「守銭奴」の意味や読み方
日常の中でしばしば見聞きする「守銭奴」ですが、そもそもこれはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。まずは、守銭奴の意味や読み方・語源など、基本的な情報から確認していきましょう。
金銭に執着を持つ人のこと
「守銭奴」は、文字通り「銭(=お金)を守ろうとする人」のことで、人一倍お金に対する執着が強く、貯め込もうとする人を指す言葉です。特別な目的のためにお金を貯めるのではなく、お金を貯めることそのものを目的として倹約に努める人=守銭奴といえるでしょう。
なお、無駄な出費をせずお金の管理をしっかりしている人を一般的に「倹約家」といいますが、倹約家の場合、普段は節約に努めるものの必要な場面ではお金を出し惜しみません。
どんな場面だとしても出費を渋り、ひたすら貯めることを喜びとするのが守銭奴なのです。
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守銭奴の気になる語源
「守銭奴」の語源は、フランスの劇作家:モリエールによって書かれた戯曲「守銭奴」とされています。この「守銭奴」は、何よりもお金に執着し、一財産を築いた老年の主人公と、そんな主人公に翻弄される子どもたちとを中心に繰り広げられるドタバタ騒ぎを描いた喜劇作品です。
物語の主人公アルパゴンは、金銭欲に取り憑かれた結果、本人たちの意思に背いて息子・娘にお金持ちとの縁談話を持ち込み、強引に進めようとします。肉親の情よりもお金を重視するという点で、まさに現代日本で使われる「守銭奴」を体現した人物といえそうです。
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言い換えできる守銭奴の類語
中には「守銭奴の意味は分かったけれど、日常的に使うのは抵抗がある」という人もいるのではないでしょうか。「守銭奴」と言い換えができる主な類語をチェックしていきましょう。
「ケチ」
「守銭奴」を言い換える際、まず候補に挙がるのが「ケチ」です。お金への執着が強い・お金を出し惜しむといった意味合いを持つ「ケチ」は、そのフランクなニュアンスも相まって比較的使いやすい守銭奴の類語といえるでしょう。
ただし、一般的に「ケチ」は、支出を惜しむ人に使われる言葉であり、お金を貯め込むという意味合いを持つ言葉ではありません。また、お金に限定せず、心が狭い人に対して使われるという点も「守銭奴」とは異なっています。
「ケチ」は、「守銭奴」と全く同じ使い方こそできないものの、お金にがめつい人を否定的なニュアンスを強調せずに表現するのに適した言葉といえそうです。
「金の亡者」
「守銭奴」を言い換える言葉として、「金の亡者」もその一つです。金の亡者の「亡者」は、金銭欲・色欲・権力欲などの欲求に取り憑かれた人を指す言葉です。このことから、「金の亡者」とはすなわち「金銭欲に取り憑かれた人」「お金への執着が度を越している人」を意味します。
「何よりもお金が大切」「お金があればそれでいい」そんな価値観を持つのが「金の亡者」です。お金への執着・執念に支配されている人という点において、「守銭奴」の言い換えとしてぴったりな言葉といえるでしょう。
「銭ゲバ」
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「銭ゲバ」も「守銭奴」の言い換えとして活用できる言葉の一つです。
「銭ゲバ」の「ゲバ」は、「暴力」を意味するドイツ語「ゲバルト」の略語です。「銭(=お金)」と「暴力」の組み合わせによって、「お金のためならば手段を選ばず何でもする人」を意味するのが「銭ゲバ」なのです。
聞き手の価値観にもよりますが、「守銭奴」に暴力的な意味合いはないことから、「守銭奴よりも銭ゲバの方が印象がキツい」と感じる人もいます。「守銭奴」「ケチ」「金の亡者」と比較しても、使用する相手やシチュエーションに対しより一層の注意が必要な言葉といえそうです。
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守銭奴の使い方と例文
言葉についての理解を深めるには、実際の使い方や例文を知るのが近道です。「守銭奴」の主な使い方や例文を確認していきましょう。
悪い意味で使われることが多い
「お金に対する執着が強い人」「お金を貯め込もうとする人」といった言葉の意味からも分かるように、「守銭奴」は一般的に悪い意味で使われることが多い言葉です。
生き方の多様化に伴い、お金に対する姿勢や価値観も多様化しつつある現代社会ですが、「お金に執着するのははしたないこと」という考え方が残っていることも実情といえます。そんな中にあって「守銭奴」とは、やはり肯定的なニュアンスよりも否定的なニュアンスで使われることが圧倒的に多い言葉といえるでしょう。
相手との関係性にもよりますが、基本的には悪口として受け取られてしまう言葉だということを、心に留めておく必要がありそうです。