治外法権とは滞在する国の法律や制度が適用されないこと。内容や例文を解説

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2021.11.20

「治外法権」が適用されるのはどこか知ってる?比喩的に使うとどんな意味になるかもチェックしよう

「治外法権」という言葉は聞いたことがあると思いますが、正確な内容や、適用されるのがどこなのか知っているでしょうか?今回は、「治外法権」の正確な意味や例文、類語をご紹介します。教養として、この機会に正しく使えるようになりましょう。

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「治外法権」とは在留地の法が適用されないこと

「治外法権」は「ちがいほうけん」と読みます。在留地の法に服さないという権利のことです。

外国人であっても、通常は滞在する国の法律に服さなければなりません。しかし、例外的に適用を免れ、本国の法律が適用される場合があります。

治外法権

治外法権の意味は、次の通りです。

【治外法権】
国際法上、特定の外国人(外国元首・外交官・外交使節など)が現に滞在する国の法律、特に裁判権に服さない権利。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

その国の法律だけでなく、司法や行政を含む三権も及びません。簡単に言えば「外国人が滞在する他国のルールに従わなくていい権利」ということです。

領事裁判権との違い

治外法権と似た言葉に「領事裁判権」があります。領事裁判権とは、外国人が現在住んでいる国の裁判権に服さず、本国の法に基づいて裁判を受ける権利のことです。

滞在する国の法律が適用されず裁判権に服さないという意味で、治外法権の一部にあたる権利といえるでしょう。過去には認められていたこともある権利ですが、現代の国際社会ではどこの国にも存在しません。

条約で認められていたことも

領事裁判権は、江戸時代にあたる1858年に日本とアメリカが結んだ日米修好通商条約で定められていました。当時のアメリカ人は領事裁判権に守られ、日本で罪を犯しても日本の法律で裁けなかったのです。

そのため、各地でアメリカ人の犯罪が増加したという経緯があります。

不平等条約とも呼ばれた日米修好通商条約ですが、1911年の条約改正により領事裁判権は撤廃されました。

日本で治外法権がある場所や対象となる人

治外法権は外交特権の一部です。外交特権とは国際法上、外国からの外交使節団や外交官に認められている権利で、一般の外国人とは異なる保護や待遇が与えられています。

治外法権

外交特権には治外法権のほかに「不可侵権」があります。不可侵権とは、外交使節の生命や身体などが侵されない権利です。大使館や総領事館も、この不可侵権により在留国の管轄権が及びません。

ここでは、日本で治外法権がある場所、治外法権の対象となる人についてご紹介します。

大使館や総領事館

日本にある大使館や総領事館には治外法権が及びます。大使館とは、国交が成立している外国に、自国の特命全権大使を駐在させて公務を執行する場所です。

総領事館は外国に滞在する自国民の窓口となる役所で、大使館と合わせて「在外公館」と呼ばれています。

どちらも不可侵権で守られ、大使館責任者の許可がなければ、在留国の人間は一切立ち入ることが許されません。

外国の元首やその家族

外国から来日する元首やその家族、および大使館・総領事館に在留する外交官やその家族にも治外法権が及びます。

これら外国からの使節団や外交官が仮に日本で犯罪や事故を起こしても、逮捕したり裁判にかけたりすることはできません。在留国が訴追や処罰することができるのは、本国が明示的に特権を放棄したときに限られます。

在日米軍の基地は?

日本には在日米軍の基地が各所にあります。アメリカの施設であることから治外法権が適用されると思ってしまいがちですが、在日米軍に治外法権は及びません。米軍基地は日本の領域であり、日本政府がアメリカ使用を許諾している施設だからです。

アメリカの領域ではないため治外法権は及ばず、日本の法律が適用されます。犯罪や事故が起きた場合にも、一定の制約はありますが官憲の立ち入りは可能です。

また、施設内で日本の業者が工事などを行う場合、届出や許可は国内法に基づく必要があります。

「治外法権」の例文や類義語

「治外法権」という言葉を会話や文章で使う場合、そのままの意味で使うほか「法が機能していない場所」という意味で比喩的に使うケースもあります。

また、治外法権には、似たような意味を表す類義語もいくつかあるため、一緒に覚えておくとよいでしょう。ここでは、「治外法権」を使った例文や類義語についてご紹介します。

治外法権

「治外法権」はこう使う

「治外法権」を使った例文を見ていきましょう。以下は通常の意味で使用した例です。

・あの外交官には治外法権が適用されるため、我が国で裁判にかけることができない
・条約の治外法権が撤廃されるまでに長い年月を費やした
・治外法権が外交特権の一部なので、来日した大統領の家族にも及ぶ
・総領事館には治外法権が及ぶため、自国の警察は立ち入ることができない
・治外法権に対して不満を持つ人も多く、今回の問題には政府も苦慮している

「治外法権」を比喩的に使った例文は以下の通りです。

あの人はまるで治外法権にいるような振る舞いをしている
・問題が起きたときの対応は社長にすべて委ねられており、一種の治外法権となっている
・あの会社は労働環境が悪く、まるで治外法権だ

治外法権ではあくまで本国の法は適用されるため、無法地帯という意味はありません。しかし、比喩的に使われる場合は「本来のルールが及ばない領域」というニュアンスで使われることが多いでしょう。

「治外法権」の類義語

治外法権の類義語として、次のような言葉があげられます。

・聖域(せいいき)
・タブー

「聖域」とは触れてはならない問題や領域のことで、神社や寺院の境内など、具体的な場所を表すこともあります。

「タブー」は触れたり口に出してはいけない事柄という意味で、法律などで制限はされていないものの、習慣的に避けられ禁止されていることです。

どちらも具体的な権利を表す治外法権とは異なり、比喩的に使われる「治外法権」と似たニュアンスがあります。

治外法権について正しく理解しておこう

治外法権とは、特定の人や場所に対し在留国の管轄権が及ばない権利のことです。外国の元首や外交官、大使館などが対象となり、犯罪や事故が起きた場合にも在留国で裁くことはできません。

治外法権

会話などでは比喩的に「ルールが及ばない場所」というニュアンスでも使われますが、本来の治外法権では、あくまでも本国の法律が適用されるということは覚えておきましょう。

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