「日本三景」
日本三景が選定されたのは、江戸時代の始めに、儒学者であった林春斎が執筆した『日本国事跡考』においてです。林春斎は、とくに素晴らしい自然の情景だとして、松島(宮城県)、天橋立(京都府)、厳島(広島県)を賞賛しました。これらは江戸時代から現代まで、長く人々に愛されている観光地です。日本三景に立ち寄ったら、きっと「風光明媚」という言葉を思い出すはずです。
「日本八景」
日本八景は、室戸岬(高知県)、十和田湖(青森・秋田県)、雲仙岳(長崎県)、上高地渓谷(長野県)、木曽川(愛知県)、別府温泉(大分県)、華厳滝(栃木県)、狩勝峠(北海道)の8ヵ所を言います。
日本八景は、専門家が選定した日本三景と違い、一般人の投票で決定されたという事実はご存じでしょうか。とある新聞社主催で1920年代に投票が行われ、選定条件の中に人工的な物は除外という内容があったようです。人工物には使えない「風光明媚」に、まさにピッタリな自然の情景が選定されたことになります。日本三景より1つ1つの知名度は低いかもしれませんが、日本八景を巡れば、日々の喧騒を離れて風光明媚を存分に感じられるはずです。
「風光明媚」な場所で日々の疲れを癒してみよう
「風光明媚」は心にグッとくる、美しい自然を表現する言葉です。「風光明媚」の使い方や、成り立ち、誤用についての知識を付けることで、次に美しい自然に出会った時に、ふと心に浮かんでくる言葉になるでしょう。忙しい日々の中で、立ち止まって自然の美しさを感じる時間は、私たちの心にとても豊かな時間をもたらしてくれます。四季の美しい日本を感じられる、日本三景と日本八景にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
(引用全て小学舘『デジタル大辞泉』より)
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