「知己を得る」と「知遇を得る」の違い
「知己を得る」とは、自分のことをよく理解してくれる親友を得るといった意味で使う言葉です。一方、「知遇を得る」とは、人格や能力を評価され手厚い待遇を受けるという意味です。「このような知遇を得られたことを、光栄に思います」といった使い方をします。
似ている言葉であるため、2つを混同して使用してしまうケースが散見されます。ですが、まったく別の意味をあらわす言葉なので、誤用すると伝えたい意味が通じなくなってしまいます。間違えないように注意しましょう。
【例文付き】「知己」の正しい使い方
「知己」は自分を理解してくれている友人や知人を意味する言葉です。自分の気持ちや考え方を理解してくれているというニュアンスも含みます。知人に対して使う場合も、付き合いが浅くお互いによく知らない間柄にではなく、それなりに自分の人となりなどを理解してくれている相手に使う方が適切です。
ここからは、実際に「知己」を使った例文をご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
【例文】
・彼は私の20年来の【知己】です
・彼女とは出会ってすぐに意気投合し、まるで10年来の【知己】のような間柄になった
・充実した学生生活を経て、かけがえない【知己】を数多く得ることができた
・【知己】を得たいのであれば、まずは自分から相手に心を開いてみよう
「知己」の類語
自分をよく理解してくれている友人などに使う「知己」という言葉には、「相識」「お近づき」「知人」など、いくつかの類語があります。
「知己」はややかしこまった表現であり、会話に用いるとやや固い印象を与えてしまうため、くだけた言い換え表現を覚えておくと便利ですよ。
ここからは、知己の類語3つをそれぞれ解説していきます。
相識(そうしき)
「相識」はお互いに相手を知っていること、またその相手を指す言葉で、「知己」の類語の1つにあたる言葉です。お互いに相手を知っていることが重要であり、それなりに面識がある相手との関係性、またその人に使いましょう。「彼とは相識の間柄だ」というように使います。
「知己」と同様にややかしこまった表現であるため、日常会話ではなくある程度あらたまった場や、文章で使用すると良いかもしれません。
【相識】互いに相手を知っていること。また、その人。知り合い。「相識の間柄」
お近づき
「お近づき」という言葉も、「知己」の類語です。「近付き」と同じ意味で、知り合うこと、親しくなること、またその人を意味します。「知己」の代わりに話し言葉などで使うことができます。
「お近づき」に「になる」をつけて「著名人である彼とお近づきになることができた」というように使います。また、「お近づきになれて光栄です」や「お近づきのしるし」といった言葉もよく使われているため、馴染みがある人も多いはずです。
【御近付き:おちかづき】 「近付き」に同じ。「お近付きになれて光栄です」
知人
「知人」は互いに知っている人、知り合いという意味です。知らない人はいないといえるほど、頻繁に使われる言葉です。「知己」と共通していえるのは、顔や名前、人柄などお互いのことを知っていて、ある程度のつきあいがある点です。
「知己」の言い換え表現として使うことができますが、「知己」には自分の気持ちや考え方まで理解してくれている相手というニュアンスがある一方で、「知人」にはそこまでの関係性の深さはないことを念頭において使用しましょう。
【知人】互いに知っている人。知り合い。
〔類語〕面識、顔馴染み、顔見知り、馴染み、幼馴染み、昔馴染み、知り合い、知己、知音、存じ寄り、隣人、旧友、旧知、旧識、故人、故旧、古馴染み、幼友達、竹馬の友、知る辺、近付き
「知己」の意味を理解し正しく使おう
「知己」とは、自分のことをよく理解してくれる友人や知人を指す言葉です。ややかしこまった表現であるため話し言葉としてはあまり使われませんが、スピーチなどでよく使われるため、覚えておくと便利です。
使う際には、相手に対して「自分のことをよく知ってくれている」という敬意を込めるとよいでしょう。「知己」の意味を理解して、正しく使えるようにしましょう。
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(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
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