コロナ禍の今、日本の子どもたちに何が起こっている?
昨年の9月、ユニセフが子どもの幸福度に関する調査結果を発表し、日本の子どもたちは身体的健康は満ち足りている(38国中1位)が、精神的には満たされていない(38国中37位)と言う報告がありました。(出典/ユニセフ)
親としては少しショックな結果ではないでしょうか。では精神的幸福度はどのようにして上昇していくのか、スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士の吉田智子さんに伺いました。
そもそも、精神的幸福度はどう測られる?
子どもたちの幸福について、ユニセフの調査の中では生活満足度や自殺率などで順位を出しているのですが、ここでは【ウェルビーイング】という概念を使って考えてみたいと思います。ウェルビーイングという言葉が最初に使われたのは1946年にWHO(世界保健機関)が設立された時だと言われています。WHOは健康を【身体だけでなく、精神的にも社会的にも満たされた状態=ウェルビーイング】としました。
20世紀は経済的な発展が人々を幸せにするのだと信じられた時代でしたが、次第に所得と幸福が比例しない(GDPでは測れない)と言われるようになり、2015年に国連がSDGs(持続可能な開発目標)を採択。その中で、新たな豊かさの指標としてウェルビーイングが取り上げられました。
つまり、人々の幸福は経済成長や競争に勝つことでもたらされるのではなく、人々がつながり、わかちあいながら、誰もが満たされる状態を目指すことによってもたらされる、としたのですね。
「ウェルビーイング」から見る、今の子どもに必要なこと
それでは、今の時代に合った幸福を目指すにはどのようなことが大切になってくるのでしょうか。
●自己肯定感(自分は大切にされていると感じられる)
●レジリエンス(回復する力)
●居場所があること(家庭、学校、習い事、祖父母宅でも、安心していられる場所があること)
●感謝と寛容で他者とつながれること(ありがとう、いいよ)
●将来に対して楽観的に考えられること
●成長意欲・自分を信じる力
これらがこれからの時代に必要なことだと考えます。
従来の、【成長・競争・成功】も幸福感を感じる要素ではありますが、これからの時代は【誰かに測られるのではなく、自分らしくいられることに幸福を感じる力】が基盤となっていくのではないでしょうか。親の価値観を子どもに押し付けてしまわないように、これからの時代に合った共存共栄の力を身につけていかれると良いですね。
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
あわせて読みたい
▶︎子どもが頻繁に「まつげ」「眉毛」などを抜いていたら…SOSのサインかもしれません
▶︎人生100年時代だからこそ、子どものころから身につけておきたい「自己肯定感」
臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
HP
Twitter: @hakoniwasalon