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LIFESTYLE雑学

2022.02.22

【医者の不養生】は、江戸時代のインフルエンサーが生んだ言葉だった!?

「医者の不養生」とは、「頭ではわかっているのに自分ではその通りに行動しないこと」のたとえです。文字から想像できるようですが、どんな語源があるのでしょうか。例文を用いた使い方や類語、似たことわざなども紹介します。

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「医者の不養生」の意味や読み⽅とは?

まずは「医者の不養生」という言葉の読み方と意味、その語源から見ていきましょう。

意味

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「医者の不養生」は、「いしゃのふようじょう」と読みます。意味は、頭ではわかっているのに自分ではその通りに行動しないことです。このように、本来は職業に関係なく、幅広く使われる意味を持つ言葉なのですが、「医者」という言葉が使われているため、医者やその他専門職の人に関して使われることが多いのが実情です。

なぜ、頭ではわかっているのに自分ではその通りに行動しないことを表す言葉に、「医者」という職業が使われているのか、次で詳しく解説していきます。

語源

「医者の不養生」は、江戸時代に生まれた言葉です。江戸中期の談義本(江戸中期に流行った滑稽な風俗小説)、風来山人(ふうらいさんじん)の『風流志道軒伝(ふうりゅうしどうけんでん)』に、「医者の不養生、坊主の不信心」という言葉が見られ、これが「医者の不養生」の語源とされています。

風来山人という人物の名を耳にしたことがない人も多いかもしれませんが、平賀源内(ひらがげんない)の名はご存じの人もいるはず。実はこの風来千人は、平賀源内のことなのです。平賀源内は、科学者であり、文人であり、芸術家であり、マルチな才能を見せた江戸中期の人物。また、今でいうプロデューサーのようなことも行っていました。

生活に身近なところでいうと、「土用の丑の日にウナギを食べる」という風習は、平賀源内が作ったといわれています。この風習の影響で、ウナギの旬が夏だと思っている人もいるかもしれませんが、本来ウナギがおいしい時期は、秋から冬にかけてです。

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ではなぜ「土用の丑の日」にウナギを食べるようになったかというと、夏場にもウナギを売りたい店から相談されて、「本日、土用丑の日」というキャッチフレーズを考案し、これをウナギの販売に利用したのです。

もともと土用の丑の日には「う」のつくものを食べると夏バテしないといわれていたことも、「土用の丑の日にウナギ」が受け入れられて、全国的に広く知られるようになった一因かもしれません。

このように、平賀源内は、科学者、文人、芸術家の他、今でいうところのプロデューサー、コピーライター、インフルエンサーのような多才な人物であったと窺い知ることができます。

話が少し逸れましたが、この平賀源内(風来山人)の著書『風流志道軒伝』は、滑稽な身ぶりと世相風刺で人気の講釈師、深井志道軒(ふかいしどうけん)をモデルとした談義本。この本の中で出てくる「医者の不養生、坊主の不信心」というフレーズから「医者の不養生」ということわざが生まれたとされています。「医者の不養生」は、当時のパワーインフルエンサーが生んだ言葉だったといえるでしょう。

この「医者の不養生」という言葉は、医者は他人には養生の大切さを説くのに自分自身は注意をしないという意味で、口では立派なことを言いながら自分では実行しないことのたとえとして使われます。

また、『風流志道軒伝』で、「医者の不養生」と並ぶ「坊主の不信心(ぼうずのふしんじん)」は、仏道に身を置く僧侶が仏を信じないことを意味し、「医者の不養生」と同じ意味として使われる言葉です。

「医者の不養生」の使い⽅を例⽂でチェック

実際に「医者の不養生」がどのように使われるのか、例文でチェックしていきましょう。

1:「医者の不養生」というが彼は若い頃からのヘビースモーカーだ

医者の不養生意味使い方例文類語言い換え英語 「タバコは体に悪いので禁煙してください」と言いながらも、医者自身がタバコを止められないヘビースモーカーで、肺を悪くすることも。こういう場合に、「医者の不養生」というが彼は若い頃からのヘビースモーカーだという表現が使えます。

2:先生が生活習慣病だなんてまさに「医者の不養生」ですね

最近のお医者さんは自身の体形維持や健康管理ができている人が多いようですが、昔は恰幅のいいお医者さんも多かったものです。会社などで生活習慣病の検診を受けて引っかかると、医者から運動や食生活の改善などを指導されることがあります。

しかし、その医者自身が普段の生活習慣を原因とする糖尿病や高血圧、肥満だったりすると、先生が生活習慣病だなんてまさに「医者の不養生」ですねと言いたくもなります。

3:リスクマネジメント関係の仕事をしている君がSNSで炎上するなんて、「医者の不養生」とはこのことだ

前で少し触れましたが、「医者の不養生」は、医者以外にも使うことができる言葉です。リスクマネジメントの専門家が、SNS上のふとした発言で炎上。そのような場合にも使えるフレーズです。

「医者の不養生」の類語や似たことわざは?

前で紹介した「坊主の不信心」のように、「医者の不養生」の類語は数多くあります。ここでは主な類語と、まぎらわしい表現を、あわせて紹介しましょう。

1:紺屋の白袴

紺屋(染物屋)が客の染物で忙しく、自分の袴が染められないことから、他人のことばかりで自分のことには手が回らない(かまわない)ことをたとえたものです。

2:大工の掘っ立て

他人の住む立派な家は建てるのに、自分の家は粗末(掘っ建て小屋)だという意味で、人のことばかりで自分のことにはかまわないことから、「医者の不養生」と同じ意味を持つ言葉です。

3:河童の川流れ・弘法も筆の誤り・猿も木から落ちる

これらの言葉は一見類語のようにも思えますが、「優れた人でも失敗することがある」という意味なので、「医者の不養生」の類語とはいえません。「医者の不養生」は、頭ではわかっているのに、自分は実行できないというところがポイントです。

「医者の不養生」の英語表現とは?

「医者の不養生」と同じ意味を持つ英語表現についても紹介します。

1:「The tailor’s wife is worst clad」(仕立て屋の奥さんは酷い服を着ている)

「医者」の代わりに「仕立て屋」を使って、「医者の不養生」と同じ意味を表しています。

2:「Physician, heal yourself」(医師よ、自分の病気を治療せよ)

「医者の不養生」と同じく、「医者(physician)」を使った表現です。

最後に

医者や専門家に限らず、頭ではわかっていても、自分のこととなるとなかなか実行できないことはあるもの。「医者の不養生」と言われてしまわないように、他人に言うことは自分でも実行できるように気を付けたいところです。

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