せっかく話が盛り上がっていたのに、弟が水を差したせいで気まずくなってしまった
盛り上がっている話の邪魔をすることは、「水を差す」の代表的な例です。誰かに横から口を挟まれてうんざりしてしまった経験は、よくあることではないでしょうか。
「○○に水を差された」と悪口として使われることが多い表現です。「水を差す」人は、二人の関係に嫉妬していたり、もっと自分に注目してほしいという気持ちから、その場の空気を読まずに邪魔をしてしまうことが多い傾向にあります。
大人の会話に水を差すんじゃないと叱られた
「水を差す」は、人への注意として使われることもあります。「水を差す」人の中には、自分が迷惑をかけているという意識に欠けている人もいます。そのため、何度も同じような邪魔をして周囲から煙たがられていることも珍しくありません。今回こそは邪魔をしないでほしいという気持ちから「水を差すな」と注意する人もいるでしょう。
水を差すようで悪いけれど、話を本題に戻しましょう
例文のように「水を差す」はクッション言葉としても用いられます。主にビジネスシーンで話を本題に戻したいときや、意見を言いたいときに使われることが多いです。いきなり話を切り出すのが失礼にあたる場合でも「水を差すようで申し訳ありませんが…」と前置きすることで、丁寧な印象を与えることができます。仕事で使えるクッション言葉の一つとして覚えておきましょう。
類語や言い換え表現とは?
話の邪魔をするという意味の言葉は「水を差す」以外にもいくつかあります。ここではその中で代表的な表現を4つ紹介します。
横槍を入れる
「横槍(よこやり)を入れる」とは、「脇から干渉する」という意味です。人が話している最中や仕事をしているところに急に入ってきて、口出しをすることをいいます。大抵は非難めいたことを言ったり、でしゃばった行いをするときに使われる言葉なので、良い意味ではありません。
元々は、戦で両軍が戦っているときに、別の部隊が横から入ってきて槍で突きかかる様子を表したそう。このことから「妨害する」「卑怯」というニュアンスが含まれた言葉といえます。
《例文》
・せっかく企画がまとまっていたのに、先輩が横槍を入れてきたせいで白紙になった。
茶々を入れる
「茶々を入れる」の意味は、「冷やかして邪魔をする」です。例えば、盛り上がっている二人の間に割って入って笑えない冗談を言ったりすることを「茶々を入れる」と表現します。ただ邪魔をするのではなく、二人の関係を冷やかしたり、冗談を言って笑わそうとすることがこの言葉のポイントです。
《例文》
・人の話に茶々を入れるなと父に叱られた
腰を折る
「腰を折る」の意味は以下の通りです。
1 腰を折り曲げる。腰をかがめる。2 話などを中途で妨げる。(<小学館デジタル大辞泉>より)
2番目の意味が「水を差す」の類語に当てはまります。「腰を折る」は、大抵人の話の邪魔をするときに使われる言葉です。話が盛り上がっている最中や、意見がまとまりかけているときなど、話の大事な局面で口を出すことをいいます。また、ビジネスシーンでは「話の腰を折るようですが…」とクッション言葉として使うこともできます。
楔を打ち込む
「楔(くさび)を打ち込む」の意味は以下の通りです。
1 敵陣の中に攻め込んで、その勢力を二分する。また、他の勢力範囲の中に地盤を築く。2 親しい間柄に邪魔を入れる。(<小学館デジタル大辞泉>より)
「楔」とは、硬い木材や金属で作られた鋭い三角形型の道具のことです。組み合わせた木材同士が離れないようにするためなどに使用されることから転じて、人の関係を邪魔するという意味になりました。なんとしてでも関係が深くなることを阻みたいという強い意志を感じさせる表現です。
《例文》
・Aちゃんは嫉妬心から二人の間に楔を打ち込んだ。
英語表現とは?
「水を差す」の英語表現は、「throw cold water on~」です。直訳すると、「冷たい水を〜の上に注ぐ」ですが、日本語のように「邪魔をする」という意味で使うことができます。
・「Don’t throw cold water on her studying. She is serious(彼女が勉強しているのに水を差さないで。真剣なんだから)」
最後に
「水を差す」とは、「仲のいい者どうしや、うまく進行している事などに、わきから邪魔をする」こと。せっかく上手くいっていた話を邪魔されると誰でも気を悪くするもの。日常生活の中では「〇〇に水を差された」というように悪口として使われることが多い表現です。
「水を差す」人には、わざと邪魔をしてくる人もいれば、アドバイスのつもりで口を挟んでくる、悪気のない人もいます。それぞれのパターンに合わせて適切な対処をしていきたいところです。
そして、「水を差す」はクッション言葉として使うと便利な言葉ということもポイント。やむをえず人の話に途中から入るときには「水を差すようですが…」と前置きすることで、丁寧な印象を与えられます。
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