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「懐に入る」とは相手に気に入られること
「懐に入る」とは「ふところにはいる」と読みます。相手に気に入られ、つながりを持つという意味です。懐とは服を着たときに胸の内側にあたる部分で、着物を着ていた時代は懐に財布を入れていたことから、「金銭を自分のものとする」という意味もあります。
気に入られるなどの意味で使う場合、「懐に入るのがうまい」という使い方をすることが多く、人に気に入られるのが上手というニュアンスで使われる言葉です。
皮肉の意味に使われることも
「懐に入る」は、相手に取り入るという意味もあります。気に入られるのが上手というのは褒め言葉のニュアンスがある使い方ですが、取り入るという意味で使う場合、「力のある人の機嫌をとって利益を得ようとしている」といった皮肉が込められていることが多いでしょう。
「懐に入る」の語源は中国の故事で、「窮鳥懐に入る(きゅうちょうふところにいる)」という言葉から来ています。「追い詰められた者がどうしようもなくなり、救いを求めにくる」ことを例えた言葉です。
この言葉には、「救いを求めてきた者には力を貸すべき」という意味が込められています。「力を貸す」という意味合いから、現在の「気に入られる」「取り入る」といった意味につながっているといえるでしょう。
「懐に入る」の類語と例文
「懐に入る」の類語には、「心を開かせる」「関係を深める」などが挙げられます。「心を開かせる」は人の好意を得ることを表し、「関係を深める」は相手との距離を縮めるという意味です。どちらも「懐に入る」の内容をよく表している言葉といえるでしょう。
ここでは、「懐に入る」の類語について取り上げ、「懐に入る」を使った例文もいくつかご紹介します。
「懐に入る」の類語
「懐に入る」の類語になる言葉は、主に次の3つです。
心を開かせる
「心を開かせる」は警戒心を持たれず、素直な気持ちで接してもらうという意味です。人の好意を得て関係を持つという意味合いで、「懐に入る」と似たニュアンスがあります。
・例文:ようやく彼女の【心を開かせる】ことができた
関係を深める
「関係を深める」は、人との距離を縮めて親密になるという意味です。親密になることは、相手に気に入られるという点で「懐に入る」と共通しています。
・例文:これまで彼とは疎遠な間柄だったが、最近になって急に【関係を深める】ようになった
取り入る
「取り入る」は、「懐に入る」の皮肉なニュアンスの意味にあたる類語です。自分の利益のため、相手に好かれるよう働きかけるという意味になります。
・例文:彼は取引先の社長に【取り入って】、仕事を多く回してもらうことに成功した
「懐に入る」の例文
「懐に入る」の例文をご紹介します。例文を通し、「懐に入る」のニュアンスをつかんでみてください。
・あの新入社員は人の【懐に入る】のがうまく、上司のお気に入りになっている
・いつもは厳しい社長も、【懐に入る】のがうまい部長の前では笑顔になる
・彼は【懐に入る】のがうまく、広い人脈を持っている
・相手の【懐に入る】のも、取引を成功させるために大切な要素だ
・【懐に入る】のがうまくないのも、彼の昇進が遅れている理由といえるだろう
・私はプライドが高く、人の【懐に入る】のが苦手だ
「懐に入る」のがうまい人の特徴5つ
世間には「懐に入る」のがうまいと言われる人がいます。まず愛想が良くて親しみやすい人は、多くの人から好かれ、「懐に入る」のがうまいといえるでしょう。空気が読める人も気に入られて懐に入りやすいタイプです。
また、人を褒めるのがうまい、フォローが上手といった点も「懐に入る」のが上手といえるでしょう。ここでは「懐に入る」のがうまい人の特徴を5つご紹介します。
愛想が良くて親しみやすい
いつも笑顔で愛想が良い人は誰からも好かれ、「懐に入る」のがうまいでしょう。笑顔を絶やさない人は周りの空気も明るくします。愛想が良い人は親しみやすく、周りに自然と人が集まるでしょう。
目上の人や年上の人からも目をかけてもらいやすくなります。困ったときに笑顔で助けを求められれば、快く手を貸してもらえるでしょう。
空気を読んで距離を保てる
「懐に入る」のがうまい人は、距離感を保つのも上手です。空気を読み、ちょうど良い距離を保ちます。これ以上近づかないほうがいいという絶妙な距離感を保つため、相手に嫌な思いをさせません。
距離を保つ配慮の気持ちは相手にも伝わります。その場の空気に合う行動が取れるため信頼されやすく、気に入ってもらえることも多いでしょう。
人を褒めるのが上手
「懐に入る」人は褒め上手でもあります。ただ相手を持ち上げるのではなく、相手の様子をよく観察して長所を見抜き、具体的なポイントを押さえて褒めるのが上手です。
「段取りがうまくて仕事が早い」「いつも服装の配色がセンスあっておしゃれ」など、褒められたら喜ぶことを見極めて褒めます。褒められた相手は嬉しくなるでしょう。
相手をうまくフォローできる
「懐に入る」のがうまい人は、フォローも上手です。何かに悩んでいる人、コンプレックスを持っている人にはポジティブな言葉をかけます。
例えば、消極的なことに悩んでいる人には「いつも慎重だから失敗しないんだね」など、長所に変えてフォローすることが得意です。
相手が自分と違う意見でも、否定することはありません。共感する言葉をかけ、信頼関係を築きます。