適切とはいえない使い方に注意1
【例】
・「本日、司会を務めさせていただきます」 → 「司会を務めます」でOK
よく使う例として冒頭でも触れましたが、「司会を務めさせていただきます」では少々すっきりしない印象ですね。たとえばこの場が職場の会議であったなら、上司や誰かの許可を得ていることは想定されるものの、具体的な恩恵を得ているわけではありません。ですので、「司会を務めます」とシンプルに伝えるとスマートです。
なお、結婚披露宴の司会のようにギャランティーが発生する場合には、このような表現でもおかしくはありません。
適切とはいえない使い方に注意2
【例】
・「ご説明させていただきます」 → 「ご説明いたします」でOK
こちらもよく耳にする表現です。文法としては間違いとはいえませんが、前述の要件に合致するのはよほどのときだけ。「ご説明いたします」としたほうが、シンプルでわかりやすいでしょう。
「させていただく」が適切な場合を紹介
続いて、「させていただく」の適切な使用シーンを見ていきましょう。

「早退させていただきます」
管理者の許可が必要な場合は、この表現が適切です。また、「早退する」ことによって、話者は休息がとれるなどの恩恵を受けますね。このことから、「早退させていただきます」は、条件に合致する言い方だといえます。
「不用品を処分させていただきます」
不用品を処分するには、相手の許可が必要です。また、処分することによって部屋がきれいになるなど、何らかの利益が得られます。したがって、「させていただく」の条件に合っているといえるでしょう。
よくある質問
「務めさせていただく」という言い回しに関して、よくある質問とその回答をご紹介します。
Q. 「務めさせていただくことになりました」は正しい表現ですか?
「務めさせていただくことになりました」は、周囲の配慮・許可によって特定の役割を担うことになったことを伝える表現です。「務めさせていただく」と同様、過剰な敬語と捉えられるおそれもあります。
しかし、周囲の配慮や許可に対して感謝の気持ちを効果的に表せる表現ですので、完全な間違いだと指摘されることは少ないでしょう。
Q. 「させていただく」と「させて頂く」はどちらが正しいですか?
いずれも口頭では同じ響きですが、書き言葉としては「させていただく」という表記が正しいとされます。メールや文書など書き言葉として使用する際には「いただく」とひらがなで表記すると良いでしょう。
最後に
- 相手から許可・配慮を受けている場合には過剰な敬語表現とはいえない
- よりスマートに伝えたいなら「務めます」「担当します」がおすすめ
- 書き言葉としては「させて頂く」ではなく「させていただく」が正しい
なんとなくおかしいと思いつつも「周りが使うので」と、つい間違った使い方をしている場合もあるのが、「させていただく」という表現かもしれません。丁寧にしようと思うほど、敬語は過剰になりがちです。正しい敬語は、簡潔でありながら礼儀正しく、かつ伝わりやすいもの。普段のビジネスシーンや日常会話では「わかりやすさ」を意識することで、より相手に好感を持たれるコミュニケーションができるでしょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。
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