――そうですか……。でも忙しく働いて家に帰ってきたので、正直なところ、ダラダラ過ごす時間もほしいのですが……。
小林:ダラダラ過ごすことも、ときにはあってもいいのですが、翌朝もスッキリした頭で働くためには避けたほうがいい習慣です。体のコンディションを整えるためには、夜の時間は副交感神経を高める生活習慣を身につけることが大切。
家計簿をつけるのは、自分をみつめ直す時間にもなるから、とてもいい習慣だと思いますよ。その日を振り返ることは、自律神経の安定につながります。
――習慣を決めて、毎日やらないと! と考えると、ちょっとハードルが高いんですが……。例えば、家計簿をつけるとき「疲れている日はレシートの整理だけ、家計簿に転記するのは後日に回す」みたいに、疲れている程度によってやることが変わってもいいんでしょうか?
小林:疲れているかどうか、というよりも時間を決めて、その時間内に「やれることだけをやればいいや」という発想のほうがいいと思いますよ。家計簿の作業が苦痛だと感じたときは、後日、気分が落ち着いたときにやりましょう。
――時間を決めたほうがいいんですか?
小林:自律神経を整えるために、時間を区切ってリズムある生活を過ごすことは大切です。私も以前は、家に帰ってすぐテレビをつけて、時間を決めずにダラダラと観ていました。でも、自律神経を乱すと気づいてからは、テレビの前にいる時間をあらかじめ決めてから観るようにしています。
「自分の時間モード」を有意義に過ごすために、自分の趣味なども、時間を決めて楽しむようにしましょう。終わりの時間がはっきりすると、その分、集中できて、より充実した時間が過ごせます。
この際、綿密に時間を決めたり、ましてストップウォッチで測ったりする必要はありません。よけい、心が乱れてしまいます。だいたいでいいのです。余裕があるときは本やテレビを2~3時間、楽しんでもいいのです。ただし、だいたいの終わりの時間を決めておくことが重要です。
勤務後に上司からメール、返すべきか?
――家事が一段落して、お風呂にでも入ろうと思ったときに、上司から「明日のプレゼン、よろしくね」といった連絡がくることがよくあります。とくに急ぎの用事でもないんですけど、お世話になっている上司だし、すぐに返信したほうがいいかな? と迷うことがよくあります。
小林:私だったら申し訳ないけど、そのメールは「ブラック刺激」と判断して返信はしません。働いていれば、どんな連絡が緊急かどうかはすぐに判断できますよね。そのメールは緊急性の高いものではないうえに、家でくつろいでいる時間に届いています。「ブラック刺激」と認定してもいいでしょう。
――なんですか、その「ブラック刺激」って?
小林:私が名づけたのですが、交感神経の働きを高めてしまうような不快な刺激を「ブラック刺激」。副交感神経の働きをより優位にしてくれる刺激を「ホワイト刺激」として、自分にとって有意義な刺激かどうかを見極めるようにしています。仕事モードから、自分の時間モードに切り替えた後は「自分のために」を最優先することをおすすめします。
――なるほど。白黒をハッキリつける、ということですね。「ブラック刺激」と「ホワイト刺激」。わかりやすい名前です。
小林:とくに副交感神経の働きが高まりつつある夜は、なるべく「ブラック刺激」は避けたいものです。差し迫った連絡や至急で何か対処するようなメールでなかったら、チラリとみて終わりでいいと思いますよ。