【類義語】須臾(しゅゆ)
「須臾」とは、しばらくの間や少しの時間を指す言葉です。1日の30分の1を指す言葉とされているため、一瞬ほどの短い時間ではなく、ある程度の長さはあるけれども長くはないときに用いることができるでしょう。例えば次のように使います。
・彼女から【須臾】、離れていただけで寂しさに耐えられない気持ちになった。やっぱり僕は彼女のことが本当に好きなんだと思う。
・出会いは【須臾】であったが、一生の友人になった。気の合う人間だったということだろう。
【類義語】泡沫(うたかた)
「泡沫」も、少しの時間を指す言葉です。「泡沫」は「ほうまつ」とも読み、水面に浮かぶ泡を指します。泡はすぐに消えることから、「泡沫」といえば、泡のように儚く短い時間を指すようになりました。例えば次のように使います。
・イタリアに一人旅に出かけた。ミラノで出会った彼に運命を感じたけれど、旅行が終わったら彼も消えていた。本当に【泡沫】の恋だったのだと思う。
・何度も培養を続けているが、思うように増えない。一度増えたように思ったけれど、【泡沫】のように消えてしまった。
【類義語】有為転変(ういてんぺん)
「有為転変」とは、物事が変わりやすく、少しの間もじっとしていない様子を示す言葉です。世の中にあるものはすべて儚いものだという意味でも使うことがあります。仏教の言葉ですが、現在では宗教的な意味合いが薄れ、単に変わりやすい、儚いの意味で用いることが可能です。例えば次のように使います。
・昨日はあんなに人で賑わっていたのに、今日はまるで廃墟のように人気がなく、寂しい。【有為転変】とはいうけれど、世の中のものはすべて移り変わりが激しく、空しいものだ。
・いつまでも元気だと思っていた親の老いを見ると、【有為転変】を思い知るな。
漢字をそのまま読むときは「ういてんぺん」ですが、長く使われる間に音が転じ、「ういてんでん」と発音することもあります。
【対義語】ひねもす
「仮初め」も「須臾」や「泡沫」、「有為転変」も、いずれもわずかな時間を指す言葉です。対義語として、長時間を意味する「ひねもす」を挙げることができるでしょう。
「ひねもす」とは、一日中、朝から晩までを意味する言葉で、ずっと同じことをしているときに用いられます。例えば次のように使えるでしょう。
・今日は【ひねもす】横になっていた。疲れているのか、どんなに寝ても寝足りない。
・【ひねもす】彼女は彼氏の話をしていた。今は彼に夢中なのだろう。
【目次】
「仮初め」を正しい意味で使おう
「仮初め」とは、ほんの短い時間という意味の言葉です。また、一時的に、あるいは些細なこと、いい加減などの意味でも用いられます。
「仮初め」を否定語の前に用いると、強く否定する気持ちを表現することが可能です。例えば「仮初めにも知らない」といえば、絶対に知らないという意味を指します。
「仮初め」という言葉は「須臾」や「泡沫」、「有為転変」などと似たような意味で用いることが可能です。しかし、これらの言葉はいずれも少し難しい印象があるので、口語では「仮初め」が使いやすいかもしれません。正しい意味を理解し、普段の会話に使っていきましょう。
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