「鳩尾」とは胸の中央にあるくぼんだ場所
「鳩尾」はどのように読むのでしょうか?
ヒントは、人の上半身のある部分を指している言葉です。
正解は・・
「みぞおち」と読みます。
いつも使っている言葉でも、漢字表記は知らなかったという方は多いのではないでしょうか。
【鳩尾】
胸の中央のへこんだ所。胸骨の剣状突起の下部。急所の一。きゅうび。みずおち。
きゅう‐び〔キウ‐〕【×鳩尾】
1 胸骨の下のくぼんだ所。みぞおち。2 「鳩尾の板」の略。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「鳩尾」は、胸の中央にあるくぼんだ部分のことです。鳩の尾と書いてなぜ「みぞおち」と読むのか、不思議に思うこともあるでしょう。そもそも、胸の中央の部分がなぜこの漢字なのかも気になりますね。
ここでは、「鳩尾」の漢字や読み方の由来についてご紹介します。
「鳩尾」の由来
「鳩尾」の漢字表記については、「鳩尾」の部分が鳩の尾の形に似ていることから来ているとされています。「鳩尾」は左右の肋骨がついているところのすぐ下で、骨がない部分です。体の急所とも言われる場所です。よく見ると、確かに鳩の尾に似ていることがわかります。
「鳩尾」は「鳩」も「尾」も「みぞおち」と読むことはできません。これは熟字訓といい、2字以上の熟語を、漢字本来の読み方とは関係なく当て字にしたものです。
「鳩尾」は柔道や空手などの格闘技で急所とされ、攻撃されると横隔膜の動きが一瞬止まって呼吸ができなくなります。また、「鳩尾」の奥に神経の集まる腹腔神経叢があることも、急所とされる理由です。
なぜ「みぞおち」と読む?
「鳩尾」の由来はわかっても、「鳩尾」はなぜ「みぞおち」と読ませるようになったのかという疑問が残ります。
これは、「水落ち(みずおち)」が変化した読み方とされています。「鳩尾」は飲んだ水が落ちる場所ということで「水落ち」と呼ばれ、それが「みぞおち」に変化し、形が似ている「鳩尾」という漢字を当てられたというのが、「鳩尾」という言葉になった経緯です。
「鳩尾」の例文
「鳩尾」の使った例文をいくつかご紹介します。
・空腹で【鳩尾】のあたりに痛みを感じる
・彼は衝撃を受け、【鳩尾】を打たれたように声をなくしてしまった
・【鳩尾】に空洞が空いたような虚しい気持ちになっている
・【鳩尾】に痛みを感じるのは、内臓が悪いのかもしれない
・着物を着て帯を締めると、【鳩尾】のあたりが苦しくなる
・【鳩尾】は体の急所で、格闘技で狙われることも多い
「鳩尾」が痛い・気持ち悪い原因は?
「鳩尾」は、体の不調で痛みを感じることも多い部位です。胃に近い部分であることから、胃腸に何か問題がある可能性が高いでしょう。胃ではなく、ほかの内臓の異常が原因の場合もあり、ストレスが原因で痛みを感じることも少なくありません。
ここでは、「鳩尾」が痛いときや、気持ち悪いと感じる場合の原因について見ていきましょう。
主に胃腸の不調が原因
胃の不調があると「鳩尾」に症状が出る場合が多く、痛みや気持ち悪さがある場合は胃腸の問題を疑ってみるとよいでしょう。胃腸の不調とはいっても、胃炎など一過性のものから重大な病気までさまざまです。
多くは飲み過ぎや食べ過ぎなどが原因で起こりますが、風邪や冷えなどで痛みが起こることもあります。特に食べ過ぎなどに思い当たることがない場合に「鳩尾」が痛いときは、ほかの部分に不調がないか確かめてみるとよいでしょう。