「慇懃無礼」の意味や読み方とは?
「慇懃無礼」の読み方は「いんぎんぶれい」。意味を辞書で調べてみると、以下の通り掲載されています。
表面は丁寧で礼儀正しいように見えるが、実は尊大で無礼なこと。また、そのさま。(小学館『デジタル大辞泉』より)
「慇懃無礼」は、人の性格や態度を表す言葉です。「慇懃」という言葉そのものは、「真心がこもっていて、礼儀正しい」という意味。しかし、それに「失礼であるさま」を表す「無礼」がつくことで、ネガティブな意味を持つ熟語になります。「慇懃無礼」は、真逆の意味を持つ2つの言葉を組み合わせた四字熟語なのです。
また「慇懃無礼」には、「表面上礼儀正しいが、内心相手を見下していること」と、「本人に全く悪意はないけれども、丁寧すぎる態度が失礼にあたること」、大きく分けて2つの意味合いがあります。
使い方を例文でチェック
「慇懃無礼」は、日常の中では主にビジネスシーンで使われることが多い表現です。具体的な使い方を例文でみていきましょう。
彼女の丁寧すぎる対応は、人によっては慇懃無礼な態度に映るだろう
「慇懃無礼」は、主に相手の態度や言動に対して使われます。「慇懃無礼な態度」ということで「特に態度が大げさだ」ということが伝わるでしょう。
また例文のように、本人に悪意がなく丁寧な接し方をしているだけでも「慇懃無礼」は使われます。あくまで「慇懃無礼」と感じた側が使う言葉なのです。
彼は誰にでも丁寧すぎる言葉使いで話す慇懃無礼な人だ
「慇懃無礼」は、「慇懃無礼な人」という言い方もあります。過剰に丁寧で礼儀正しい接し方をする人に当てはまる表現です。
「慇懃無礼な態度」と言えば、その場だけの失礼な態度と捉えることもできますが、「慇懃無礼な人」と言う場合は、失礼な態度をとるのが日常茶飯事というようなニュアンスが感じられます。
敬語の使い方がわからず、慇懃無礼なメールになってしまった
ビジネスシーンでは、取引先やお客さんに宛てたメールを送る機会が多いものです。しかし、何度もやりとりを行っている相手に対して、まるで初対面のような丁寧な言葉を定型文で送っていると、「なんだかいつまでも他人行儀だな」と気を悪くされてしまうことも。メールの場合でも、相手との距離感への配慮は欠かせないのです。
類語や言い換え表現とは?
「慇懃無礼」の類語や言い換え表現を紹介します。いずれも褒め言葉ではないので、使う相手やシチュエーションには注意しましょう。
慇懃尾籠
「慇懃無礼」とよく似た言葉に、「慇懃尾籠(いんぎんびろう)」があります。「慇懃尾籠」も「丁寧すぎる態度が相手に不快感を与える」という意味です。「慇懃」は前述の通り「真心がこもっていて礼儀正しい」こと、「尾籠」は「礼儀をわきまえないこと。無礼」なことを表します。「慇懃尾籠」もまた、真逆の意味を持つ言葉を組み合わせた四字熟語です。
お為ごかし
「お為ごかし(おためごかし)」は、現代ではあまり耳馴染みのない言葉かもしれません。漢字で「御為ごかし」と書くこともあります。意味は以下のとおりです。
表面は人のためにするように見せかけて、実は自分の利益を図ること。じょうずごかし。(小学館『デジタル大辞泉』より)
「慇懃無礼」には、本人はその気がないのに相手の失礼になってしまうという意味が含まれますが、こちらの言葉には明らかに悪意がみられます。自分が得をしたいから、わざと人に親切にするといったところでしょうか。「お為ごかしの親切」「お為ごかしを言う」などの使い方をします。