「絵本」の魅力とは
美しい絵と物語が楽しめる絵本は、子どもの成長に大きな役割を果たすといわれています。絵本の読み聞かせを行うメリットを見ていきましょう。
想像力や感受性を育む
子どもの美的情操教育にも役立つのが、絵本を読むメリットの一つです。情操とは、美しい芸術に感動したり、周りの人を思いやったりする心の動きのことを指します。
ストーリーを楽しみ、きれいな絵を見ているだけでも子どもの感性は刺激されます。登場人物になりきったり、キャラクターの気持ちに寄り添ったりしているうちに、繊細な心の動きが理解できるようになるでしょう。
また、絵本の読み聞かせを行うことで子どもの想像力が刺激され、新たな考え方ができるようになります。周囲の人の気持ちを理解できるようになるなど、感受性の成長にもつながるでしょう。
語彙力、読解力や集中力の向上
絵本を読んで、それまで知らなかった言葉を覚えることで、語彙力と読解力の向上につながります。まだ絵本の内容が分からない年齢の子どもでも、何度も読み聞かせをしていく中で少しずつ文章を理解できるようになっていくのです。
小さな子どもは、家族や保育士など周囲の人の話を聞いて言葉を覚えていきます。絵本の中には普段の会話に登場しない言葉も多々あるため、読み聞かせをすることで語彙が増えていくでしょう。
また、絵本を楽しむうちに自然と集中力も高まります。本を読むことが好きになり、その後も読書をする習慣が身に付くかもしれません。
子どもだけでなく大人にも癒やしを与える
豊かな絵本の世界に触れることで、子どもはもちろん、読み聞かせをする大人にもよい影響があります。リラックスした状態でスキンシップを取りながら絵本を楽しむうちに、親子の絆も深まるのです。
絵本の読み聞かせは、子どもとコミュニケーションできる時間でもあります。ただ朗読するのではなく、一緒にリアクションをしたり、「次はどうなるのかな?」などと声をかけたりしながら読むとよいでしょう。
また、美しい絵を眺めることで癒やされるのも、大人が絵本を読むメリットです。就寝前にベッドの中で絵本の読み聞かせを行うと、いつもより安眠できるかもしれません。
海外の名画にまつわる美術絵本
子どものうちから美術作品に触れておくことで、美的感覚が養われます。海外の名画をテーマにした美術絵本をチェックしましょう。
「モネの絵本 太陽とおいかけっこ」
「ひらめき美術館」などの作品で知られる「小学館あーとぶっく」シリーズの作品です。季節や時刻によって移り変わる太陽の光にこだわり、同じ風景を何度も描いたモネの作品を扱っています。
睡蓮を拡大したり、絵によって異なる色味を比べたりと、それぞれの作品を細かく鑑賞できるのが特徴です。モネと一緒になって太陽の光を追いかけられる、子どものためのアートブックになっています。
子どもはもちろん、大人も新しい視点から名画が楽しめます。塗り絵のページも付いているため、好きな色に塗って見比べてみるのもおすすめです。
商品名:モネの絵本 太陽とおいかけっこ
画:モネ 構成・文:結城 昌子/小学館
「ピカソの絵本 あっちむいてホイッ!」
ピカソは、顔がどの方向を向いているか分からない人物の作品を数多く描いています。あっちを向きながらこっちを向いているような人物画を、「あっちむいてホイ」になぞらえて紹介した絵本です。
「怒りながら笑っているような顔なのは、なんでだろうね?」と、子どもとコミュニケーションを取りながら楽しむのもよいでしょう。子どもにもなじみのある遊びを通して、作品をより感覚的に味わえます。
色彩豊かなピカソの作品が並んでいるため、ページをめくるだけでも楽しめます。さまざまな角度から見た形を描いたキュビズム絵画を、子どもにも分かりやすく説明できる1冊です。
商品名:ピカソの絵本 あっちむいてホイッ!
画:ピカソ 構成・文:結城 昌子/小学館
「フェルメール この一瞬の光を永遠に」
世界的に愛されているオランダの画家・フェルメールの人生を描いた絵本です。イタリアで作られた絵本を「小学館あーとぶっく」シリーズで知られる結城昌子氏が監訳しています。
美しい青色を使った、光の粒を閉じ込めたような作品は日本でも有名ですが、フェルメールについての記録はあまり残っていません。モデルとなった人物や絵の師匠など、本人にまつわることは今でも謎に包まれているのです。
作者自身の物語に触れることで、作品を身近なものに感じられるでしょう。人々の生活や、日常的な風景を美しい絵にしたフェルメールの生涯に、思いをはせられる作品です。
商品名:フェルメール この一瞬の光を永遠に
文:キアーラ・ロッサーニ 絵:アンドレア・アレマンノ 監訳:結城昌子/西村書店
日本の名画にまつわる美術絵本
水墨画や浮世絵など、日本国内にもさまざまな作品が存在します。日本の名画について学べる美術絵本を見ていきましょう。
「北斎の絵本 富士山みえた〜!!」
葛飾北斎の代表作である「富嶽三十六景」を題材にした絵本です。江戸時代の人々が登場し、洗濯や田植えといった当時の生活について教えてくれます。
波しぶきの間に富士山が小さく描かれた「神奈川沖浪裏」など、子どもたちにも知ってほしい名作が分かりやすく解説されているのが特徴です。作品によってさまざまな姿の富士山が楽しめるでしょう。
また、化けもののように表現された大波や、コントラストのある遠近感など、北斎ならではの表現を存分に味わえます。北斎のダイナミックな感性を、子どもと一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?
商品名:北斎の絵本 富士山みえた〜!!
著:結城昌子/小学館
「広重の絵本 遠くへてくてく」
歌川広重の代表作「東海道五十三次」をモチーフにし、日本橋から京都まで続く東海道を、てくてく歩いていくユーモアあふれる作品です。
道行く人たちとあいさつを交わしながら、長い道のりをひたすら遠くへ歩いていきます。道の途中に出てくる宿場町の中には、現在でも駅名として残っている地名があるため、鉄道が好きな子どもにも喜ばれるでしょう。
川を越えたり山を登ったり、さまざまな風景を描いた作品を見ながら旅をしているような気分が味わえます。乗り物のない江戸時代に、足を使って移動していた人々の様子も学べるでしょう。
商品名:広重の絵本 遠くへてくてく
著:結城昌子/小学館
「こどもびじゅつえほん ちょうじゅうぎが」
京都の高山寺に所蔵されている「鳥獣人物戯画」は、漫画やアニメの基礎になったともいわれている作品です。愛らしい動物のモチーフが登場する、子どもにも分かりやすい絵本に仕上がっています。
絵巻物の原画に着色することで、物語がさらに親しみやすく感じられるよう工夫されているのがポイントです。サルやうさぎなど、動物の名前や数字を覚えるときにも役立ちます。
ページをめくるごとに異なる色彩が飛び込んでくるカラフルな作りで、眺めているだけでも明るい気持ちになれるでしょう。親子で会話しながら読み聞かせられる、想像力をかきたてるようなストーリーも魅力の一つです。
商品名:こどもびじゅつえほん ちょうじゅうぎが
編:便利堂
「線」や「色」が特徴的な絵本
くっきりした線やカラフルな色合いは、子どもの興味を引きつけるポイントです。文字が読めない年齢でも楽しめる、見て楽しい絵本を紹介します。
「しましましましょ」
表紙に描かれた虹色のシマウマが、「しましましましょ」のフレーズとともに駆け回る、疾走感のある絵本です。周りの動物や車もどんどんしましま模様になっていく、スケールの大きな作品になっています。
北村人氏によるクレヨン画は、親しみを感じられる素朴なタッチが特徴です。かわいらしい絵柄とシンプルな内容で、小さな子どもでも興味を持ちやすいでしょう。
「しましましましょ」とリズムよく繰り返していると、文字を声に出して読む楽しさが実感できるはずです。親子で一緒に、心地よいリズムを感じながら読んでみましょう。
商品名:しましましましょ
作:北村 人/小学館
「せんをたどって」
表紙からつながっている線をたどりながら、読み進めていく絵本です。一筆書きで描かれた線はさまざまな形を作り上げ、ページを突っ切って裏表紙にまで続いています。
街に出たり、海に行ったりと、シンプルかつ洗練された絵を見ながら冒険しているような気持ちが味わえるでしょう。実際に指を線に乗せながら読めば、より一層夢中になって楽しめます。
いくつもの線が伸びているので、迷路感覚で遊んでみるのもおすすめです。線の周りに描かれたイラストも美しく、飽きずに何度も読める作品になっています。
商品名:せんをたどって
作・絵: ローラ・ユンクヴィスト 訳: ふしみみさを/講談社
「あおくんときいろちゃん」
レオ・レオーニ氏が孫に話をせがまれたことから生まれた、世界中で長年愛されている作品です。青と黄色の丸である「あおくん」と「きいろちゃん」が、絵本の中で生き生きと動き回ります。
留守番をしていたあおくんが、きいろちゃんに会いたくなって出かけたところ、会えたことのうれしさに2人の色が混じり合ってしまうというストーリー。色が変わってしまったあおくんたちは、家族から「うちのこじゃない」と言われてしまいます。
表情は描かれていませんが、キャラクターの感情が強く伝わってくるのが作品の魅力です。愛があふれる絵本は、子どもはもちろん大人の心にも残るでしょう。
商品名:あおくんときいろちゃん
作: レオ・レオーニ 訳: 藤田 圭雄/至光社
楽しみながら美術に触れる絵本
世界各国の名画を集めた絵本を読むことで、子どもの美術への興味が育まれます。絵本を通して、絵画の楽しみ方を教えていきましょう。
「名画ここどこ」
絵の見どころや特徴的な部分を抜き出して、それが絵画のどこにあるかを探す絵本です。アートの要素に知育や遊びを組み合わせており、探し絵のように指さして遊べるでしょう。
遊びながら美術に興味を持てる仕組みなので、読んでいるうちに絵を好きになることに期待できます。絵本の中で作品に触れることで、絵画の鑑賞の仕方や、自分なりの楽しみ方を見つけられるかもしれません。
「これはどこかな〜?」などとやりとりしながら、親子で一緒に遊べるのもメリットです。有名な作品のタイトルや、作者の名前を自然と覚えられるでしょう。
商品名:名画ここどこ
文・構成・デザイン:結城昌子/小学館
「ペネロペ ルーヴルびじゅつかんにいく」
アニメにもなった人気キャラクター・ペネロペと一緒に、美術について学べる絵本です。コアラのペネロペが、おじいちゃんに連れられてルーヴル美術館に行くストーリーとなっています。
モナ・リザやミロのヴィーナスなどの有名な作品が登場するため、ペネロペと一緒に美術館を回っている気分になれるでしょう。各ページには仕掛けが施されており、最後まで飽きずに読み進められます。
かわいらしいキャラクターが一緒なら、子どもも興味を持ちやすいかもしれません。ペネロペがモナ・リザの腕に抱かれている、個性的な表紙も目を引く1冊です。
商品名:ペネロペ ルーヴルびじゅつかんにいく
文:アン・グットマン 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン 訳:ひがし かずこ/岩崎書店