「花梨」とはどんな植物?
庭木としても人気の高い植物の「花梨」。その「花梨」とは、そもそもどんな植物なのでしょうか。まずは花や実、木材の特徴、花言葉などをチェックしていきましょう。
「花梨」とは?
花梨:(「榠樝」とも書く)バラ科の落葉高木。高さ約8メートル。樹皮は緑色を帯びた褐色。葉は卵形。春、淡紅色の5弁花が咲く。実は卵円形で黄色に熟し、香りがあり、生食はできないが菓子の材料にし、また、漢方で木瓜(もっか)といい、薬用にする。材は床柱などに使用。中国の原産で、庭木などにする。からなし。かいどうぼけ。《季 花=春 実=秋》「―の実天賦をとめの薫りの実/草田男」
マルメロの別名。
マメ科の高木。唐木の一。ミャンマー・タイ・ベトナムの原産。材は紅色から淡紅褐色で、家具や三味線の胴などに使用。花梨木(かりんぼく)。
出典:小学館 デジタル大辞泉
「花梨(かりん)」は、中国原産のバラ科カリン属の植物。別名は「安蘭樹(あらんじゅ)」。英語で表すと「Chinese quince(中国のマルメロ)」です。「花梨」という名前は、三味線や座卓などに使われるタイ、インドネシアの木「かりん」の木目に似ていることから由来したといわれています。
「花梨」の花の特徴と花言葉
「花梨」の花の特徴
「花梨」の花の開花時期は4月の下旬頃。白や薄いピンク色の可愛いらしい花をつけます。
「花梨」の花言葉は「豊麗」「唯一の恋」
花言葉は、豊かで美しいという意味の「豊麗」。春には豊かな美しい花を咲かせることから由来しています。そして、もう1つ「唯一の恋」という花言葉もあります。この花言葉の由来は、女神アフロディーテの聖花が「花梨」であることからだそう。アフロディーテが、唯一本当の恋をした相手が夫。そのことから「唯一の恋」という花言葉になったとされています。
「花梨」の実の特徴と収穫時期
「花梨」の実は、黄色く楕円形をしていて、芳しい香りが特徴的。10〜11月に実をつけます。「花梨」の実は、非常に硬く渋みがあるため、生で食べるのには適しません。砂糖やアルコールに漬けるなどの加工が必要になります。また、古来より中国では、「花梨」の実は、その芳醇な香りを生かして芳香剤として使われることもあります。
「花梨」と「マルメロ」の違い
「花梨」とよく似て、間違われるのが「マルメロ」という果物。「マルメロ」は上記で述べたように「花梨」の別名であり、西洋カリンのこと。「花梨」と「マルメロ」を見分けるポイントは、2つあります。「花梨」の実は楕円形をしているのに対して「マルメロ」は、洋梨のような形をしていること。もう1つは、「花梨」の実はツルツルしていますが、「マルメロ」にはうぶ毛のようなものが生えているのが特徴です。
マルメロ:バラ科の落葉高木。葉は卵形で、裏面に灰白色の毛が密生。5月ごろ、白か淡紅色の5弁花を開き、洋梨状の黄色い実を結ぶ。実は香気があり甘酸っぱく、生食や砂糖漬けにする。イラン地方の原産で、日本には江戸時代に渡来。西洋カリン。《季 秋 花=春》「―にはや新雪の槍穂高/楸邨」
出典:小学館 デジタル大辞泉
「花梨」の木材の特徴
「花梨」の木材は、非常に重く硬いのが特徴。高級家具や民芸品などに用いられます。しかし、木材として流通している「カリン」の多くは、東南アジアに多く生育するマメ科の「カリン」。バラ科の「カリン」とは別種になりますが、マメ科の花梨木材も高級品。木肌が美しいのに加え、非常に硬く、丈夫であるのが特徴です。
「花梨」の食べ方とレシピ
前述のとおり、「花梨」の実は生では食べられません。アルコールや砂糖に漬けるなどの加工をしてから、食べることができます。また、「花梨」の実は非常に硬いため、実を切る際は怪我をしないように気をつけてください。「花梨」の代表的な食べ方には、「花梨酒」(水割りやソーダ割り、ロックなど様々な楽しみ方ができます)「はちみつ花梨ジュースの素」(水やお湯、紅茶で薄めて美味しくいただけます)などがあります。
「花梨」の栄養や効能
「花梨」に含まれる代表的な栄養価は以下の通りです。
アミグダリン
アミグダリンは加熱や加水することで、ベンズアルデヒドという抗菌作用のあるものに変化します。そのベンズアルデヒドが喉の粘膜を保護し、喉の炎症を抑えるため、咳止めに効果があるといわれています。