「花より団子」を使う際の注意点
「花より団子」を使う際には、注意しておきたいポイントがあります。「花より団子」は自分のことだけではなく他人のことに対しても使える言葉ですが、基本的に他人に対してはあまり多用するべきではないということです。
他人に対して「花より団子」を使う場合、美しさや風流さを理解できないことについて馬鹿にするようなニュアンスがあります。近年マイノリティな考え方に対しても尊重するようになっていますし、価値観は人によって違うものです。他人に対して使う場合は仲のいい人を少しからかう程度にして、相手を不快にさせないように気を付けたいもの。とくに、上司や先輩のことを「花より団子」と表現するのは礼儀に欠けるでしょう。
「花より団子」の類義語と対義語
「花より団子」と言い換えができる類義語と、反対の意味を持つ対義語は以下のとおりです。
【花より団子の類語】
「色気より食い気」、「名を捨てて実を取る」、「詩を作るより田を作れ」、「花の下より鼻の下」、「恋するより徳をしろ」、「一中節よりかつお節」、「見栄張るより頬張れ」、「理詰めより重詰め」、「義理張るより頬張れ」、「挨拶より円札」
【花より団子の対義語】
「馬子にも衣装」、「武士は食わねど高楊枝」
「花より団子」の類語と対義語について、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
【類義語1】色気より食い気
「花より団子」の類語にはたくさんの種類がありますが、今回は「色気より食い気」と「名を捨てて実を取る」についてご紹介します。
「色気より食い気」の読み方は「いろけよりくいけ」です。「恋するより徳をしろ」や「花の下より鼻の下」にもいえますが、「花より団子」で比較している「風流さと食欲」とは対象が微妙に違い、「色気より食い気」は「恋愛感情と食欲」、「恋するより徳をしろ」は「恋愛感情と道徳」が比較対象となっています。
しかし、いずれもなにかを引き合いに出してほかのもののほうがいいと表現していることは一緒のため、類語のひとつだといえるでしょう。
【類義語2】名を捨てて実を取る
「名を捨てて実を取る」も花より団子の類語のひとつで、「なをすててじつをとる」と読みます。「名を捨てて実を取る」とは、「名誉や名声などのうわべだけの体裁を重視するより、名誉は人に譲るなどしたとしても実利を取ったほうが賢明である」ということわざです。一時的な批判を受けることになってでも、本当に利益になることを求めるときなどに使います。
「名を捨てて実を取る」という表現は、ビジネスシーンでも使いやすい言葉です。しかし、実利を得ようとし過ぎた結果なりふり構わないような状態になると、体裁だけではなく実利にも影響が出てしまうため注意しましょう。
【対義語】馬子にも衣装
「花より団子」の対義語は「馬子にも衣装」で、「まごにもいしょう」と読みます。「馬子にも衣装」とは、「つまらぬ者でも外形を飾るとりっぱに見えること」をたとえた慣用句であり、外観や見栄を重要視している表現です。見栄よりも実際の利益を重視し、外見的な美しさを軽視している「花より団子」とは反対の意味にあたる言葉だといえます。
まとめ
「花より団子」とは、花を愛でるような見た目の美しさや風流さよりも、団子を食べるような実利を選ぶことを意味する言葉です。使い方は2種類あり、外観よりも現実的な利益が大事だと伝えたり、上品さやおもむきが理解できないとたとえたりすることがあります。
自分に対して使う場合も他人のことを表現する場合もありますが、相手に対して使うのであれば失礼に当たらないように注意してください。言葉が持っている意味や語源、使い方、類語、対義語などをしっかりとチェックして、さまざまな言葉を正しく使えるようになりましょう。
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