【目次】
・倹約できない心理とは
・節約と倹約の意味
・お金持ちの倹約思考に学ぼう
・お金持ち思考のポイント
倹約できない心理とは
金利は低く、景気も低迷、先の見えにくい今の世の中…。「これ以上、何を節約すればいいの!」という悲鳴にも似た声がちらほら。これからお金を貯めるためには、何をするべきか。何をしてはいけないのか。ファイナンシャルプランナーのアドバイスを交えつつ、考えてみましょう。なぜお金が手元に残らないのか。その点をたどっていくと、倹約や節約ができない人には共通する心理が見えてきます。
たいした額にならないと思っている!?
少しでも安いものを探して、工夫して倹約をしたものの、その労力に対して「削減できるの、これだけ?」ということ、ありませんか? また、キャッシュバックやポイント還元で得するつもりが、買い物した金額と相殺してみれば、「ほんとにお得だったの?」ということも。
面倒くさいと思っている
また、出費を抑えようと、日用品や子どもの持ち物など手作りしてみても、「この労力、いったいいくら?」と切ない気持ちになってしまうこと、ありますよね。安い素材を探して買って料理を作っても、それが続くとぐったり…なんていうことも。
「そもそも仕事、家事、育児と忙しい生活の中で、さらに節約をプラスするは、ワーキングマザーたちを追い詰める結果となり、あまりおすすめできません」
と丸山晴美さん(消費生活アドバイザー・ファイナンシャルアドバイザー)。「面倒くさい」が出てきたら、長続きはもう無理。別の方法を考えたほうがよさそうです。
好きなことができなくなると思っている
「倹約」=「がまん」と捉えている人にとっては、やりたいことを削らなくてはならないという心理的負担があるのは事実。
「そうではなくて、頑張らなくてもできる出費の見直しを私はおすめします」(丸山さん)
丸山さんがすすめる倹約術は、このページの最後でご紹介するとして、いまどきのお金の貯め方・使い方は、「頑張らない」がポイントのようです。
節約と倹約の意味
ここまで「倹約」という言葉を使ってきましたが、よく聞く「節約」とはどう異なるのでしょうか。意外と混同しがちなポイントをおさらいしてみましょう。
節約と倹約の違いとは
小学館『大辞泉』によると、「倹約」は「むだを省いて出費をできるだけ少なくすること。また、そうするさま」。「節約」は、「むだ遣いをやめて切り詰めること」とあります。
一見すると違いがほとんどなさそうですが、節約に「切り詰める」という言葉が入っているように、必要なものでも控えたりがまんしてお金をつくるという意味合いが大。対して「倹約」は、単に出費を控えるだけでなく、「ムダをなくして」「賢く使う」ことを含めて使われることが多いようです。「節約疲れ」という言葉も定着したように、切り詰めるだけではなく「倹約」に重きを置くのが、無理のないやり方といえそうです。
なぜお金持ちは倹約を心掛けるか
では、実際に富を築いた人は、どんな倹約をしているのでしょうか。好奇心半分、実用半分で、のぞき見してみましょう。
代表的なのは、アメリカの有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏。かつて自分の車のナンバープレートに「THRIFTY(倹約)」という文字を入れたこともあるという、正真正銘の「倹約家」(伝記『スノーボール ウォーレン・バフェット伝』より)。バフェット氏は、1958年に3万1500ドルで購入した質素な家にずっと住み、携帯電話は持たず、コンピューターもなし。無理してそうしているというより、きっとそのほうが快適だったのではないでしょうか。
お金持ちの倹約思考に学ぼう
バフェット氏のように、「質素に暮らす」「物に振り回されない」のは憧れではあるけれど、実践するとなると、なかなか難しい…。
「今までは、安いものを買って出費を抑えることが多かったと思います。それもひとつの方法ですが、<不要なものを買わないこと>が結果的にはいちばんの節約であるということに、気づいている人も増えているのではないでしょうか」
と前出の丸山さん。
必要なものだけあれば生活できる
起業家のブーン・ピケンズ氏は、衝動的に<買わない>よう買い物リストを用意するのだとか。
Appleの創始者スティーブ・ジョブズ氏は、季節やタイミングにかかわらず「必要か不要か」で買うものを判断していたというのは、有名な話。
名だたる大富豪は、<買わない>決断を自分の基準で行なっていたというわけです。
派手な出費は好まない
Facebook創始者のマーク・ザッカーバーグ氏の普段着は、グレーのTシャツとデニムばかりです。車も庶民的な価格の車を持ち、派手な出費は好まないのだとか。
インドのIT業界で知られるアジム・プレムジ氏は、滞在先のホテルに五ツ星ホテルを選択することはないようです。最小限必要な予算で旅行を楽しむそう。
IKEA創業者のイングヴァル・カンプラード氏も、紙の裏まで使うほどの倹約家として知られています。外食は極力控え、外食するとしてもIKEAのミートボールをディナーにするという逸話も。
このように、世界的に有名なお金持ちは、お金を意味なく派手に使うことを好まない傾向があります。
お金持ち思考のポイント
世界の富豪の例を見てきましたが、立場(とお金のレベル)は違っても、彼らのマインドは参考になるところ。それを踏まえつつ、私たちの日常に目を向けてみると、どんなことができるのでしょうか。
時間とお金を天秤にかける
収入や貯金が減っている人も多い今のご時世、考えるべきは、もっている時間を最大限有効に、パフォーマンスよくお金につなげること。
「収入が減って家計が苦しいなら、時間をお金に変えるのです。つまり、時給制で働く副業を探せば確実に収入につながります」(丸山さん)
節約には限界がある
頑張らずにできる倹約は、生活を見回してみれば案外いろんなところにあることがわかります。
「まずは、ほとんど使っていないサブスクリプションサービスや、ジム、サプリの定期購入を含めた月会費や年会費などのプランの見直しをしてみましょう。また、スマホを格安スマホや格安SIMに変える、電力の小売業者の見直しなども有効です。習い事などの教育費も、子どもにやる気がないなら解約も検討しましょう」。(丸山さん)
また、副業が広まっている今、趣味の延長で収入を得ることも選択肢のひとつ。
「スキルマーケット、クラウドワークス、ハンドメイド作品の販売なども一案です」(丸山さん)
「頑張って」「がまんを重ねて」出費を抑えるという時代はもう終わり。生活の中で時間と労力を賢く使って(そしてときには世界の成功者の言葉に刺激を受けて!)、自分なりの上手な倹約方法を見つけたい。それを楽しみながらお金を貯められたら、人生はとても豊かなものになりそうです。
ちなみに、「しっかりお金が貯まる人物像は、実は今も昔もあまり変わらず、毎月定額を貯蓄にまわしていて、家計簿をつけていて、自炊メインでやりくりしている人」(丸山さん)
だそうです。
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節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー・消費生活アドバイザー
丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、2001年節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物取扱主任士(登録)、認定心理士、家庭の省エネエキスパート検定合格、調理師などの資格を持ち、食費や通信費など身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演等で行っている。 2019年7月から「ゆとりうむプロジェクト」理事に就任。 書著は『50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します(共著)』(幻冬舎)他多数。 公式HP
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