいるところだったので、そこから解き放たれて、明るく前に進めるものにしたいなって思いました。

――ちなみに、とわ子さんをバツ3に設定した意味は、何かあるのでしょうか。

佐野:最初は、バツ3の男性が主人公の予定だったのですが、あまりイメージがわかなかったのもありまして。逆にしたほうが、面白いんじゃないか? と、坂元さんと話し合って決まりました。

――確かに(笑)。

佐野:あとやっぱり、夫婦別姓の問題が、私の中にすごくあって。坂元さんとそれについて深く話し合ったわけではないんですけど、元夫が田中・佐藤・中村という、日本で多い苗字に対して、とわ子は“大豆田”という珍しい苗字という点にも、意味を込めてくださっているんじゃないかと思います。第1話が、「田中さん」「佐藤さん」「中村さん」と呼ばれるところからスタートするというところにも。
このドラマは、何か大きな社会問題を表に掲げることは、意図的にしないでいるのですが、バツ3の男性よりもバツ3の女性のほうが、そういったことが自然と表現しやすいところはありますよね。あと付けの話ではありますが。

――娘の唄(うた)ちゃんが、仕事や男性に対して、とわ子さんと対照的な気持ちをもっている点も、気になります。医者になる夢を捨てて、医者を目指すボーイフレンドの西園寺(さいおんじ)くんを、支える側に回ろうとするんですよね。

佐野:あれは、医大入試にまつわる女性差別問題に直面した、唄ちゃんなりの決断なんだろうなって想像できますよね。“お金の匂いのする苗字”(注:作中での表現)の西園寺くんとの関係については、最終回で決着するので楽しみにしていてください。第1話と最終話は対になっていて、ドラマ全体を通しての「女性がひとりで生きていくこと」というテーマが、うまく着地できたかなと思っています。

――ああ、もう、ものすごい楽しみです!!!

もっと自分らしく生きられる社会になってほしいと願いを込めて

――最後に、とわ子さんに共感する女性も多いDomani読者に、どんなふうに最終回を観てもらいたいでしょうか?

佐野:自分の幸せは、自分が決められると思うので、あまり雑音にとらわれすぎず、とわ子さんのように、その場その場を楽しめるといいんじゃないかと思っています。自由に生きていける人が増えたら、もうちょっと社会もよくなっていくのではないかなと。
自分の権利を獲得するために、なぜ虐げられている側が頑張らなくてはならないんだって思うんですよね。女性が、社会的な不平等を被るようなことが是正されるような、一助というほど背負ってはないのですが、何か考えるきっかけになればという思いもありますし。みんなが、のびのび自分らしく生きられる社会になったらいいなという願いを込めて作品をつくっています、ということでしょうか。「こういうふうに観てほしい」という質問にはあまり答えられていないのですが。


テレビドラマに対する熱い思いはもちろん、社会を見る目がとても優しい。インタビュー中ずっと、佐野さんに、そんな印象を抱いていました。だからこそ、こんなに細やかで、大人の女性の心をとらえる作品が生まれるのですね。
大事にしていたチョコレートボックスも、あとひと粒。もったいないけど、でもやっぱり食べたい。6月15日夜9時30分、心していただくことにします。

テレビドラマ

『大豆田とわ子と三人の元夫』

建築会社の社長でバツ3の大豆田とわ子。元夫や家族、友人、部下などに振り回されながらも、自分らしく生きる道をたくましく探していく。主演・松たか子、元夫役に、岡田将生、角田晃広(東京03)、松田龍平。毎週火曜日夜9時(15日は夜9時30分)〜放送(フジテレビ系・カンテレ制作)。

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