子供や部下に対して、「健康のために、体にいいものを食べなさい!」とかなんとか言いながら、自分自身は仕事終わりに、ついついコンビニでおつまみを買ったり、甘いものを食べてしまう… なんてことありませんか?
このように、頭ではわかっているのに、自分でその通りに行動しないことを「医者の不養生」と呼びます。本記事では、「医者の不養生」の意味や使い方、「医者の不養生だな」と思う場面などを解説します。意味を知ったら、きっと誰かに話したくなるはずですよ!
「医者の不養生」の意味や読み⽅とは?
まずは、「医者の不養生」という言葉の読み方と意味、その語源から見ていきましょう。
意味
「医者の不養生」は、「いしゃのふようじょう」と読みます。意味は、頭ではわかっているのに、自分ではその通りに行動しないことです。本来は職業に関係なく、幅広く使われる意味を持つ言葉なのですが、「医者」という言葉が使われているため、医者やその他専門職の人に関して使われることが多いのが実情です。
語源
「医者の不養生」は、江戸時代に生まれた言葉だとされています。江戸中期の風来山人(ふうらいさんじん、平賀源内のこと)の『風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)』に、「医者の不養生、坊主の不信心」という表現があるのですが、これが語源だと言われています。
平賀源内は、科学者や文人、芸術家などの肩書きがあり、現代におけるプロデューサーやコピーライターのような多才な人物だったとか。彼が「土用の丑の日にウナギを食べる」という風習を作り、ウナギがよく売れるようになったという逸話も残されていますよ。
『風流志道軒伝』の中にある「医者の不養生」は、医者が他人に養生するよう勧めながら、自分は実行しないことを意味しています。口先だけの行動を戒める言葉として、広く浸透したようです。
「医者の不養生」の使い⽅を例⽂でチェック
実際に「医者の不養生」がどのように使われるのか、例文でチェックしていきましょう。
「医者の不養生」というが、先生は若い頃からのヘビースモーカーだ。
「タバコは体に悪いので禁煙してください」と言いながらも、医者自身がタバコを止められないヘビースモーカーで、肺を悪くすることもあるでしょう。こういう場合に、「医者の不養生」というが、彼は若い頃からのヘビースモーカーだという表現することができます。
先生が生活習慣病になるだなんて、まさに「医者の不養生」ですね。
最近のお医者さんは、自身の体形維持や健康管理ができている人が多いようですが、一昔前は恰幅のいいお医者さんも多かったようです。会社などで、生活習慣病の検診を受けて引っかかると、医者から運動や食生活の改善などを指導されることがあります。
しかし、その医者自身が普段の生活習慣を原因とする、糖尿病や高血圧、肥満だったりすると、「先生が生活習慣病だなんてまさに“医者の不養生”ですね」と言いたくなりますよね。