「跋扈」とはほしいがままのふるまいをすること
「跋扈」とは思うがままにふるまい、のさばりはびこることという意味の言葉です。
【跋扈:ばっこ】
魚がかごを越えて跳ねること。
転じて、ほしいままに振る舞うこと。
また、のさばり、はびこること。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
普段は見慣れない難読漢字が使われていますが、「ばっこ」と読みます。「跋」は踏みつけるという意味、「扈」は魚を捕獲する竹籠という意味の漢字です。魚がかごを飛び越えて跳ねることから転じて、ほしいがままにふるまうという意味になりました。
ここでは「跋扈」の語源について詳しく解説します。
「跋扈」の語源は中国後漢朝の歴史書
「跋扈」の語源は、中国後漢朝の歴史書『後漢書』の「崔駰伝」に記載されている逸話です。「崔駰伝」の中に「況高時己に在ては暴虐驕侈を究め、上に対しては跋扈悖逆を致こと一日に非ず」という一節があります。
跳梁という将軍が権力を笠に着て、暴虐のかぎりを尽くしたことを説明している文章で、「跋扈」のようであると形容されたことから、「跋扈将軍」というあだ名がつき、「跋扈」という言葉が広まりました。
跳梁と同じ意味を持つ「跳梁跋扈」も同じ語源を持つ言葉です。
「跋扈」の例文
「跋扈」という言葉が日常会話で登場することはあまりありませんが、歴史や政治の分野では使われている言葉です。ほぼ悪い意味で使われると考えていいでしょう。
【例文】
・表に出てくることはほとんどありませんが、賄賂を渡すやり方はまだ横行しており、悪徳政治家が【跋扈】する状況を根絶することができません。
・戦争が起こると、武器商人が【跋扈】して大もうけをしています。
・大人気となったアニメでは、夜になると鬼が【跋扈】する世界が描かれているため、息子が影響を受けてしまい、夜になると怖がりになってしまいました。
「跋扈」の類義語3つ
「跋扈」にはいくつかの類義語があります。主なものは「蔓延」「氾濫」「猖獗」の3つです。「跋扈」という言葉自体、ほぼ悪い意味で使われていますが、この3つの類義語も悪い意味で使われることの多い語句といっていいでしょう。
「蔓延」と「猖獗」は感染症の報道で、「氾濫」は災害の報道でよく耳にする言葉です。それぞれ意味と例文をご紹介します。
蔓延(まんえん)
「蔓延」は草木が伸び広がる、病気や悪習が広がるという意味の言葉で、「まんえん」と読みます。なお「蔓延る」と送り仮名がついている場合には「はびこる」と読むため、難読漢字といえるでしょう。「蔓延」と「蔓延る」はほぼ同じ意味です。
【例文】
・「【蔓延】してしまってから後悔するよりも、【蔓延】する前にしっかり対策をとったほうがいい」と政治家がニュースで語っていました。
・転校生がもたらした悪い習慣がすっかり学校内に【蔓延】してしまいました。