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2022.09.30

【漱石枕流】←なんと読む?どんな意味?文豪の名前の由来になった言葉の意味や例文・類義語も紹介

 

漱石枕流(そうせきちんりゅう)とは負け惜しみが強いことを表す四字熟語で、夏目漱石のペンネームの由来にもなった言葉です。どのような由来があるのか、また、どのように使うことができるのか分かりやすく解説します。

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「漱石枕流」とは負け惜しみやこじつけのこと

漱石枕流(読み方:そうせきちんりゅう)とは、負け惜しみが強いことやこじつけを示す言葉です。頻繁に使う言葉ではありませんが、日本を代表する文豪・夏目漱石の名前の由来としても知られています。

なお、「漱」とは、口をすすいだり、うがいをすることを指す言葉です。漱石枕流を読み下すと、「石(いし)に漱(くちすす)ぎ、流(なが)れに枕(まくら)す」となり、石でうがいをし、川の流れを枕にして眠るという意味になります。

【漱石枕流】そうせきちんりゅう
負け惜しみの強いことのたとえ。また、屁(へ)理屈をつけて言い逃れることのたとえ。晋(しん)の孫楚(そんそ)が「石に枕し流れに漱ぐ」というべきところを「石に漱ぎ流れに枕す」と誤り、「石に漱ぐ」とは歯を磨くこと、「流れに枕す」とは耳を洗うことだとこじつけたという、「晋書」孫楚伝の故事による。石(いし)に漱(くちすす)ぎ流(なが)れに枕(まくら)す。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

『晋書』で紹介された孫楚のエピソードを由来とする

漱石枕流とは、古代中国の・晋(しん)の国の歴史書『晋書(しんじょ)』に書かれたエピソードに由来する言葉です。昔、孫楚(そんそ)という人物は優秀な武将として活躍していましたが、少し引退してゆっくりと過ごしたいと考えました。

そして、ある人に「石を枕に眠り、川の流れで口をすすぐような自然に融け込んだ生活をしたい」と話すつもりが、間違えて「石で口をすすいで、川の流れを枕にして眠りたい」と言ってしまったのです。

相手は孫楚が言い間違えていることを指摘しましたが、孫楚は負けず嫌いな性格で、自分が間違えたことを認めません。「歯をしっかりと磨くためには石が必要で、世間の噂話で汚れた耳を洗うためには川の流れが必要だということを言ったんだ」と無理やりこじつけました。

このことから漱石枕流という言葉が、負けず嫌い、こじつけの意味で使われるようになったとされています。

夏目漱石のペンネームの元にもなっている

夏目漱石 ペンネーム 由来

夏目漱石の本名は、夏目金之助(きんのすけ)といいます。最初に漱石というペンネームを使ったのは、正岡子規が作成した和漢詩文集に対して批評文を書いたときとされています。漱石が22歳のときのことで、それ以降は自筆の文章に漱石と署名することが増えました。

なお、漱石はその後、自分のペンネームについて「今から考えると、陳腐で、俗気のあるものです」と評価しています。しかし、改名するのも面倒なので、そのまま使い続けたようです。

漱石枕流は流石(さすが)の語源でもある

漱石枕流という言葉にも使われている漢字二文字「流石」は、「さすが」と読めます。これは「素晴らしい」や「評判や期待通りの実力がある」「なるほど」などの意味で使う言葉です。

孫楚のように無茶苦茶な理屈でも言い返せるのは、評判に違わず頭の良さを感じさせ、“さすが”といえるでしょう。ゆえに「漱石枕流」から文字ととって「流石」を〈さすが〉と読むようになったと言われています。

いくつか例文をご紹介します。

例文

・素晴らしい文章だと思ったら、やはり彼女が書いたものでしたか。流石です。
・この問題が簡単に解けるとは、流石の頭の良さだ。

 

流石 語源

また、相手の実力は認めるものの、反発する気持ちがあるという意味で流石を使うことがあります。この場合は、「それはそうだが」「そうはいうものの」と言い換えると意味が理解しやすくなるかもしれません。いくつか例文を見ていきましょう。

例文

・本当においしいお菓子だが、流石に毎日は食べられない。
・私が悪かったのは事実だが、そこまで責められると流石に腹が立ってきた。

 

漱石枕流の使い方!例文を紹介

「漱石枕流」は、日常生活でも使うことができる言葉です。しかし、「流石」と比べるとあまり一般的な言葉ではないため、相手に意味が通じない可能性もあるでしょう。文学好きな方や四字熟語に詳しい方との会話で次のように話せるかもしれません。

例文

・本当に負け惜しみが強いなあ。漱石枕流とは君のことだよ。
・彼女の言い訳は漱石枕流で、彼女自身も筋が通っていないことは理解していたようだ。

 

漱石枕流の類義語を例文で紹介

漱石枕流と同様に、ひどい負け惜しみや屁理屈を指す言葉はいくつかあります。よく使われる類義語としては、次の3つが挙げられるでしょう。

・指鹿為馬(しろくいば)
・牽強付会(けんきょうふかい)
・こじつけ

それぞれの使い方やニュアンスの違いなどについて解説します。また、例文もいくつかご紹介するので、参考にしてください。

指鹿為馬(しろくいば)

漱石枕流 類語

指鹿為馬(しろくいば)とは、道理に合っていないことでも権力を背景にして無理に押し通すことを指す言葉です。漱石枕流も無理に自分の意見を押し通す言葉ですが、権力を背景にしているわけではありません。権力を振りかざす指鹿為馬は、漱石枕流よりも質が悪いといえるでしょう。なお、この言葉は秦(しん)の時代のエピソードに基づいた四字熟語です。秦の二代目の皇帝の治世中、皇帝よりも一家臣である趙高(ちょうこう)のほうが権力を持っていました。

趙高は自分の権力がどの程度あるのか確かめようと、あるとき、皇帝に鹿を献上して「馬でございます」と言います。趙高がなぜそういうのか分からない皇帝は、「これは鹿なのではないだろうか」と周りの家臣に尋ねました。後で趙高に何をされるか分からないと考えた家臣たちは「いえ、馬です」と答え、真実を語ろうとした家臣たちは「鹿です」と答えたそうです。

その後、趙高は「鹿です」と答えた家臣たちを殺します。これを見た他の家臣たちはさらに趙高を恐れるようになり、趙高が馬といえば馬、鹿といえば鹿というようになりました。なお、指鹿為馬は馬鹿(ばか)の語源でもあります。いくつか例文を見ていきましょう。

例文

・彼が嘘をついたのは指鹿為馬だといえるだろう。彼は明らかに何かにおびえていた。
・社長の娘である彼女はいつでも指鹿為馬だ。まったく道理に合わないことでも無理に押し通す。

 

牽強付会(けんきょうふかい)

牽強付会(けんきょうふかい)も、無理に理屈をこじつけることです。漱石枕流と同じく、特に権力を背景にしているわけではありません。なお、牽強とは「強く引っ張る」、付会とは「分かれていたものをまとめる」の意味で、どちらも「こじつけること」を表します。次のように使えるでしょう。

例文

・彼はいつでも牽強付会に話をまとめる。
・彼女の素行が良くないというのは、牽強付会の説だと考えられます。

 

こじつけ

単純に、「こじつけ」とも表現できます。いくつか例文を見ていきましょう。

例文

・彼女はこじつけが強い。何も知らないなら口を出さなくても良いのに。
・明らかにこじつけだ。こんな理論はまかり通るはずがない。

 

漱石枕流の意味を正確に把握しよう

漱石枕流 意味

漱石枕流はよく使う言葉ではありませんが、夏目漱石や「流石(さすが)」の由来として意味やエピソードを知っておくと良いでしょう。また、似た意味をもつ指鹿為馬も、「馬鹿」の語源になった言葉です。普段使わない言葉でも、どういう意味があるのかは把握しておくといいですね。

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