相撲や舞台公演などで耳にすることがある、「千秋楽」という言葉。なんとなく意味はわかるものの、どうしてそのように呼ばれるのか由来を知らないという人がほとんどではないでしょうか? そこで本記事では、「千秋楽」の意味や語源、類語・対義語などを解説します。観劇が趣味の方は、豆知識として覚えてみてはいかがでしょうか?
「千秋楽」の意味と「千穐楽」との違い
「千秋楽」とは、相撲や歌舞伎などの日本の伝統、ミュージカルや演劇に触れていると出会う言葉のひとつです。読み方は「せんしゅうらく」です。
「千秋楽」の言葉の意味は下記のとおりです。
【千秋楽】せんしゅうらく
1.(「千穐楽」「千穐樂」「千龝樂」とも書く)芝居・相撲などの興行の最後の日。千歳楽。楽日。らく。
2. 物事の最後。終わり。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
また千秋楽は、「千穐楽」「千穐樂」「千龝樂」と表記されることもあります。それぞれに違いがあるかについても解説します。
「千秋楽」は、芝居や相撲の興行最終日
「千秋楽」には、大きく分けて2つの意味があります。1つ目の意味は、芝居や相撲が執り行われる最終日を指して使われます。実際に劇場や競技場を訪れた際、またはニュースなどで耳にして馴染み深い人も多いでしょう。
2つ目の用法として、「千秋楽」はものごとの終わりや最後を表す言葉として使われます。
千秋楽と千穐楽の意味は同じ
「千秋楽」の意味の部分でも触れましたが、千秋楽には「千穐楽」「千穐樂」「千龝樂」といった4通りの表記が可能です。読み方はすべて同じ「せんしゅうらく」です。「千秋楽」の書き換えとして、歌舞伎や相撲の最終日を指して利用できる言葉です。
「千秋楽」の語源は複数の説がある
言葉の成り立ちには由来があるものですが、千秋楽には複数の語源があるといわれています。なかでも、有力だとされている説を2つ紹介します。
雅楽曲『千秋楽』
唐楽、盤渉(ばんしき)調の小曲に、『千秋楽』という雅楽曲があります。雅楽の演奏の最後の一曲として演奏されることが多かったのが『千秋楽』だったことから、ものごとの終わりや興行最終日を指して使われるようになった、というわけです。
あくまでも最後に演奏されることが多かったことに由来しており、必ず最後に『千秋楽』が演奏されていたわけではないようです。
謡曲『高砂』
『高砂』は、お祝いなどめでたい席で披露される能曲です。千秋楽の由来とされている理由は、高砂の一節に千秋楽を使った詩が登場するからです。
該当部分の句は「千秋楽は民を撫(な)で、万歳楽には命を延ぶ。相生(あいおい)の松風、颯々(さつさつ)の声ぞ楽しむ、颯々の声ぞ楽しむ」で、ここから現在の千秋楽の用法が定着したのではないかといわれています。
参考:『世界大百科事典』(平凡社)、『日本国語大辞典』(小学館)
「千秋楽」の類義語・対義語
類義語と対義語をそれぞれ紹介します。
類義語は「楽日」「楽」
「千秋楽」を省略した表現としては「楽日(らくび)」と「楽(らく)」があります。「落日」のように「らくじつ」と読むと別の意味になるため、注意しましょうね。
「楽日」も「楽」も、「千秋楽」と同じ使い方をすれば問題ありません。