「鴨脚樹」の別名は「銀杏」「公孫樹」
鴨脚樹は日本では街路樹として頻繁に目にする背の高い樹木で、原産地は中国です。鴨脚樹の葉は、秋になると黄色に変色し、見る人を楽しませます。
鴨脚樹の実は食用としても親しまれていますが、熟した実は強烈な匂いを放つのが特徴です。鴨脚樹の読みは予想出来ましたか?正解は……「いちょう」でした!
いちょうの漢字表記は3つあり、「銀杏」「公孫樹」「鴨脚樹」です。
いちょう【銀杏/公孫樹/鴨脚樹】
1. イチョウ科の裸子植物。一科一種。落葉高木で、高さ約30メートルに達する。葉は扇形で中央に裂け目があり、秋に黄葉する。雌雄異株。春、葉の付け根に、尾のような雄花、柄のある2個の胚珠(はいしゅ)をもつ雌花をつけ、4月ごろ受粉し、9月ごろ精子によって受精が行われる。果実は丸く、外種皮は熟すと黄橙(おうとう)色で、内種皮は白い殻となって種子を包む。種子は銀杏(ぎんなん)とよばれ、食用。幹や枝から気根を垂らすことがあり、乳(ちち)の木ともいう。中国の原産で、盆栽や街路樹に多用され、材は碁盤・将棋盤などに使われる。《季 黄葉=秋 花=春》「―散る遠くに風の音すれば/風生」
2. 鏃(やじり)の一種。イチョウの葉の形をしたもの。
3.「銀杏頭(いちょうがしら)」の略。
4. 紋所の名。イチョウの葉を図案化したもので、多くの種類がある。
◆ 江戸時代以来、語源を「一葉」と考え、歴史的仮名遣いを「いてふ」としてきたが、「鴨脚」の宋音ヤーチャオに由来するもので、「いちゃう」が正しいとする。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
和名「イチョウ」の由来が鴨脚
日本でイチョウという呼び名が定着したのは、平安時代に遡ります。中国では、葉の形が鴨の水掻きのように見えることから、イチョウは「鴨脚(イーチャオ、ヤーチャオ)」と呼ばれていました。
中国から鴨脚樹が伝わった際に発音をまねて「イーチャウ」と発音されるようになり、のちにイチョウに定まったとされます。鴨脚樹という表記も中国の「鴨脚」に由来しています。
「鴨脚樹」の花言葉と特徴
鴨脚樹には、雄木と雌木があることはご存じでしょうか?咲かせる花もそれぞれ雄花と雌花で、1本の木に両方の花が咲くことはありません。
秋になると道端に落ちている大量の鴨脚樹の実は、雌木から落下した実です。
鴨脚樹の花言葉は「荘厳」「長寿」「鎮魂」です。日本では、鴨脚樹は昔からシンボルとしても親しまれてきました。
身近だけど、意外と知らない鴨脚樹の花言葉や特徴をご紹介します。
鴨脚樹の花言葉
鴨脚樹の花言葉は3つあり「荘厳」「長寿」「鎮魂」です。鴨脚樹は木の中でも寿命が長く、なんと千年以上も生きているケースもあります。
長寿という花言葉は、長い年月を生き抜く生命力のある鴨脚樹の姿に由来します。その他の花言葉、荘厳と鎮魂も歴史のある樹木が立派にそびえ立ち、落ち着いた存在感を醸し出している様子を表しているとされます。
鴨脚樹はシンボルとしても歴史が深い
特徴的な扇形をした鴨脚樹の葉は、代々引き継がれる家紋にも用いられています。鴨脚樹の家紋は「銀杏紋」と呼ばれ、長寿や子孫繁栄のシンボルとして人気が高いです。
銀杏紋は、鴨脚樹の葉をモチーフにした紋だけでなく、花をモチーフにした紋などバリエーションの幅が広いのも特徴です。
家紋以外にも、鴨脚樹は東京大学の校章にデザインされています。また、切り口の丸い食材を縦に十文字に切ったあとで、端から一定の厚さに切る方法を、鴨脚樹の葉にみたてて「イチョウ切り」と呼びます。
鴨脚樹モチーフは、日本の文化に根ざした人気のあるシンボルです。
鴨脚樹の特徴
鴨脚樹の木には、雄木と雌木があり、雌木のみが実を付けます。オレンジ色に熟した鴨脚樹の実は、匂いを放つため、街路樹としては雄木が好まれる傾向があるようです。
鴨脚樹の花が咲くのは春の4~5月頃で、受精のために雄株は花粉を飛ばします。道に落ちている鴨脚樹の実を頻繁に見かける理由は、鴨脚樹は受精をしなくても胚珠(発達して種子になる部分)が肥大し、実を付けるからです。
様々な用途で利用されている「鴨脚樹」
日本でも馴染みの深い鴨脚樹は、私たちの生活のさまざまな所で活躍しています。例えば、鴨脚樹は木材として利用されるほか、街路樹としても人気が高いです。
秋には、鴨脚樹の実が調理され食卓に並びます。海外では鴨脚樹の葉がハーブとして認定されており、70ケ国以上で処方薬としても使われています。
鴨脚樹の幅広い用途について確認してみましょう。