在日米軍の基地は?
日本には在日米軍の基地が各所にあります。アメリカの施設であることから治外法権が適用されると思ってしまいがちですが、在日米軍に治外法権は及びません。米軍基地は日本の領域であり、日本政府がアメリカ使用を許諾している施設だからです。
アメリカの領域ではないため治外法権は及ばず、日本の法律が適用されます。犯罪や事故が起きた場合にも、一定の制約はありますが官憲の立ち入りは可能です。
また、施設内で日本の業者が工事などを行う場合、届出や許可は国内法に基づく必要があります。
「治外法権」の例文や類義語
「治外法権」という言葉を会話や文章で使う場合、そのままの意味で使うほか「法が機能していない場所」という意味で比喩的に使うケースもあります。
また、治外法権には、似たような意味を表す類義語もいくつかあるため、一緒に覚えておくとよいでしょう。ここでは、「治外法権」を使った例文や類義語についてご紹介します。
「治外法権」はこう使う
「治外法権」を使った例文を見ていきましょう。以下は通常の意味で使用した例です。
・あの外交官には治外法権が適用されるため、我が国で裁判にかけることができない
・条約の治外法権が撤廃されるまでに長い年月を費やした
・治外法権が外交特権の一部なので、来日した大統領の家族にも及ぶ
・総領事館には治外法権が及ぶため、自国の警察は立ち入ることができない
・治外法権に対して不満を持つ人も多く、今回の問題には政府も苦慮している
「治外法権」を比喩的に使った例文は以下の通りです。
・あの人はまるで治外法権にいるような振る舞いをしている
・問題が起きたときの対応は社長にすべて委ねられており、一種の治外法権となっている
・あの会社は労働環境が悪く、まるで治外法権だ
治外法権ではあくまで本国の法は適用されるため、無法地帯という意味はありません。しかし、比喩的に使われる場合は「本来のルールが及ばない領域」というニュアンスで使われることが多いでしょう。
「治外法権」の類義語
治外法権の類義語として、次のような言葉があげられます。
・聖域(せいいき)
・タブー
「聖域」とは触れてはならない問題や領域のことで、神社や寺院の境内など、具体的な場所を表すこともあります。
「タブー」は触れたり口に出してはいけない事柄という意味で、法律などで制限はされていないものの、習慣的に避けられ禁止されていることです。
どちらも具体的な権利を表す治外法権とは異なり、比喩的に使われる「治外法権」と似たニュアンスがあります。
治外法権について正しく理解しておこう
治外法権とは、特定の人や場所に対し在留国の管轄権が及ばない権利のことです。外国の元首や外交官、大使館などが対象となり、犯罪や事故が起きた場合にも在留国で裁くことはできません。
会話などでは比喩的に「ルールが及ばない場所」というニュアンスでも使われますが、本来の治外法権では、あくまでも本国の法律が適用されるということは覚えておきましょう。
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