「柔よく剛を制す」の意味
「柔よく剛を制す」とは、柔軟性をもって強い者に勝利することを意味します。普段の生活ではあまり耳にしない言葉かもしれませんが、実は知れば知るほど魅力的な言葉でもあります。
正しい読み方は……「じゅうよくごうをせいす」でした!
柔軟なものがどうやって強者を打ち負かすのか、不思議に思った方もいらっしゃるはずです。柔よく剛を制すについて、知識を深めていきましょう。
意味は柔軟なものが強者を制すること
一見勝ち目がなさそうに思える強者を、柔軟なものが倒してしまうという意味を持っているのが、「柔よく剛を制す」です。
デジタル大辞泉での解説も一緒に確認しておきましょう。
【柔よく剛を制す】じゅうよくごうをせいす
《「三略」上略から》しなやかなものは、かたくて強いものの鋭い矛先を巧みにそらして、結局は勝利を得る。転じて、柔弱なものが、かえって剛強なものに勝つ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「柔よく剛を制す」は、柔道の世界ではよく知られている言葉でもあります。上手く立ち回れば、柔和な者が剛直な者を制御し勝利を得られるという意味です。「よく」の部分を漢字で表記するばあいには「柔能く剛を制す」が正しい表記です。
語源は中国の書物
「柔よく剛を制す」の由来となったのは、中国の書物『三略』に登場する以下の一節です。
「柔は能く剛を制し、弱は能く強を制す」
柔らかいものはかえってかたいものを制し、弱いものはかえって強いものを制してしまうという意味です。この一節から、しなやかなものがかたくて強いものに勝利するという意味の、「柔よく剛を制す」が誕生しました。
『三略』は組織を率いる際に参考になる書
「柔よく剛を制す」という言葉の由来となった一節が登場する書物『三略』は、兵学についてまとめた中国の書物です。
実はこの『三略』は、組織を率いるリーダーの手引書としても有名です。本の中で語られている人間関係構築のヒントを少しだけご紹介します。
・組織の安定にはメンバーとの良好な関係性が必要
・リーダーが大切にしているポイントを他のメンバーに伝える
・リーダーがメンバーの望みや苦しみを理解し共感する
チームの仲間とよい関係を築くヒントにしてみてください。
「柔よく剛を制す」の続きは「弱は能く強を制す」
「柔よく剛を制す」の後には「弱は能く強を制す」と続きがあります。意味は弱いものが強いものを制してしまうことです。
一般的には力関係を無視して弱いものが強いものに勝利するのは、道理に合いません。しかし、弱いものが周りの助けを上手く利用し、強いものが周りから大きな反発を受けている状況では、結果が変わってくる可能性があるでしょう。
「柔よく剛を制す」と「弱よく強を制す」は、どちらも人間関係に置き換えて考えると学びが多い言葉です。
「柔よく剛を制す」の類義語と対義語
「柔よく剛を制す」の類似表現として、次の2つの言葉をご紹介します。
【柔よく剛を制すの類義語】
「堅い木は折れる」「柳に雪折れなし」
一方、柔よく剛を制すとは相反する意味を持つ言葉は次のとおりです。
【柔よく剛を制すの対義語】
「剛よく柔と断つ」
類義語と対義語を学んで、表現の幅を広げてみましょう。