牽強付会(けんきょうふかい)
「牽強付会」には道理にあわないことを、自分の都合のいいようにこじつけるという意味があります。読み方は「けんきょうふかい」です。「牽強」も「付会」も同じように自分の都合のいいようにこじつけるという意味があるので、同じ意味を重ねて作っていることになります。
【例文】
・あの人はいつも【牽強付会】の主張をして、周囲を困らせている。
得手勝手(えてかって)
「得手勝手」には他人の都合を考えずに、自分の都合のいいように勝手に行動するという意味があります。読み方は「えてかって」です。得手にはもともと得意なものという意味があります。
【例文】
・うちの父親は【得手勝手】な人生を送って、死ぬまで母に迷惑をかけっぱなしでした。
・【得手勝手】な人とチームを組んで仕事をする場合には、忍耐強さが求められます。
唯我独尊(ゆいがどくそん)
「唯我独尊」には自分ひとりだけが優れていると思っているという意味があります。読み方は「ゆいがどくそん」です。釈迦が生まれたときに七歩歩き、一方の手で天を指し、他方の手で地を指して唱えたとされる逸話が語源とされています。
【例文】
・私の会社の社長は部下のいうことを一切聞かないワンマン経営者で、【唯我独尊】を地で行くようなタイプです。
・彼は子どもの頃から頭も良くスポーツも万能で、かなりの自信家で【唯我独尊】というタイプだったのですが、支社に配属されて苦労したことで、謙虚さを身に付けました。
水という字を使った四字熟語
「我田引水」以外にも水という漢字が入った四字熟語はたくさんあります。水は人の暮らしに欠かせない身近なものだからでしょう。ここでは「山紫水明」「明鏡止水」「行雲流水」という三つの四字熟語について解説します。
いずれも日常的にそんなによく使われる言葉ではありませんが、覚えておいて適切な場面で使うことで、語彙力が豊かになるでしょう。
山紫水明(さんしすいめい)
「山紫水明」は山が太陽の光で紫色に輝き、川の水は澄んでいるという意味の言葉で、山や川の景色が美しいことを表しています。読み方は「さんしすいめい」です。
【例文】
・友人の別荘のベランダからの景色は【山紫水明】で、一日中眺めていても、見飽きることがない。
・自然の中で育ったので【山紫水明】な風景は当たり前のものだと思っていましたが、都会で暮らすようになって、かけがえのないものだったと気づきました。
明鏡止水(めいきょうしすい)
「明鏡止水」とは心の中に邪念がなくて、澄んでいるというたとえを表す言葉です。「明鏡」とはまったく曇っているところのない鏡を表して、「止水」は水面が揺れることなく穏やかなさまを表します。読み方は「めいきょうしすい」です。
【例文】
・明日は社運をかけたプレゼンテーションにのぞみますが、万全の準備をしたので、今は【明鏡止水】の心境です。
・「演奏前には穏やかな心持ちになりなさい」とピアノの教師から言われたのだが、うまく弾きたいという欲が出てしまって【明鏡止水】の境地に達することができない。
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行雲流水(こううんりゅうすい)
「行雲流水」にはただよう雲や流れる川の流れのように自然にまかせて淡々と生きるという意味があります。読み方は「こううんりゅうすい」です。
【例文】
・若い頃に会社を設立してから、ひたすら仕事ばかりしていたので、後継者である息子に引き継いだあとは、【行雲流水】の暮らしをしたいものだ。
・【行雲流水】のごとく生きたいとずっと願っていたのですが、この調子ではいつ叶うのかわかりません。
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「我田引水」の意味を知って正しく使おう
「我田引水」は人の都合を考えずに、自己中心的に行動するという意味の言葉です。日本人の暮らしの中で田んぼが重要な位置を占めていたこともあり、自分の田んぼにばかり水を引いて、他人の田んぼのことを考えない自分勝手な行動が語源になっています。
批判的なニュアンスのある言葉なので、ビジネスシーンで使う場合には注意が必要でしょう。自戒の念を込める場合や反省の言葉を口にする場合にも使われます。「我田引水」の意味を知って、適切な場面で使いましょう。
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