「鶏口牛後」のよくある誤用
「鶏頭牛尾」や「鶏頭となるも牛尾となるなかれ」と表記されることがありますが、どちらも「鶏口牛後」のよくある誤用です。
そもそも「鶏口」はくちばしを表す言葉で、小規模の団体のリーダー以外の人には使いません。頭よりもくちばしのほうが面積が小さいことからもわかるように、先頭に立つ人(=鶏口)は一人のみです。日本語では頭や尾のほうが先頭・末端を連想しやすいため、鶏頭牛尾という誤った形で広まったと考えられます。誤用表現があることを理解しておき、誤った使い方をしないように注意しましょう。
「鶏口牛後」の類義語&対義語
「鶏口牛後」には以下のような類義語があります。
・芋頭でも頭は頭
・鯛の尾より鰯(いわし)の頭
また、「鶏口牛後」には反対の意味をもつ対義語もあります。
・寄らば大樹の陰
・箸と主とは太いがよい
「鶏口牛後」を別の言葉で言い換えられるように、あるいは「鶏口牛後」の意味の理解を深めるために、類義語と対義語をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
類義語は「芋頭でも頭は頭」など
「鶏口牛後」の類義語について紹介します。
「芋頭でも頭は頭」
「芋頭でも頭は頭」は、どんなにつまらないもの・くだらないものでも、その集団のトップであることに変わりはないという意味です。地位を確立しているため、たとえ集団の規模が小さくても責任や権力を伴うことを表します。
「鯛の尾より鰯(いわし)の頭」
「鯛の尾より鰯(いわし)の頭」は、大衆魚の鰯の頭になるほうが大きな鯛の尾になるよりもいいということを意味します。鰯の頭は進むべき道を自分で決められますが、鯛の尾には決定権がありません。つまり、主体的に行動したいのであれば、小さな団体に所属すべきという考え方を表します。
対義語は「寄らば大樹の陰」など
次に「鶏口牛後」の対義語について紹介します。
「寄らば大樹の陰」
「寄らば大樹の陰」は、何かを頼る際は勢力が大きいものを選ぶべきという意味です。大きな樹木の陰なら、雨や日差しを避けられて安全に過ごせるでしょう。このことから、たとえ活躍のチャンスがなくとも、規模の大きい組織にいれば低リスクで恩恵が受けられることを表します。
「箸と主とは太いがよい」
「箸と主とは太いがよい」は、仕える相手は頼りがいがある人を選んだほうがいいという意味です。食事の際に使う箸は、太いほうが折れずに長く使えるでしょう。仕える主(あるじ)も箸と同じように、太っ腹で度量が大きい人のほうが好ましいという考え方です。
「鶏口牛後」の意味や使い方を理解しておこう
「鶏口牛後」はビジネスシーンで使われることが多い四字熟語で、読み方は「けいこうぎゅうご」です。大規模な団体に属して末端にいるよりも、小規模な団体でリーダーとして活躍するほうがいいという考え方を表します。
座右の銘として掲げる人も多いほか、就職や転職時のアドバイスにも適した言葉です。「鶏口牛後」の意味や使い方を理解し、仕事に関連する話題の中で使ってみてください。
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